BtoCの戦略で新路を開き、上場も視野に業界No.1を目指す
トゥインクルワールド株式会社中島 佳住真/中島 宏樹
業界の常識を覆す新スタイルで、顧客に直接アプローチ
中島佳住真代表取締役社長(以下、弟社長):もともと父親が経営する塗装会社で職人として働いていました。通常、小さな塗装会社というのは、工務店や大手塗装会社、ハウスメーカーなどから孫請けやひ孫請けとして仕事を受注するのが一般的であり、必然的に限られた予算の中で施工に携わることになります。職人として仕事を始めて数年経つと、塗装業の仕事の面白さや魅力がわかってくると同時に、予算や時間など多くの制約に縛られ、自分が求める最高の施工ができないというジレンマや不甲斐なさを感じるようになりました。
もちろん、限られた条件の中で最善を尽くしてはいましたが、決して手抜きをしているわけではないのに、お客様に対してどこか後ろめたさを感じていたのも事実。そんな鬱々とした日々を過ごす中で辿り着いた一つの道が、塗装業者としては前代未聞の“BtoCによる事業展開”でした。お客様から直接発注をいただくスタイルであれば、いくつもの仲介を省略する分、お客様は価格を抑えることができる。加えて我々業者は、細部にまでこだわり抜いた納得の施工を実現できる。理想的なwin-winの関係を生むことができるのではないかと考えました。
そこで独立へ向けて2年がかりで計画と準備を進め、2010年に当社の前身となる「きらめきペイント」を創業。しかし、当時は塗装職人が個人のお客様から直接仕事を受けるというのは前例のないことで、根拠のない自信だけを頼りに、お金もツテもない中でのスタートとなりました。夜は近所でチラシを配り、食事と仮眠をとって、再び朝方までチラシをポストインして回る。そんな日々を繰り返していましたが、ある時チラシを見たという方から、はじめての依頼が舞い込んだのです。さらに1軒目の施工にあたる仕事ぶりを見ていた近所の方からも立て続けにご依頼をいただき、口コミによって瞬く間に仕事が広がっていきました。
一人で歩み始めた茨の道でしたが、1軒目のご依頼をいただいた際、現在の副社長である兄が現場を手伝ってくれて、とても心強かったです。そして当初は臨時の助っ人の予定でしたが、結果的には私が始めた挑戦に参画し、一緒に歩んでくれることに。今は副社長として私を支え、引っ張ってくれています。私にとっては、兄が会社に入ってくれたことが最大のターニングポイントだったと思っています。
中島宏樹取締役副社長 (以下、兄副社長):当社の創業当時、私はまだ父の会社に所属していたのですが、弟にとって門出の仕事ということもあり、父に頼んで弟の仕事に加勢しました。ただ、実は私も半年後には父のもとを巣立ち、開業することを見据えて計画を進めている最中だったんです。自分で言うのもおこがましいのですが、職人としての腕の良さでは高い評価をいただいていたので、独立後の仕事もすでに続々と決まっていました。また弟とは違い、私は工務店や大手の塗装屋、ハウスメーカーから仕事を受けるという従来の事業スタイルを踏襲する予定だったので、何の不安もありませんでした。しかし、そんな状況下で弟と一緒に仕事をしてみて、「兄弟2人でなら大きな夢が実現できるのではないか」と感じたんです。
自分たちの心も技も尽くした心底納得できる施工により、正当な対価をいただく。そういう新しいスタイルで“断トツNo.1の塗装会社”をつくる。そして塗装業界のイメージを覆し、子どもたちが憧れの職業として挙げるような業種にする。一見無謀に思えるそんな夢も、弟と2人でなら叶えられると確信しました。


外壁塗装業の慣習を脱却し、顧客ファーストを実現する「トゥインクルワールド」。創業にかけた経営陣の熱い思いが、現在の成長の礎になっています。
現場の過酷さも営業の苦労も知る経営陣が率先して人材育成
弟社長:業界の常識を変えるためにまず着手したのは、スタッフたちの地位向上です。小さな塗装会社や塗装職人の大半は、雨が降って作業ができなければ収入が減り、仕事がなくなれば給料はない。福利厚生とは無縁の不安定な労働環境を強いられています。
そこでまず当社では福利厚生を充実させ、働く人たちに安定的な環境と収入が行き渡る仕組みを整えました。月給制、社会保険、厚生年金をはじめ、通勤手当や家賃手当など必要な制度を整備。私たち自身も未経験のことばかりだったので、一つひとつ勉強しながら拡充していきました。
兄副社長:新卒や未経験者に関する育成については、特に制度化しているわけではありませんが、私や社長がプレイヤーとして付きっきりで営業や現場に同行し、これまでの経験やノウハウを惜しみなく伝えています。私たち自身、ビジネスマナーのいろはも分からず、営業経験ゼロからのスタートでしたから、本を読みあさり独学で知識を習得しながら、とにかく手探りで自分のスタイルを確立してきました。そういう実体験があるからこそ、未経験者の怖さも、結果が出ない時の辛さもわかる。社員の気持ちに寄り添いながら、一人ひとり丁寧に育てていきたいと考えています。
そうして育った社員たちが、胸を張って楽しそうに仕事をしていることも、当社の特徴です。自分たちが心から誇れる仕事をしているという意識は、社内全体のモチベーションへとつながっています。数字稼ぎの営業や制約まみれの雁字搦めの施工ではなく、一人ひとりのお客様に喜んでもらう、感動してもらう。すべてはそのための積み重ねであるという共通の思いがベースにあるからこそ、一つひとつの仕事に対して全社一丸となって力を尽くすことができる。その結果、実際にお客様から感謝され、次から次へと仕事の連鎖を生んでいるのだ、というプライドが、社員の中に息づいているのではないでしょうか。


新入社員が「この契約が決まったら、ご飯に連れて行ってください!」と経営陣を誘ったり、休日も社員が集まったり。大家族のような雰囲気も同社の強みです。
BtoBへのチャレンジや個人のお客様向け店舗の出店など、さらなる飛躍を
弟社長:創業以来、お客様と直接向き合うBtoCのスタイルに主眼を置き、個人宅の外壁塗り替えや修繕などを中心に手がけてきましたが、徐々にビルやマンションといった、大型建築の外装や大規模修繕に関する法人からの依頼(BtoB)も増えていったんです。そこで法人営業の拠点とすべく、2016年には新大阪駅近くにオフィスを新設。BtoBへのパイプも強化しています。
兄副社長: BtoBへのチャレンジは、創業以来、共に会社を支え、つくり上げてくれたスタッフの力があればこそ。スタッフ一人ひとりが自分の手がける仕事に誇りを持ち、お客様に感動してもらいたいという一心で築き上げてきた信用や信頼が積み重なって、大口の受注へとつながったのだと思います。
弟社長:2022年3月にはさらなる飛躍に向けて、東京オフィスを開設。個人だけではなく、法人も含めた塗装業界トップ企業となることを目指し、全国展開を本格化していきます。
また、近年はショッピングセンター(SC)やショッピングモールに「外壁塗装のきらめきペイント」というブランドの、個人のお客様向け店舗を展開中です。外壁塗装業者の路面店というのは、個人のお客様から見ると、扉を開けたら発注しなくてはいけないというプレッシャーと敷居の高さを感じさせがちです。しかしSCやショッピングモールの一角なら、間口が開放的であり、買い物ついでに立ち寄れるという気軽さがある。実際、当社も路面店では年間数件だった新規客の見積もり依頼が、SC内の店舗では年間200件を超える数を記録しています。
今後は出店スピードを加速させ、さらには上場を視野に入れた計画を進行中です。個人のお客様向け店舗の店長や法人営業の拠点の支店長など、多種多様な活躍の場が広がっていますし、これから共に歩む社員は全員が幹部候補だと思っています。
私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。元気で明るく積極的な人であれば、誰もが飛躍できるステージがある会社です。“断トツ!日本No.1の塗装会社”を目指し、楽しみながら共に夢を追う仲間を待っています。


お客様目線のショップづくりなど、外壁塗装の間口を広げる同社。新しいことへのチャレンジを楽しむ気持ちがあれば、様々な成長の機会が用意されています。