次の100年を創るベンチャー企業
株式会社Solferiona(ソルフェリオーナ)代表取締役 菊地 将
ビジョンマップはあくまでも理念の半分
当社は2016年の創業以来、Web上の風評被害のコンサルティング事業をおこなってきました。起業したきっかけは内定先が倒産してしまったことです。どうしようかと考えていた時、過去に得たスキルを生かせる仕事をしようと起業を決心しました。私は中学生の頃、掲示板の運営をしていたり、ネットゲームの仕組みを遊びの一環として自分なりに理解しようと調べ、そこでWeb上ではIPアドレスが深く関係し、ネットで誰が発信したのかが特定できるということを知りました。当時は専門的な知識があったわけではありませんが、この経験があったことが今の事業の原点となりました。
会社を作る上で掲げる企業理念。私は正直、疑問を抱いています。あくまでも「できる限り掲げた姿に近づけるよう取り組んでいこう」という指針にすぎません。創業当初に会社のイメージだけで「常識を再構築する」という言葉を掲げてみましたが、自分自身が共感できずにいました。そもそも私は会社として想いや指針を掲げるよりも前に、社員が仕事をしてご飯を食べることができるかが最も大切だと考えていました。そこで、設立から4年間は売上を出すことに注力。しかし、会社を大きくするためさらに増員すると考えた時、全員が同じ方向を向けるようしっかりとした理念を持つことも必要なのではないかと次第に感じるようになりました。そこで「自由な世界を切り拓く」というミッションを掲出。老若男女問わず、誰もが挑戦・達成・成長を通して、自由を掴むことができる場所となることを掲げました。ただ、ビジョンマップはあくまでも企業として目指すべき姿を多くの人に伝えられるよう言語化したもので、当社の全体像を表現しているのではありません。そのため「理念に共感しました」ではなく、「この言葉の真意はこういう意味が含まれている」という点に気付いて納得し、共感できる人と共に働きたいと思っています。


「ビジョンマップに書いてあることは会社の全体像ではない」という言葉は非常に印象的でした。会社の本質的な部分をしっかり見極めてほしいという思いを感じました。
需要はあるかどうかではなく“作る”もの
仕事の依頼を受け、対応が完了した際に「より風評被害対策を徹底しないといけない」「WEB施策をやってこなかったのはまずい」という言葉を聞くことがあります。意識が向いたことにうれしさもありますが、私がこの仕事をしていてやりがいに感じる瞬間は、お客様の会社の事業拡大や上場など大きく成長するきっかけとなれた時です。私たちが風評被害対策をしたことを契機に、SNSのアカウントを作ったり、採用活動を積極的に行って会社を大きくしたりといった動きが生まれます。ほかにも、中小のオーナー企業が一部上場した姿も見てきました。私はこれらの一端を担えたことが何よりもうれしいですし、この仕事をしている最大の価値だと思っています。私たちの仕事はこれまでなす術のなかった風評を対策することがゴールではなく、お客様の会社の規模拡張や事業拡大など大幅に伸びていくきっかけとなることです。
実はこれまでメイン事業のほかにお客様のサポートに寄与できると確信し、人材事業を立ち上げましたが、結果として業績を上げることが出来ませんでした。人材事業は法人契約を結んで終わりではなく、そこからが本当のスタートとなるため、体力がない会社だと利益がしっかりと見込めるまで耐え忍ぶことができないのが現状です。人材以外にも企業のサポートが出来る事業はあるはずです。私はスタートアップベンチャーの理論でいう「こういった事業は需要がありそう」という考え方ではなく、需要は自分で作るものだと考えています。明確に「この事業は必要とされる」という信念を強く持ち、需要を創出しつづけていきます。


「需要は自分で作る」という考えを念頭に行動する菊地代表。世間の動きを見て必要なものを精査し、企業のサポートを続けたいという強い想いがあるようです。
必要なものは原動力となる「理由」だけ
一般的に働きやすさを考える際、「働き方改革」のワードが挙がり、そこに必ず紐づくのが労働時間です。仕事が苦だと感じるのであれば週休3日になったり、フレックスを取り入れたとしても根本的な解決にはなりません。しかし、自分の興味があるものであれば、一晩中やりつづけても苦だと感じることはないはずです。つまり、働きやすさを考えた時、仕事をやりたいと思うかが最も大事だということです。会社が社員のために出来ることはやりたいことができる環境を用意することだと考え、行動しています。
今後のビジョンとして、会社としてしっかり力をつけて、お客様の成長を支えられるような事業を展開していきたいと思っています。そのための最初の一歩として、2023年までに今の3倍ほどの広さの事務所に引っ越すことが出来るよう新卒採用にも注力して増員を図りたいと思います。今は100㎡ほどですが、不動産の仲介会社から「100坪(約330㎡)からが本物の会社」ということを聞き、まずは“本物の会社”としてスタートラインに立つことを目指しています。そして「役員候補の新卒採用と言えばソルフェリオーナ」と認知されるようになり、いずれは急成長する中小企業をサポートする事業を生み出せるような会社になっていきたいと考えています。
先に挙げた目標を達成するために、採用活動にも力を入れていかねばなりません。そこで大切なことは就職するなら大手かベンチャーのどちらが良いかで選ぶのではく、何かしらの理由を持っているかどうかです。「チャレンジができて、胸を張って自分がこれをやった」「何かで一番になりたい」など理由は何でも構いません。私は原動力となる理由を持っている人と共に働きたいと思っています。


働く時に必要なものが”理由”だということは意外でした。やりたいことができる環境を作ることが会社の在り方として重要なものなのかもしれないと気付かされました。