働き方を改善し、仕事の魅力を発信
二葉物産株式会社伊藤礼子/石田重仁
「近距離輸送といえば、二葉物産」と言われる会社に
伊藤礼子代表取締役社長(以下、伊藤):当社では現在、働きやすい職場作りとして、残業時間の削減に注力しています。一般的に物流業界では、移動距離が異なるため乗務員によって運行時間にバラつきが出てきます。そのため、当社では社内で一人ひとりの運行時間をチェック。残業時間が多い乗務員がいた場合は、しっかりとフォローをいれ、休みを取得してもらったり、シフトを交代したりと臨機応変に対応するように心がけています。
石田重仁専務取締役(以下、石田):以前から残業時間をいかに削減するかという課題がありました。そこで長距離運行の廃止に踏み切り、残業時間は格段に減らすことが出来ました。廃止以降、多くの社員が毎日、自宅に帰れるようになり、ご家族の方も、家族全員が揃うことができるので安心できているようです。現在は、近距離輸送がメインとなっていることが社外的にも浸透してきたのか、最近では近距離の仕事がしたいという応募が増えてきました。「近距離輸送といえば、二葉物産」という認識が社内はもちろん、社外にも浸透してきていると実感できています。また、社内紹介制度というものがあり、社員の紹介で乗務員を採用することがあります。その際も多くの人が近距離の仕事をしたいという思いを持ち、当社の一員として働いています。


働き方の見直しを図り、一つずつ実現させてきた二葉物産株式会社。業務体系を変えることで働きやすい環境を実現しているようです。
業務のバイブルを作り、ブレのない社内体制を確立
伊藤:2014年から経営計画書を作成し、毎年ブラッシュアップして社員に配布しています。社員に配布するだけでなく、発表する場を設け、一つずつ説明し、理解を深めてもらえるよう取り組んでいます。社員から「毎年更新され、よりわかりやすいものになっている」という声をもらうようになりました。この経営計画書は仕事で困った時、管理職や上司が部下を指導する際の指標として利用してもらうようにしています。業務の進め方で困った際は記載に従ってもらい、指導する際は記載されている内容を伝えるよう徹底しています。会社として一つの軸を作ることで、社員一人ひとりが同じ考えのもと、同じゴールに向けて動くことができます。また、指導方法にバラつきが出なくなりました。組織としてどう動いていくのかをしっかりと伝えることで、全員が共通認識を持ち、仕事に向き合う環境を作ることを大切にしています。
石田:また、2019年からはコントローラー職の評価制度を新たに設けました。導入以前は努力や結果を残しても規定の給与だったため、会社に貢献している実感が湧きづらい環境でした。そこで、給与にインセンティブを乗せる仕組みを作りました。結果として、業務の精度が上がり、やりがいにつながってきていると感じています。
伊藤:これらの取り組みも含め、今は私や役員が社員の働く様子を見たり、会話を通じて取り入れるべきかを精査し、どうやって形にするのか考えています。今後は社員の声から何か形にできればと考えています。
石田:社員にとって、仕事をより頑張ろうと思えるものを作ることで、会社としてさらに成長できるのではないかと思っています。


仕事をする上で軸を決め、全社員に共通認識を持ってもらうことでブレのない組織に。日常の会話から少しでも社員にプラスになるものを作れればという思いを持ち続けているようです。
物流の魅力を発信し、さらなる働く環境改善を
石田:私は物流が魅力的な仕事であることを伝えていくことが大切だと考えています。物流業において、乗務員とコントローラー職が会社の柱です。コントローラー職は、1日に数十件くる案件を見て、誰にどの仕事を任せるかを振り分けるといういわば会社の司令塔的存在です。より会社が成長していくには、コントローラー職の層を厚くすることではないかと思っています。そのため、多くの人に業務を経験してもらい、スキルアップして、自分の力を伸ばしてもらいたいです。
伊藤:仕事の魅力を発信し、さらに会社として考えるべきことがあります。それは、世の中で言われ続けている働き方改革です。私は働く上で何よりも一番大切なことは社員の健康だと考えています。長時間労働をすることで、生産性が低くなるだけでなく、健康管理が難しくなり、自由な時間が持ちづらくなってしまいます。そのため、残業時間を減らすことが必要だと取り組みを続けてきました。年々改善され、趣味の時間を満喫したりとさまざまな時間を過ごす社員が増えてきました。しかし、まだまだ改善の余地はあるので、現状に満足せず取り組み続けていきたいと思っています。また、新たに物流不動産事業部を立ち上げました。たとえドライバーは向いていないと感じても、他の業務でいきいきと働いている社員もいます。物流事業の中でさらに仕事の幅を広げ、一人ひとりが輝ける場所、チャレンジできる会社となっていきたいと思っています。


性別や年齢問わず、やりがいを感じ仕事ができる環境を作ることを大切にしているようです。物流事業の面白さを多くの人に伝え、さらなる発展をとげたいという強い想いを感じました。