誰かに必要とされる場所で輝く
ZIN株式会社代表取締役 児玉 北斗
仕事の質と効率化のカギは時間を決めること
当社は、関東1都6県、関西2府4県を中心に介護や保育、看護に特化した人材サービスを提供。また、2017年には仕事と子育てを両立する社員を応援しようと、保育園を開設するなど、働く人のためのサポートにも尽力しています。
私は会社を設立する際、「必要とされる場所へ参入したい」という思いがありました。そこで、まずは人手不足とされている福祉業界に目を向けました。人材サービスの仕事をする上で大事なことは企業が提供する場所と求職者の持っている能力をマッチングさせることです。しかし、今の社会には企業と求職者が出会う機会が多くありません。そのため、出会うきっかけを自社で作り、「働いてよかった」と思えるアフターサービスを形にしようと決めました。
会社設立から5年目を迎えた2021年。採用担当のポストを作り、新卒1期生が5人入社しました。中途採用の社員と比べて社会について知らないことが多いので、仕事についてはもちろんですが、まずはビジネスマナーの指導に力をいれています。エレベーターの乗り方や敬語の使い方など、丁寧に教えることを意識しています。1期生からは「丁寧に一つひとつ教えてもらえるので、マナーについて多くを学べた」という声が届いており、うれしく思っています。また、仕事をする際に大切にしていることが自立性です。社員には「時間内に仕事を終わらせ、結果を残せるように考えて行動する」ということを伝えています。その結果、人材業界には珍しく残業がほぼなく、終業時間から30分後には多くの社員が帰宅できる環境が生まれました。時間を区切って仕事に取り組むことで、質が上がり、効率化にもつながっていると感じています。


社会的な問題になっている福祉業界の人手不足。問題解決のために出来ることがあるのではと思い、参入を決めたZIN株式会社。求職者と企業のマッチングの機会が少ない点に着眼し、尽力しています。
仕事と子育ての両立を支援
2017年に千葉県柏市に「ふくしあ保育園」を開園。内閣府が企業主導型保育事業として認可した保育園で、仕事と子育ての両立を支援するための制度を利用した施設です。認可外保育施設ではありますが、認可保育園と同様の補助を受けられるため、質の高い保育をできる環境は整えられています。開園に至った経緯は、介護士や看護師など福祉関係の仕事をするスタッフにシングルマザーが多いと知ったことです。そこで、子どもを預け、安心してしっかり働けるような環境を整えようと思いました。現在の利用率はまだそれほど高くありませんが、利用している社員からは「自分の働く会社が作った保育園なので信頼できる」「安心して仕事に集中できる」と言った声があがっています。また、自社のサービスを通じてマッチングしたスタッフも勤務しているため、新たな雇用も生まれました。
今現在、勤務している人はもちろん、これから入社する人も結婚や出産など人生のステージが大きく変わる瞬間が出てきます。将来、仕事をしながら子育てをしようと思った際、会社で設けた保育園が自分の子どもを預ける場所の選択肢の一つになればうれしく思います。また、私自身も保育業についてどういったものなのかを学ぶ良い機会にもなりました。


社員の現状を把握し、仕事と子育てが両立しやすい環境を整えようと保育園を作りました。会社の強みを最大限に生かし、安心して仕事に取り組めるよう、意識しながら日々動いているようです。
独自の学習システムと日本語学校での教育でコミュニケーション力を伸ばす
2020年から外国人事業をスタート。ネパール人のスタッフが入社したこともあり、ネパールに支店を作ろうと動いています。今は新型コロナウイルスの影響で、日本に滞在している外国人が多くいるため、そこをターゲットに企業とのマッチングを図っています。いずれ外国との往来が自由にできるようになった際は、現地から日本への送客をしていければと思っています。売上がすぐ出てくるものではないので、現在は準備をしている段階です。
外国人と企業のマッチングに尽力していきたいと思ってはいますが、多くの企業からは日本人スタッフが良いという声が多いのが現状です。スタッフがなかなか集まらないような場所は “外国人でも”良いという言われ方をされるほど、まだ受け入れられにくい問題があります。そこで、私は“外国人でも”という認識を変えたいと思っています。こういった認識が生まれる原因は日本語能力にあると考えています。性格は真面目な人が多いのですが、読み・書き・会話に壁がある人が多くいます。そこで、独自にeラーニングシステムを作り、教育体制を整えています。また、日本語学校を建て、現地で就労向けの日本語を学ぶ環境を作って、より多くの外国人スタッフの育成にも力をいれていきたいと思っています。いずれはインドネシアやミャンマーなどにも支店を作り、さらなる海外事業の強化を目標にしています。
最後になりますが、当社はベンチャー企業のため、日々変化がある中で働くことになります。そのため、変化することに対し、楽しめる人が活躍できる環境です。変化することで苦しいこともありますが、変化こそ会社が生き残るために必要なことだと考えています。同じ思いを持った人と働ける日を楽しみにしています。


まだまだ福祉業界は外国人を快く受け入れてくれるところは少ないという現状があります。その問題を打破すべく、日本語学校といった学習できる環境を整備。日本語能力の底上げをはかり、外国人が活躍できるよう教育に力をいれています。