全員が自立した世界一のパッケージメーカーを目指して
株式会社DRIVE代表取締役社長 芦谷 正人
仕事のコントロールを取れる仕組みを確立
当社はグラフィックデザインやWEBデザイン、映像制作、紙袋や箱といったパッケージデザイン、ECサイトの構築など幅広く業務を行っています。デザイナーとして、要望にあったデザインを形にし、世に送り出してきました。事業形態的にクライアントありきの仕事のため、深夜残業や土日出勤が一般的でした。しかし、私はそういった働き方の問題を解決することが大切だと考えました。その一つに有休は完全消化を目指すことを掲げています。現在では8割以上の社員が達成しています。
さらに、仕事の売上やスケジュールを自分たちでコントロールできるよう、ECサイトを立ち上げました。電話やメールでヒアリングをし、ショールームで商談をしたうえで正式に案件が締結される仕組みを確立。以降、一時的な負荷がかかることがなくなりました。そもそものきっかけは、2011年3月に発生した東日本大震災。震災の影響で仕事が減ったこともあり、売上をコントロールする方法はないかと模索した結果、自社で商品を販売するというものでした。当初は月に1件受注があるか否かというレベルで、納品完了後にはクレーム対応に追われたりと四苦八苦。商売の大変さを学びました。辞めようかとも思いましたが、クレーム対応のセクションを設けたりと、問題をひとつずつ改善し、安定した利益が得られるようになりました。また、社員も売上目標となる数字を追いかけて仕事をするというスタンスに変わったことは非常に良かったと思っています。


社員に負荷をかけてしまうことが多かったところをひとつずつ改善。その結果、働き方や仕事への向き合い方が明確化し、より質の良いものが提供できています。
自分のために自分が仕事をする意識
私は数年前まで社員に対し、立場上、やや高圧気味に接していました。しかし、ある日の朝礼で社員に「退社します」と言われたことがきっかけとなり、会社での階級を廃止。当初は困惑している社員も多かったですが、次第に慣れ、今では純粋に仕事に向き合うことが出来ています。そもそも、私は仕事が苦痛になることは良くないと考えていて、デザイナーという仕事柄、楽しむことが大切だと思っています。だからこそ、階級を無くしたことで、仕事以外のストレスは軽減されているのではないかと感じています。
階級廃止を決めたことをきっかけに、私は自立型の組織づくりをすることが大切だと思うようになりました。そこで、ポイントとなるのは会社が決めた「自立」の仕組みにならないようにすることです。たとえば女性の場合、出産や休職など生活スタイルが大きく変わることがあります。ほかにも、スキルアップのため、勉強をする人もいれば、人と会って話を聞くことを大切にする人など、方法はさまざまです。方法は問わず、アウトプットに応じて、インセンティブを決めるようにしました。
ほかにも、以前通勤することが困難になってしまった社員がいました。その際、在宅での仕事に切り替えた結果、会社で仕事せずとも成果を出せることがわかり、会社として「こうしないといけない」というものはないということを実感しました。働いている自分にとって、その仕事の価値づけを各個人がやってくれることで、自分のために自分が仕事するという考え方が定着してきました。


一人ひとりの考え方を大切にし、その人にあった働き方で仕事をすることを提唱。いろいろな経験をしたからこそ、今の形にたどり着きました。
製造もデザインも出来る世界一の会社へ
私たちの仕事はパッケージ業界と言われ、包装資材を作っています。現状では、デザイナーはデザインがメインの仕事のため、製造についての理解が希薄です。一方で、メーカーはデザインには精通していないことがほとんどです。これらの溝を無くすため、製造工程を理解したデザイナーを増やし、ITの技術で集客をはかっていきたいと思っています。さらに、QRコードを読み取り、店舗のプロモーションや再購入できる仕組みを取り入れたパッケージを作ったりと、捨てずに保存してもらえるようなものを作っていきたいです。また、今は紙袋を作るメーカー、箱を作るメーカーと基本的に発注先がバラバラのため、店舗側は手間がかかります。そこで、いずれは袋や箱、ボトルなどすべて一貫して請け負える体制を整え、店舗のブランディングまで行うことが目標です。
私は「パッケージはインフラ」だと考えています。たとえば、お土産を選ぶ際、パッケージを見て選ぶ人もいると思います。つまり、他の商品との差別化はパッケージにあるということです。そのため、デザインだけ、製造だけではなく、一貫して理解することで世界一のパッケージメーカーになれるのではないかと考えています。そして、大切にしていることが「仕事は自分でつくるもの」ということです。与えられたものをこなすだけではよくありません。自分で仕事を作ることで、「これをしたいから、この人に会おう」と自主的に動くようになり、仕事への向き合い方も変わります。自分の考えがまだない人もいると思いますが、仕事をして、多くを吸収することで自分の色が出てきます。夢を持って、やりたいことを見つけてください。


自分たちの仕事であるデザインだけでなく、製造まで理解して、次のステージへ。世界に類をみない会社へと成長を続けています。