コミュニケーションが仕事の原点
株式会社地盤試験所代表取締役 山本 伊作
現場で働く社員の声を大切に
当社は45年以上にわたり「地質調査」という仕事の最前線に立ってきました。新型コロナウイルスが蔓延し、働き方にも変化が求められる時代に。現場第一の仕事ではありますが、在宅やテレワークも積極的に導入し始めました。そのほか、住宅手当や女性のための育児休暇など、他の企業の制度を参考に当社にあったスタイルで取り入れるようにしています。
私は仕事をする上で一番大切にしているのは「コミュニケーション」で、何かを決める際には社員の声を受けたものを参考にするように心がけています。これまでは現場重視の仕事ということもあり、基本は直行直帰の就業スタイルで、資料を作成するためだけに会社に戻ってくるという状況でした。コロナ禍になってから、パソコン作業のために現場から会社に戻るのは効率がよくないものだと初めて気付き、自宅や現場での作業を認可するなど、効率化も考えたスタイルに切り替え始めました。大手企業のようにシステムが整えられない部分もあるからこそ、社員一人ひとりの声に耳を傾け、環境を整備するように心がけています。
さらに、コミュニケーションという部分では社員に携帯を持たせるようにしました。個人の負担を無くし、会社が料金を負担。用途を制限することもなく、大切なコミュニケーションツールとして使ってもらうようにしています。仕事はチーム単位で行うことが多いので、身近に置いておくことで普段からお互いに連絡を取りやすい環境が自然と出来上がり、よりチームの団結力が強くなっています。ただやみくもに制度を設けるのではなく、必要だと声があがったものを会社として取り入れられるのかどうかを話し合ったうえでニーズに合わせた形に制度を作ることが大切だと考えています。


上下関係に縛られることなく、思ったことは発言できる環境を作ることを意識。現場では安全第一なので、コミュニケーションを取ることでミスなども減り、安全かつ円滑に業務がこなせるようになるそうです。
独自の手当を導入し、生活面もサポートも
制度と言えば、扶養手当と独自に設けた子ども手当というものがあります。これは現会長が社長だった時に作ったもので、私が入社した時、二人目の子どもができたタイミングで、同じ時期に子ども手当の制度が出来ました。子どもが4人いる社員もいるので、より子育て世代へのサポートを手厚くしようと導入されました。通常の扶養手当だと妻と子どもが対象になりますが、子ども手当は子ども一人につきプラスで手当を支給するというものです。私が会長の娘婿になったことも関係しているとは思いますが、子育て世代の大変さを理解しているからこそ取り入れたものではないかと思っています。中学3年生までが対象なことのも心強いのではないかと思っています。
ほかにも、出張が多いので出張手当というものも設けています。1週間から長いと2カ月と期間もバラバラです。仕事で出ているとはいえ、リフレッシュも必要です。そこで、1泊あたりの料金にプラスで日当を支給しています。差額は自由に使えるので、仕事とオフの切り替えをしてもらえるような形になっています。仕事面の環境整備はもちろんですが、生活面の環境を整えるのも大切なことだと捉え、社員のためにできることを考えていくことが必要だと思っています。


子ども手当制度は子育て世代にはかなり心強い。中学3年生までサポートしてくれるというのはかなり子育ての大変さを理解しているからこそ。出張手当なども設け、オンとオフをしっかり分けられるというのは魅力的です。
努力は高く評価し、さらにスキルアップ
生活面のサポートは手当てという形でできますが、仕事をする上でもうひとつの重要なサポートと言えば、褒賞金制度の充実だと考えています。以前から制度はあったのですが、さらに手厚い制度にしました。この業界は資格が仕事をする上で非常に大事です。数ある資格の中でも、技術士が重要で、取得すると一時金で30万円、月々の給与に3万円の手当てがつくようになり、業務内容に密接に関わる資格でもあるので、取得を推進しています。そのほか、建築士や土木施工管理技士や地質調査技士など、あまり一般的には知られていないようなものが多くあります。どの資格でも取得すると、それに応じて褒賞金が給与にプラスされる仕組みになっています。また、引退された大学の先生を顧問にお迎えし、業務のアドバイスや資格取得の講師なども担ってもらっています。
こういった制度を導入しようとなったきっかけは人材育成の基軸がきちんと定まっていなかったことが明らかになったからです。営業利益はもちろんですが、会社の今後の目標として、お客様へのさらなる技術の提案、他社との競合で勝ち抜く、海外進出などが挙げられました。これらの目標を実現するためには人材育成が必要なのではないかという考えに至りました。今は常に業界トップを維持していますが、末永くトップで居続けるためにも技術のさらなる向上や知識を増やすということが重要になると思っています。海外での仕事はこれまでもODAの事業でいくつも経験はありますが、まだまだ勉強途中です。実際に事業に携わったスタッフからは「また仕事してみたい」という声もあがっているので、今まで以上に力を入れたいものの一つです。まだ海外でのコネクションが少ないので、現地のゼネコンなどと一緒に仕事をし、いずれは海外のコンサルティング会社との付き合いを通じて、建設会社とも連携を取り、仕事をしていければと考えています。ともに学び、動いていける人とともに働けたらと思っています。


高い目標を掲げ、そのためにはどうすればいいのかを考えて動くという姿勢。さらに、社員のスキルアップのサポートも手厚いので、モチベーション向上につながりそうです。