経営理念への共感が、組織と社員双方の成功を作り出す
株式会社エコライフ代表取締役 榊 康一
発信し続ける事で、社員のロイヤリティを高めていく
当社は理念経営をしており、社員への経営理念の浸透を重要視しています。そのきっかけとなったのは10年前の出来事です。これまでも大切にしていた価値観はあったものの、利益を追求することに注力してしまった結果、幹部の独立や離職が生じてしまった時期がありました。改めて経営の目的を自らに問いかけたところ、「経営とは縁ある人々を幸せに導くこと」であるという考えに辿り着いたのです。それ以降は経営理念を大きく掲げ、目的の共有と浸透を重視した理念経営に切り替えました。より理念を体現するために、「達成、情熱、挑戦、主体性、育成、貢献、万象肯定・万象感謝」という7つのフィロソフィーや実践十ヶ条という行動指針を策定し、より社員への浸透を促していったのです。
これらの経営理念や当社の価値観に対する社員の理解度を深めるためにも、私は社内SNSを通じて、年間で400回以上の発信をしています。この時にお伝えしているのは、経営理念に至った背景はもちろん、どのようにすれば経済的に豊かになれるのかという技術面の話から、仕事と家庭を両立するためのタイムマネジメントといった、社員に知っておいてほしい考え方など様々です。実際に、私の前職の社長も3日に一度、社員に対してFAXで価値観の共有をしていました。私は毎回読み込んで理解しようとしましたし、それが今の組織人としての私につながっています。だからこそ、自らが発信して、同じ価値観で働ける環境を作ることが大切だと感じています。


「最初から、創業者と同じように企業理念を理解するのは難しいかもしれない。でも発信し続ける事でいつか社員の心に届くはず」と語る榊社長。過去のご経験からも価値観の共有を大切にされています。
経営理念を体現した表彰制度の実施
経営理念に基づいた評価を社員に与えるためにも、半年に一度、表彰式を開催しています。この表彰式は当社が掲げている7つのフィロソフィーを体現した社員を称えるイベントです。営業会社なので、どうしても売上面の評価が主軸になると思われがちですが、フィロソフィーを評価基準としているため、営業以外のサポートメンバーの行動もしっかり評価できるようにしています。例えば、フィロソフィーの一つである“達成”分野では、全社員に共有している目標を達成できたかどうかを評価します。“情熱”分野に関しては、周囲に情熱的に影響力を与え、どれだけ巻き込めたかという部分が評価基準となります。受賞者は全社員からの投票と経営陣との会議で決定する仕組みになっているので、表彰式を重ねるごとにそれぞれのフィロソフィーが持つ本質が明確になり、社員の思考力も高まっていると感じています。
この表彰式は、客観的な評価を通して、社員が自身の新たな気づきを得るために実施しています。これまでも明確な人事評価を設けていましたが、人事と本人だけが把握している状態では、組織全体における個人のアイデンティティを作ることができません。表彰式での周囲からの評価を通して、今まで気づかなかった自身の強みと向き合う社員が増えたと感じています。会社や仲間からの客観的な評価を得ることによって、周りからの期待やイメージを知れますし、それが一人ひとりの自信につながっているのです。
その他の理念を浸透させる取り組みとしては、2日間研修も実施しています。8名ほどの社員が入れ替わりで参加するこの研修では、経営理念にある「社員の物心両面の豊かさを実現する」をテーマにし、理念の体現のためにはどのような技術が必要で、どのような行動をすべきなのかという能力開発の内容を学ぶ研修です。


理念の浸透はもちろん、別途営業技術にまつわる教育制度にも力をいれている株式会社エコライフ。営業ノウハウをまとめた動画や、社外研修など多くの研修制度を導入されています。
同じ目的に向かって走り続けられる人たちと働きたい
理念共感型採用は、根本的な考え方や目的が同じ社員が集まります。例えば、お金を稼ぐためだけに働いている人と、社会を良くしたいという人とでは目指す方向性が異なります。もともとの価値観が違えば業務はおろか、人間関係にも影響を及ぼしてしまうことでしょう。しかし、目的やビジョンが同じであれば、手段が異なったとしても目指すゴールは一緒です。それぞれの案を組み合わせた新たな方法が生まれて、さらなる成功を導くことができるのです。
その一方で、理念の「社員の物心両面の豊かさ」という側面において、豊かさの捉え方にブレが生じてしまう場合もあります。私たちが求めている豊かさは、経済的な不安がない中で思いやりのある自己実現が、結果的に社会に貢献していることです。そのため、その豊かさは大小で測れるものではありません。小さな成功も大きな成功も、全てが豊かさにつながっていくのです。それを理解してもらうためにも、日々の自社SNSでの発信を継続し、段階を踏んで理解してもらうようにしています。
私自身、営業経験もない0の状態から小さな成功を積み重ねて、ここまで来ました。これから社会に出る皆さんにも今がどのような状態であろうと、成功の可能性を信じて自信をもって社会に羽ばたいてほしいと思っています。私はいわゆる個人の私的成功は完了しました。分かりやすく言えば、もう働かなくても良い状態になりました(勿論、まだまだ働きますが…。)。これからは私の持っている能力・時間・お金は次世代のために使っていきます。自分の成長や飛躍を遂げたいとお考えの方と、一緒に働けることを心から楽しみにしています。


「知る・わかる・行う・できる・分かち合う」の能力開発5段階のうち、「分かち合う」部分ができる人材を増やしたいと榊社長は話します。発信や共有を通して、それぞれの能力を高めてほしいと考えられています。