企業文化を浸透させることが、人間力向上の秘訣
株式会社ジンジブ取締役 新田 圭
感謝を伝え合う文化で、お互いの存在価値を承認する
当社はメンバーに大切にしてほしい価値観を25項目にまとめた「人間力25」を掲げています。ただ掲げるだけでなく、「人間力25」に基づいた企業文化を体現し、メンバーへの浸透を促している会社です。
特に体現しているのは“感謝”の項目で、「ありがとうカード」という取り組みを実施しています。メンバーがお互いに感謝を感じた相手に対して、感謝の気持ちを紙に書いて贈り合う仕組みです。社内では些細なことでも感謝の言葉が飛び交い、私もメンバーからメッセ―ジをもらうこともあります。人は誰しも、心の栄養がなければ最大限のパフォーマンスを発揮する事は難しいでしょう。自分の存在価値と行動に対する承認を得ることで、自信につなげてほしい――そんな思いを込めて仕組み化をしました。
ありがとうカードを取り入れたことで、社内の人間関係が非常に良好になっていると感じます。大人になると面と向かって感謝を伝えることに気恥ずかしさを覚える方も多いはずです。あえて習慣化させることで、お互いが気持ちよく仕事に取り組めますし、スムーズに回ると考えています。また、自ら書くという行為には思い切りが必要です。感謝を感じた時、そして伝えたいと思った瞬間に素早く行動するという習慣がついているのではないでしょうか。
他にも、承認文化として部署や職種問わずに全メンバーを表彰する仕組みを設けています。当社では半期に一度のタイミングで表彰式を開催し、メンバーの努力に報いる文化があります。営業は数字という可視化しやすい評価基準がありますが、管理部門やキャリアコンサルタントの成果は営業と比較をしたら表面化しにくいでしょう。全メンバーを表彰の対象とすることで、メンバーのモチベーション維持に努めています。


「ありがとうカード」は誰かに偏るという事もなく、全員が同じくらい贈り合っているのだそう。メンバーの相手を思いやる気持ちが等しく浸透していると、新田取締役は考えられています。
若いメンバーが会社を作り、未来を切り開く
当社には人間力とロイヤリティの高いメンバーが揃っています。掲げている人間力は25個もあるため、人によってどれが重要なのかはバラつきがあるかもしれませんが、当社のメンバーの特に優れているポイントは「笑顔」と「受け入れる力」、いわゆる「素直さ」だと感じています。この部分はどの会社にも劣らず非常に高い能力を持っていると断言できます。社会に出たら、仕事中に幾度となく立ちはだかる壁に真正面から向き合い、課題を克服しようとする力が必要です。当社では、先輩からのフィードバックも素直に吸収し、自分の欠点を埋めているメンバーが多く、それが強みとも言えます。私は、このメンバーの素直さの定着要因は、当社の環境にあると考えています。素直さが強い人と共に仕事をしていると、自然と周囲の素直さも洗練され、それが企業文化として浸透していきます。もちろん、入社時にある程度の素直さを持ち合わせている方を採用している側面もありますが、メンバー同士がお互いに影響を与えている事は間違いありません。
メンバーの事を考え、様々な仕組みや制度を取り入れつつある当社ですが、ルールの固定化を進めれば進めるほど、ベンチャー感が薄れてしまうのも事実です。そこで、当社の場合はトップダウンの組織ではなく、メンバーが主体となってワクワクするような制度作りを進めています。メンバーに考える楽しさを味わってもらうと同時に、自分たちが会社を創り上げていくという参画意識を持ってほしいと考えているのです。実際に、最近では上段で述べた承認文化に基づき、成果を出しているメンバーを毎週表彰する仕組みを作っています。


このコロナ禍で完全リモートワークを実施した株式会社ジンジブ。直接会ってお互いの士気を高めたいというメンバーが多く、リモートワークでは元気のない方もいたのだそう。「人と人が支え合っている環境だと、改めて実感した瞬間でした」と新田取締役は語ります。
挫折経験が、社会での自分を強くする
そんな当社が求めているのは、何事にも負けない強い気持ちを持って継続できる人です。新卒で4月に入社した場合、卓越したスキルを持ち合わせている方は少ないでしょう。当社ではスキルを重要視せず、失敗しても諦めずに前向きに取り組める人を求めています。社会では、自身の不足を埋める作業の連続です。自分の至らない部分を知る度に落ち込んでしまっていては、飛躍した成長を遂げる事は難しいでしょう。自分の課題と常に向き合い、乗り越えられる人が成果を出している傾向にあります。そのため、面接時には「挫折した経験」を尋ねることが多いです。これまでに一度でも挫折経験がある人であれば、立ち直り方もわかるでしょうし、それを素直に答えられる人に魅力を感じます。
企業文化が浸透している当社ですが、現状明確な教育制度がなく、体系化を進める事が急務です。現在はOJTで、先輩が付いて指導をしているため距離感が近いのが魅力ですが、しっかりとした制度としては成り立っていません。将来的には社内大学を設けてメンバーのランク付けをし、モチベーション向上にもつながる教育体制を確立できたらと思っています。
当社は世の中にない商材を提供している分、壁にぶつかることも多いと思います。企業の拡大とともに、お客様やユーザーからの期待は大きなものになるでしょう。だからこそ、何かしらの課題が生じた時は一回一回立ち止まり、乗り越えられる力をメンバーには身に付けてほしいと思います。これから入社する方には大変な思いをさせてしまうかもしれません、しかし、当社では皆さんを先輩社員や幹部がしっかりバックアップします。その環境はお約束できるので、自身のチャンスを最大限に生かして成長していただけたら幸いです。


ロイヤリティを高めるためにも、幹部がメンバーに“伝える場所”を大切にされています。朝礼では事業への思いや、同社の佐々木代表取締役が18年間書き続けたブログの中身についてお伝えし、価値観のズレを防止されています。