ビジョン・ミッションへの共感が、社員自身のためになる
LIFE STYLE株式会社代表取締役 古城 芳明
会社の方針を社員に浸透させ、営業活動に生かしてほしい
当社は年に一度、全社員で会社の今後について考える未来会議を実施しています。昨年の未来会議のコンテンツは、当社が掲げているビジョン・ミッションをこれまで以上にかみ砕いて言語化するという内容でした。そこで言語化した内容を社内に浸透させるためにも、現在では毎週月曜日の全社会議で社員同士が自分なりに理解したことや思いを伝え合うようにしています。
私が代表に就任して以降の3、4カ月間は、月に一度の全社会議で一方的にビジョン・ミッションの重要性を伝えていましたが、社員にどのくらい浸透しているかが目に見えないという課題を感じていました。そこで社員同士のビジョン・ミッションに対するお互いの考えを伝え合えるように、全社会議の在り方を変えたのです。結果的に、社員の思いを聞くことでこの二つがどの程度浸透しているかが把握できるようになりました。
それだけではなく、社員が営業活動の時に企業にとってのビジョン・ミッションの大切さを語る姿が見られるようになりました。私たちのメイン事業は、クライアント先で新規事業の立ち上げの支援をすることです。新規事業はマニュアルもルールもない状態からのスタートなので、それぞれの解決すべき課題を提案する必要があります。新規事業をスタートしたばかりの頃はミッションや目的が明確ですが、実際に日々の実務に取り組むと目先の作業をこなすことに集中してしまい、最初に定めた事業目的を見失う事もあるでしょう。そうならないためにも、常にビジョン・ミッションと業務内容を紐づけた取り組み方を浸透させるべきだと考えています。社内で自分たちが経験し、感じたことをそのままお客様に伝えるという姿勢が強くなったと感じています。


「社員が作成した提案資料の1ページ目に、事業に対するビジョン・ミッションを加えるようになりました。」と語る古城代表取締役。会社全体でこの二つを常に意識する体制が整えられています。
社員の未来を考えて作成した、オープンな人事評価制度
制度の部分をお伝えすると、当社では設立3期目から人事評価制度を導入しています。この人事評価制度は、行動やコンピテンシーに基づいて評価するグレード制です。グレードに応じて10個から13個ほどのコンピテンシー項目を用意し、評価される行動とそうでない行動を明記したノートを社員全員に配布しています。そうすることで、曖昧な評価基準を明確にすることができるのです。さらに、もう一つの特徴として、それぞれがどのグレードに位置しているのかをオープンにしています。一般的な人事評価のイメージはブラックボックスのような形で、自分以外の社員がどのように評価されているかが見えにくいと思います。あえてオープンにすることで、自分より優れている人との差分を埋めるために何をすべきかがわかりやすくなるのです。
当社は「公明正大たれ」というバリューを掲げ、全員に損益計算書を配布しているほど非常にオープンな企業文化です。今後の当社は、事業ごとに分社化をしていこうと考えています。分社化が進めば、今評価されている側の社員も、経営者として評価をする側の立場になるでしょう。そのための道筋を作りたいという思いで、評価制度をオープンにしているのです。
評価制度は一方的に評価するのでなく、それぞれが成長するための仕組みだと思っています。会社のビジョンや目指している方向性と社員の目標のベクトルに相違があると、双方にデメリットが生じてしまうでしょう。この部分のミスマッチがないかを見るための共通言語としても評価制度は機能しています。


創業当初からweb会議をメインにした営業手法を取り入れていたLIFESTYLE株式会社。週2、3日程度のリモートワークを実施されるなど、働き方の部分についても力を入れられています。
新規事業に携わりゼロからイチを作れる環境
私が一緒に働きたいと思う人は、素直で、事業に対して誠実な人です。ここでいう素直さというのは、私たち役員に対する素直さではなく、当社が成長していくことに対して素直で誠実でいてほしいという意味です。成長するために必要な事は全て吸収しようとする意識を持ってほしいですし、そういう方が現在では活躍している傾向にあります。
当社の場合、取り組んでいる事業はもちろん、支援するクライアント先での業務のほとんどが新規事業です。そのため、ある程度のルールが設けられていて、それを参考にしながら働きたい方にとっては難しいかもしれません。ゼロからイチを作り出す姿勢が求められるため、何もない状態から組織を強くしたいと思える方であればご活躍いただけるはずです。マニュアルが無い中で試行錯誤を繰り返し、実現していく業務なので、課題が出てくることも多いと思います。そういった部分にはしっかり向き合って、一緒に改善をしていくような環境です。
就活中の皆様には、会社としてのビジョンを見据えることはもちろん、その会社で働く人と何を目指したいかという目標を大事にしてほしいと思っています。ベンチャー企業はビジョンや軸を大切にしながら事業を展開するので、ビジネスモデルや事業もその時によって大きく変化しますし、一つのことをやり続ける企業はそう多くありません。“何のためにやるか”という企業のビジョンを重視し、自分の大切にしている考え方とマッチしているかどうかを擦り合わせていただけたら幸いです。


社員の満足度を高めるためには、1日5分でも社員一人ひとりと会話をすることが重要だと語る古城代表取締役。大それたイベントで社員とマンツーマンで話すよりも、日々のコミュニケーションの積み重ねが信頼関係を生むと考えられています。