会社の未来を担う社員が安心できる環境づくり
Fullon株式会社代表取締役社長 CEO 木下 賢司
社員満足度=顧客満足度の考えのもと、働きやすい環境を整える
当社はバリューに「社員満足度」を掲げており、投資する先は社員だと考えています。社会に対してサービスを提案するのも、顧客満足度を高めて維持させるのも社員ですし、彼らの活躍によって世の中は良くなると思っているからです。そのため、当社では社員満足度向上のために様々な取り組みを実行しています。
そのうちの一つが、月額3万円の生活手当です。この手当は、3万円の一部は交通費として使用してもらい、残った金額は各自が自由に使用できる仕組みになっています。会社近辺に住めば交通費もかからないので、3万円全てを自由に使うことが可能です。この手当は世間一般で言うところの住宅手当や家族手当のようなものですが、近年では結婚しないという選択をする人も増えています。配偶者やご家族の有無にかかわらず、全員に共通で支給するためにこのような名称になりました。組織の成長と共に社員が飛躍を遂げてくれるはずだ、という期待を込めて支給しています。
もう一つ、社員に投資するという観点で当社が力を入れているのは研修制度です。新人研修は入社後3カ月間は外部のスクールの研修を受けてもらい、4カ月目からは社内OJTが付いて指導をしています。エンジニア派遣は「お客様に育ててもらう」という側面がある中で、当社では自分たちで社員を育て上げたいという想いが強く、今年度は教育専属のOJT担当を設けました。そのおかげか今年度の新入社員はとても成長が早く、アウトプットをしながら仕事を楽しんでいる姿が見られます。そのほかにもeラーニングを取り入れ、自主的に学べる環境を整えています。


大手企業の内定を蹴ってベンチャー企業である同社への入社を決意する社員もいるからこそ、福利厚生や制度の部分で社員を悩ませたくないという木下社長。社員への熱い思いがひしひしと伝わってきました。
お互いに感謝を伝え合い、社員同士の一体感を築く
最近一番効果を感じた取り組みは、2017年に導入した社員がお互いに感謝を送り合うツールです。このツールを活用すればするほどポイントが加算され、最終的には月に3000円~5000円ほどの手当てとして支給されるようになっています。当社の場合は受託開発とエンジニア派遣の二つのビジネスを行っているため、全員がこのオフィスに集まるわけではありません。そのため、社内のコミュニケーションが希薄になってしまう側面がありました。少しでも社内交流を活性化させるためにこのツールを導入したところ、業務上で関わることの少ない社員同士が感謝の言葉を伝え合う文化が誕生したのです。また、コミュニケーションを促進するだけではなく、組織が健全に動いているかどうかを可視化することもできました。人事的な観点から見れば、チームメンバーを褒めている上司は部下の行動を細かく見ていると判断できますし、一方で部下から上司へのメッセージがあれば慕っていることがわかります。今後は組織の成長に伴いコアな人材を増やす必要があるからこそ、このツールをうまく活用している人にはチャンスを与えていきたいと考えています。
このような環境だからこそ社員全員の仲は良いですし、先輩社員がメンバーに良い影響を与えている姿も見られます。実際に当社で活躍している社員は自主的に行動できる人がほとんどです。会社が用意した研修や環境をうまく利用し、お客様に対しても前向きな気持ちを持っている人が活躍している傾向にあります。お客様からの相談に対して自信がなかったとしても、まずは受け入れ、どのように課題をクリアすべきか考えられることが大切です。今後は過保護になりすぎるのではなく、社員一人ひとりの行動や自主性を信頼して、さらなるチャンスを与えていきたいと考えています。


最近ではテレワークの浸透により直接顔を合わせる機会が減少したFullon株式会社。こういう時だからこそこれまで以上にツールを活用し、交流を深めようとする社員が多いのだそうです。
これから先もFullonらしさ全開のサービスを
私たちの事業はエンジニア派遣ビジネスからスタートし、現在では受託開発も行っていますが、創業時には自社サービスの実現を目標としていました。この自社サービスというのは、“Fullon”らしさを全開にしたサービスです。そのサービスを利用した企業の方に元気と活気を与えることができれば私たちも嬉しいですし、お互いがFullonな状態になれると考えています。また、エンジニア派遣の場合は、40歳近くなると定年説が囁かれ、仕事が少なくなる現状があります。しかし、自社サービスがあれば私たちが人事権を握るため一生現役のプログラムを任せることもできますし、彼らにふさわしい仕事を与え続けることが可能です。2020年からは自社サービス部門の専属担当を2名置いて、着々と準備を進めています。
社員のために制度を整え、組織を拡大している当社ですが、マネジメント層の育成に課題を感じています。今年度からOJT担当を専属で設けましたが、専属担当を複数人作り続けなければ、会社の成長は難しいでしょう。マネジメントをする上で大切なのは、自分意外にどれだけ関心が持てるかどうかです。現在では外部コンサルにも頼りながら、社員のマネジメント力の向上に向けて動いています。
社会人1年目の会社はとても重要です。「この会社とこの上司に出会えたから、自分自身のコアな部分ができた」という感覚を、早い段階から味わってもらいたいと思います。私自身も3社目の会社で尊敬できる社長に出会い、今の私を育ててくれました。石の上にも三年という言葉にあるように、キャリアの浅い時期は、出会った上司を信じて自分の軸となる部分を見つけていただけたらと思います。


以前とある家電メーカーのECサイトを手がけた際に、その顧客の売り上げは1000万円以上にもなったのだそうです。今後も顧客と自社にとって“Fullon”なサービスを展開していくと木下社長は語ってくれました。