本当の働きやすさは、自己成長ができる環境かどうか
株式会社パック・エックス取締役 CEO 松林 孝征
会社の役割は、個人の成長を裏で支えること
当社では、仕事を通じた社員の成長の実現を促し、やりたい事と真摯に向き合える環境を整えています。自己成長の9割は会社や環境に依存することなく、自分自身の努力によって成し得るものです。やる気や上昇志向の強い人は自然と成長しますし、そんな本人の成長意欲に蓋をせず、徹底的にサポートをすることが会社の役目であると考えています。当社では、時間内で質の高い成果を出せることを目的として、無駄な残業の削減や長時間労働の是正を行ってきました。しかし、本人が希望した場合の残業や休日出勤などは厳しく管理、抑制することはありません。これも社員の自己成長をサポートしていくためです。
実際に、このような環境の中で社員は著しく成長を遂げています。以前、大きな成果を出していた社員が産休に入ることになり、2017年入社の社員に顧客や業務を引き継ぎました。大口顧客や膨大な業務を任せられ、端から見たら一か八かという程の負荷が彼女にはかかっていたことと思います。しかし、彼女は周りの心配をよそに逆境を乗り越えて、一年でリーダーのポジションに上り詰めるほどの急激な成長を遂げました。結果的に、彼女は年間表彰で三年連続受賞するほどの大飛躍をしています。また、他にも2017年入社の社員は入社一年目の段階にも関わらず、当社の体制に対して様々な意見を出してくれました。当時は明確な研修が用意できておらず「もっとこうしたほうが良いと思う」という根本の部分から提言をしてくれたのです。そこから声を上げた彼に研修を作るチャンスを与え、しっかりと形にしてくれました。私たち役員は現場からの意見にハッとさせられる事が多く、個人の伸びしろを重要視しているからこそ、それぞれの意見に耳を傾けています。当社に入社をすれば、同年代の誰よりも責任が大きく幅広い仕事を任されている状態を目指す事が可能です。この環境づくりも心掛けています。


株式会社パック・エックスでは社会人として必要なスキルを指導する研修を用意しています。能力開発的な研修は体系的に行わず、社員全員の目が届き、フルサポートできるような仕組みを整えられています。
仕事がうまくいく人ほど、私生活も充実している
私はワークライフバランスという言葉通りに、仕事とプライベートを切り離して考えるべきだとは思いません。自分のプライベートを含んだ人生を豊かにするためには、仕事を通じた自己成長が必要不可欠であると考えているからです。率直に言うと、社会に出て仕事や自身のキャリアアップが順調でない状態にもかかわらず、プライベートが充実しているなんて事はあり得ません。そのため、家族や友人、自分自身の生活を豊かにするためにはお客様や仲間、会社への貢献ができるようになってほしいと思います。これに付随し、当社では「素敵な人になろう」というキーワードを掲げています。ここでいう素敵な人の定義は、当社が大事にしている「愛と信頼」という考え方をベースにしており、お客様や仲間に愛情を持ち、信頼してもらえるような考え方を持つことです。周囲に愛情を注げ信頼を得る人は結果的に仕事ができる人で、これこそが「素敵な人」なのです。当社で働く社員にはこの「素敵な人」を目指してもらいたいです。しかし、この「素敵な人」というキーワードだけを意識してほしくはありません。当社に入社すれば素敵な人になれるというわけではなく、上段で述べた自己成長に対する上昇意欲がなく、弛まぬ努力を続けられなければ難しいでしょう。
社員が伸び伸びと働ける環境のためにも、私に直接“悪い話”を言えるような雰囲気づくりを心掛けています。ここでいう悪い話というのは、例えば、組織の現状に対する社員からの指摘など、通常であれば社員から役員に言い出しにくいであろう事柄を指します。私自身も取締役CEOという立場とはいえ、良い話ばかりを受けていては裸の王様状態になってしまうでしょう。近い距離で、悪い話をどんどん吸い上げる――そうすることで、社員が抱えている些細な気持ちに気付けるのです。


社員との近い距離を保たれている松林取締役CEO。悪い話をしやすい雰囲気づくりだけではなく、社員と冗談を交えながら雑談される姿もあり、人間関係の良さを感じられました。
ベンチャーらしさを忘れない“待遇”を作り続ける
成長できる環境を整える一方で、今後は給料や待遇の部分を整えていく必要があります。上段で述べた「素敵な人」を目指している社員は、いずれ学生時代の同級生と自分の給料や年収を比較するはずです。中小企業である以上、その時に心もとない思いをさせてしまうこともあるでしょう。今後は、当社の思いを背負い、走り続けてくれている社員に恩を返していけるような一流企業並みの待遇と給与を整えることが急務です。しかし、単純に“働きやすさ”の実現を目的とするのではなく、本人たちの成長を前提にした待遇を考えています。
例えば、産休・育休後の仕事に関しても、当社の場合は一風変わった仕組みです。女性には子育てを終えた後のキャリア形成も重要です。育休を経て復職後の時短勤務中も業務の負担を軽くする事だけではなく、産休前と同じ内容の仕事を任せることも意識して、今後のキャリア形成が容易になるようにしています。本人たちの市場価値を高めるための制度こそ、働きやすさの実現につながるのではないかと考えています。
また、現在は家族・住宅手当の導入にも取り組んでいます。この各種手当はレベル1~レベル5まで設けており、自分たちが達成すればするほど、待遇が手厚くなるという仕組みです。成長と待遇を表裏一体にすることで本人たちのモチベーションも向上すると考えています。社員の頑張りだけに依存するのではなく、会社もそれに対して何かを返す――そして、良い状態を維持していくことが私たちに与えられた使命です。ベンチャー企業である以上、日々の成長が強く求められますが、そこを理解し、自分で会社を作り上げていきたいと思う方と働けたらと思っています。


「オフィスにキッチンを設置し、ランチをフリーにするユニークな制度もいつかは取り入れたい。」と松林取締役CEOは笑顔で語ってくれました。