自分で考え挑戦し続けることが、チャンスを掴む第一歩
株式会社グッド・クルー代表取締役社長 堀 哲郎
自分のキャリアビジョンは、自分の手で切り拓く
「自分で自分の人生をコントロールする事」と「教育」――。当社は、人を商品とするビジネスを行っているからこそ、この2つの考えを軸にしています。これまで、自分で行動して成果を出すこと、そしてそのための環境をいかにして作るかを重要視してきました。そのため、若手社員のチャンスを少しでも広げるための仕組みや文化を作り上げています。
例えば、新卒採用の最終面接。他社では社長もしくは役員との面接を取り入れていることが多いと思いますが、当社の場合は事業部ごとに任せています。採用業務は、新たな雇用を増やすため非常に責任が大きい仕事です。これを成し遂げるためにはどうすべきかを、若いうちから考える習慣をつけることを目的にしています。また、先日は2019年入社の新卒社員による新規事業プレゼン大会を開催しました。先輩や上司からのアドバイスを受け、自分の中に落とし込んでいく力をつけてほしいと考えています。
さらに、若手社員のチャンスを広げるための制度として、当社ではジョブチャレンジ制度を導入しています。これは自らキャリアチェンジを希望できる制度です。実際に、ショップ配属の社員がこの制度を利用して、法人営業に異動したケースもあります。異動先ではクライアントからの評価も高く、現在では営業を教育する部門のグループリーダーを務めるまでに成長しています。
入社時の段階では「こんな仕事をしたい!」という具体的な希望を持っていない新入社員も、仕事をしていくうちに挑戦してみたい仕事に巡り合う日が来るでしょう。その時の希望を実現するためには、自分がどのような動きをすればお金を生み出せるのか、という根本的な働き方を覚えなくてはなりません。そのため、入社後3年間は現場での経験を積み、基礎を固めていただきたいと思います。そうすることで、ジョブチャレンジ制度を受ける時期には挑戦の幅も広がるでしょう。


ジョブチャレンジ制度は現在少しずつ仕組みを変えており、関西の方では簿記3級、販売士3級、そして配属先で使用するキャリア資格を取得することで、異動申請ができるような条件を定めているそうです。
表面だけでなく、背景を知ることが最高のサービスにつながる
教育面では、自分へ時間を投資する訓練を目的として、私たちが提携している研修会社のプログラムを受けてもらいます。各個人が身に付けたいスキルを選択でき、研修を受けると研修参加手当をもらうこともできます。何種類もの研修を用意していますが、それらの全ては“相手の立場から物事を考える事”からスタートします。例えば、一般的なコーチングの研修は「コーチング理論とは何か」からはじまることが多いのですが、当社の提携会社の場合は、まずはコーチングを受ける側の立場になってから学んでいただきます。どのビジネスにしても、一番重要なのは「背景を知ること」です。表面化されているものだけではなく、隠された本質を見る能力が必要だと考えています。私たちが大切にしている「感情移入」はこの部分に通じるところがあります。人と接するとき、相手の本心は、その立場になって初めて気づくことができるからです。「感情移入」は、ビジネスシーンだけでなく日常生活においても生かせる能力の一つなので、積極的に身に付けていただきたいと思います。
また、私は全社員とSNSツールでつながっています。社員からは質問や相談が頻繁に届き、それら全てに返信するようにしています。そして、SNS上では毎月会社の利益や月次を全社員に知らせています。ビジネスパーソンとして育成するために、若いうちから自分の頭で考え、数字を読む習慣を付けてもらいたいと考えているのです。
若手社員の一番の能力は素直さだと思っています。わからない事を素直に質問できる環境を整えることで、よりその能力を磨けるのです。「社長」と聞くと、一見“偉い”というイメージを持たれると思いますが、私はそうは思いません。私は組織のピラミッドの中でも一番下に属し、全社員を支えている立場なのです。そのため、どこよりも信念が強固な組織になり、考え方にブレが生じません。全社員がどの部署、どの役職に行ったとしても、常にサポートできるような立場こそが、本来あるべき社長の姿だと思っています。


「社員には、誠実、謙虚、感謝を大事にしてほしい」と語る堀社長。代表に就任した際、現場の全社員300人一人ひとりに1時間半かけて面談を行ったそうです。合計450時間にわたる面談を通して現場の状況を把握し、会社の方向性を決められていました。
どんな局面でも努力を続けることが大事
今後、当社は今までのビジネスモデルだけでなくHRコンサルティングという新たなフェーズに挑戦していきます。今までは人材支援をする上での収益でしたが、今後は人材の課題を抱えている企業様のニーズに答えるビジネスモデルになります。しかし、現状はそれに関する技術を持った社員が少ないのも事実です。そこを埋めるために、2020年4月からはタレントビジネスを導入することになりました。フリーランスの人事の方などと契約を結び、専門的な技術や実績のある方がチームとして参加する事で、社員の学びの場が広がると考えているのです。
これから就活をされる皆様には、基本的な自己分析で満足せずに、しっかりと面接の対策をしていただきたいとも思います。学生時代、部活や受験など、年に数回しかないチャンスのために日々努力を重ねてきたかと思います。就職活動も同じで、自己プレゼンの場はこれから増えていきます。最高のパフォーマンスを出すためにも日々、自分と向き合い練習を繰り返すことが大切です。自分がこれまでに学んだ知識を生かせる会社はどのような会社なのか、そして、市場価値を高めるためにはどのような能力が必要なのか、考えながら行動してほしいと思います。
就職活動も、成長につながる大きなきっかけになります。どのような局面でも努力を繰り返せば必ず報われる日は来るはずです。そしてその先の自分のビジョンを広げ、少しでも多くのチャンスを掴み取っていただけたら幸いです。


「そこに愛はあるのか?」と社員に問いかけている堀社長。これを問いかけることで、心のキャパを広げることができるそうです。社員が仕事で壁にぶつかったときこそ、「人を愛す」ことを思い出してほしいとおっしゃっていました。