社員一人ひとりの充実度を向上させ、やりがいを感じてもらう
グラン・エム株式会社代表取締役 藤井 洋輔
楽しむために働き、自分の人生を豊かにしてほしい
当社で大切にしているのは、「楽しく」時間を共有することです。仕事をする上での楽しさは、待遇の良さによって左右されると考えています。給与の面ではもちろん、福利厚生や手当を充実させることが、社員の幸せにつながるのです。そのため、社員にはただ単に利益だけを求めて働くのではなく、楽しさを作るためには利益が必要だから働くという、先を見据えた視点を持ってほしいと思います。そしてその得た利益で、今よりも多くの賞与や昇給はもちろん、新たな社内イベントや福利厚生を取り入れていきたいと考えています。現在では年に2回の社員旅行や、BBQ、クリスマス会など季節ごとの社内レクリエーションを実施し、全員で楽しめる環境を作っています。
これだけ「楽しむ事」を重視しているからこそ、社員同士の距離感は近くとても仲が良いと言えます。社内では役職で呼ぶことを禁止し、私のことも社員全員が名前で呼んでいます。それほどお互いが“社員”ではなく、“仲間”という思いが強いのが特徴です。しかし、この関係性の深さから、ある課題が生まれました。既存社員のあまりの仲の良さに、新入社員が溶け込みにくい雰囲気になってしまったのです。
そこで、新入社員を受け入れやすくするために、週一度の昼食手当の支給を開始しました。この昼食手当は二人以上の社員がランチを通してコミュニケーションを図るときに支給するものです。手当の導入をきっかけに新入社員も既存社員もお互い声をかけやすくなり、ランチに誘う姿も多く見られました。こうしたコミュニケーションの工夫を図ることで、新入社員が社内の輪の中に入りやすい雰囲気になったのではないかと思います。


これまでは飲みにケーションが多かったというグラン・エム株式会社。家庭を持つ社員が増え、業務終了後は家庭を大事にしてほしいという思いから、昼食時にコミュニケーションを図るようになったのだそうです。
分業化を進めることで、それぞれのスキルに磨きをかける
当社は、営業1人につき、3~5人の内勤がフォローをするチーム制で業務を行っています。営業の人数よりも内勤の人員配置を増やし、入社2,3年目以降の営業にはアシスタントをつけ二人三脚で動ける仕組みです。当社は大手のお客様が多いため、営業一人当たりに与えられている数字は大きく、多くの原稿本数に対応しなければなりません。そこで、それぞれの強みを生かして、スムーズに仕事を回せるように作業を分担しているのです。営業は主にクライアントとの商談や、掲載プランの提案に注力しています。内勤はクライアントとの原稿内容のすり合わせをし、原稿作成からアップまでの対応、また、簡単なキャンペーンの問い合わせに対する回答も行っています。このチーム制は私が営業をしていた際に、内勤社員に支えられて自身の営業活動に集中することができたことから、今でも仕組みとして続けています。
しかし、少人数ですべての業務を回しているからこそ、一人ひとりの職責が重くなり、負担をかけてしまっていることも事実です。時にはモチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。そこで、社員のモチベーションを上げるために、責任感とやりがいを共有するようにしています。例えば、入社間もない内勤社員には当社の仕事を理解してもらうために、まずは営業と一緒にお客様先へ訪問し、どのような提案をしているのかを見せています。さらに、受注が決まる度に、一本の契約を獲得するにはどのくらいのテレアポが必要なのかを共有しています。自分の業務がどのようにつながっていくかを理解してもらうことで、責任感が強くなり、やりがいを感じてもらえるのではないかと考えているのです。


「求人広告の原稿作成やデータ入力の内勤業務は、それほど難易度が高いものではありません。そのため仕事の成果は全てモチベーションに左右されるので、社員のケアをどのようにするかが大切です。」と藤井社長は話されています。
会社と人を好きになってほしい グラン・エムだからできる楽しみ方とは
環境面に関しては、何事も“はじめやすい環境”を提供するようにしています。例えば、「社員がゴルフに挑戦したい」と言うのであれば、道具や練習費用、コース費用などを会社で負担して、はじめるきっかけを与えています。また、希望があれば社員と一緒にスノーボードに行くこともあります。しかし、中にはプライベートと会社を分けたいと考えている社員もいるため、全員強制参加ではありません。社員一人ひとりの希望を叶え、全員が充実できる環境をつくりたいと考えているのです。
仕事を覚えるために “仕事を好きになる事”は大切ですが、正直、それは簡単な事ではありません。そのため、一緒に働く人や環境を好きになることが、成功への一番の近道だと考えています。社員が会社を好きになれるような施策を今後も考え続け、全員のモチベーションを高めていきます。
そして、社員にとって少しでも居心地の良い職場にするために、家のようにくつろげる環境を整えたいと思っています。中小企業ならではの楽しさは、いかに環境や雰囲気に自由度を持たせられるかです。求人広告の仕事に長くやりがいを持ち続けるためには、他社との差別化を図り、当社ならではの楽しみ方を探し続けなくてはなりません。将来的には、都内で戸建ての事務所を作り、社員とは本当の家族のような関係性を築きたいと思っています。そして、誰一人欠けることなく、社員全員が充実している会社を目指して一生懸命走っていきます。


30年続く企業は0.02%という確率の中、藤井社長は共に働く社員のために会社を最低でも30年は継続させたいと話します。そのためには社員全員を好きになり、彼らと好きな空間と時間を共有することが大切なのだそうです。