外部の意見を受け入れ、成長できる環境をつくる
株式会社For A-career代表取締役 浅尾 洋伸
こまめなミーティングで社員の変化に気づく
当社は2018年4月に設立し、現在は25名の社員が活躍しています。社員の働きやすさを考え、さまざまな取り組みを導入してきました。例えば、1on1ミーティング。これは、各社員が週に一度、30分~1時間ほど、直属の上司と行うミーティングのことです。自分の先週の目標に対してどの程度の結果を出せたのか、または次回のアクションプランはどうするかなどの解決策を、上司のアドバイスを取り入れながら社員自身で決定してもらっています。
私もこのミーティングの内容を把握できる仕組みにしているため、社員が抱えている課題にいち早く気が付くことができます。このミーティングで先週の結果と比較するようになってからは、毎週漠然と探していた課題が明確になりました。さらに、課題を上司としっかりと擦り合わせ、振り返りをすることでPDCAが以前よりも早く回っています。
また、ミーティングでは仕事の結果だけではなく、自分でやりたい事や興味のある内容があれば、上司に提案することも可能です。まだ教育体制がしっかり整備されていなかった頃、社員から、朝の時間を使用して勉強会を開催したいという意見が上がりました。そこで、30分間の朝の勉強会を導入。この勉強会では、新規事業の責任者がマーケティングについて指導をすることもあれば、私がマネジメントの研修をすることもありました。また、社員が読んだ本の印象的な内容をパワーポイントにまとめ、それをテーマにすることもありました。成長意欲の高いメンバーが多いため、今までに10名ほどの社員が発表をしています。発表の際の資料も、先輩社員からのアドバイスを基に改善を繰り返しているので、実務も生かせているのではないかと思います。


「私がサラリーマン時代に、嫌だった事をやらない会社にしたい」と語る浅尾社長。トップダウンの会社体系にはせずに、社員の意見を反映していきたいと考えられています。
外部の社長との食事会で、当事者意識を身に付ける
For A-careerでは毎月他社の社長をお招きし、社内のバーカウンターを囲んでの食事会を開催しています。一度の食事会では12、13名ほどの社員が集まり、社長の話に耳を傾けます。この会では私の知り合いの社長をお招きするのですが、一人ひとり多様な経歴をお持ちなので様々な角度から物事を見ることができます。先日は20年程経営に携わっている社長にお越しいただき、当社の20代の社員に「今のうちに頑張った方が良いこと」についてお話していただきました。お話の内容は当社の状況に応じて私が事前に社長と擦り合わせをしています。人事の方をお招きしてエージェントの会を開くこともあり、日々研鑽を積んでいます。
このような食事会を開催する理由も、外部からの知恵を取り入れてインプットとアウトプットをできるようになってほしいからです。社内のみに目を向けてしまうと、どうしても似たり寄ったりな考え方や、時にはネガティブな感情が蔓延してしまう事もあるでしょう。さらに、社員の人脈を作り、今後、起業する際の役に立ててほしいという目的もあります。当社には起業願望が強い社員や、過去に起業を経験している社員がほとんどです。他社の社長と会話をすることで、各個人が組織の中での当事者意識を持てるのではないかと期待もしています。
これらの社長との食事会の導入により、社員の中では変化が生まれました。本や新聞を読むようになり、わずかな変化ではありますが、モチベーションが向上しているように思います。大阪支店のメンバーは、その食事会がきっかけで社長と仲良くなり、社長が大阪出張に来られた際に連絡を受け、呼ばれたこともあったようです。


そのほかにも、新規事業プレゼンなども開催しており、前回は合宿で各事業部ごとに事業計画を話し合ったそうです。入社間もないメンバーにとっては学びの多い時間になったようです。
ベンチャーらしく切磋琢磨できる関係へ
現在はまだ25名の社員ですが、将来は子会社の社長になれるくらいの人材を目指してほしいと思います。その中で求めるスキルは、行動力と思考力がある人です。一般的に、20歳までにおおよその行動力が決まると言われているため、面接の際は小学校くらいから何か壁にぶつかった時にどのような行動をしていたか、そして部活をしていて負けると分かった時にどのような行動をしたのかを、細かく聞くようにしています。思考力については、回答の内容よりも、こちらが尋ねた時にしっかりと考えた上で発言できているかを見ています。
もちろん、求めている行動力とは別の力を発揮できると考えた社員は、無理に行動力をつけてもらうより、適材適所の役割分担を心掛けています。実際に、広報やサイトデザイン、就職支援のカスタマー支援などの仕事を依頼したこともあります。
設立して1年近くが経過し、徐々に改善すべき課題も見えてきました。例えば、社員がミスをした時や、問題が発生した時に、その部分を指摘できる人間が多くありません。優しい社員が多いからこそ、指摘をする人間は私や役員に偏ってしまっています。今後は多くの社員に当事者意識を持ってもらい、お互いの良い部分だけでなく、悪い部分にもしっかり向き合って、切磋琢磨できる関係性を築いてほしいです。現在は良い意味でも悪い意味でも自由な環境なので、今後は重要な点を押さえてルールを定め、より強固な組織に成長できるよう、尽力してまいります。


「アジアを代表する会社を作る」というビジョンを掲げる株式会社For A-career。全員が何事に対しても熱中できる会社にしたいと浅尾社長は話します。