次世代の仕事理解を深め、世界に通用する技術を身に付ける
オカダ工業株式会社代表取締役 田口 哲生
教育体制を整備し、技術力を高める
当社が扱っている金型は、現代では欠かせない製品の一つです。たとえば自動車製造の際、製品の元を作る金型がなければ、自動車を完成させることはできません。このように、金型製造は「ものづくり」の原点となる仕事ですが、淡々と同じ作業をするわけではなく、知恵を働かせながら仕事をする必要があります。なぜなら、同じ製品を作ることはないからです。お客様からの多種多様なニーズにお応えするためには、型にはまった製品を作るだけでなく、一つひとつにアイデアとアレンジを加え、今までにないものを生み出し続ける必要があります。
そこで、当社では金型づくりに必要な設備の導入や、技術資料としてのサンプルを多く用意しています。サンプルを活用することで次世代の育成に役立ち、一人ひとりの技術力の向上に結び付くのです。技術力が重視されるこの業界では、いかにして社員を育てるかが重要です。私が若手社員の時は、現在のように教育体制は整備されていなかったため、何をやれば良いかわからずに困惑することがしばしばありました。次世代の育成には教育と技術の積み重ねが重要だと考え、私が代表就任後はそういった環境づくりに努めています。
さらに、技術力を身に付けるために、入社後3ヶ月間はOJTを実施しています。金型製造に必要不可欠な「塑性加工」の知識や概略を理解してもらうことを目的としています。現場では上司が一人ひとりのペースに応じて指導をしています。


入社前から仕事理解をしてもらうために、学生向けにインターンシップも開催されています。制度や環境だけでなく、仕事内容を理解することも企業選びおいては重要なポイントだそうです。
社員の家族の事も考え、長く働ける環境を
仕事をスムーズに進めるためには、社内のコミュニケーションが欠かせません。当社では年に2、3回ほど、希望者が参加する飲み会やBBQなどを開催しています。ものづくりの仕事は一人ではできません。全員の協力があるからこそ成り立つ仕事です。普段話す機会の少ない社員同士の交流を深めることで、仕事中のチームワークを向上させています。
さらに、社員の仕事だけではなく、生活面を支えるために、住宅手当の増額を実現しました。社員の結婚後10年間は、通常の約4倍の住宅手当を支給しています。女性は結婚し、子どもが産まれた時には当然、今まで通り働くことが困難になるでしょう。女性が出産前と同じように勤務できるまで会社ができることは、手当や制度を充実させることだと気付いたのです。
社員の結婚はとても喜ばしい事ですが、それと同時に、それなりに満足してもらえる所得や時間を作らなくてはなりません。働く理由を考えてみても、家族や自分のためにお金を稼ぐ必要があり、仕事はあくまでもその手段の一つに過ぎません。しかし、一生の中では家族と過ごす時間よりも、仕事をしている時間の方が長いのが現実です。少しでも社員の家族や生活を大切にするためにも、今後も手当や制度を構築し、充実させていければと思います。


金型製造は各工程同士での協力が重要なので、今後もコミュニケーションを図れる仕組みを整えていきたいと、田口社長は話されていました。
同じものを作らないからこそ、仕事を楽しめる
当社が求めているのは、好奇心と成長意欲が高く、基礎を大切にする方です。金型業界の仕事は、“製造業”と聞いて想像されがちな、ベルトコンベアの前で淡々と行う流れ作業とは全く異なります。日々、形も重さも用途も異なる製品を作り、その違いに面白さを感じられる仕事です。このようなものづくりの仕組みを理解し、技術力を磨いていきたい方であれば、当社で活躍できることは間違いありません。
金型業界は、日本の中で最後まで残る仕事です。今後も新技術の開発と改善合理化に積極的に取り組み、世界に通用する金型を作り続けたいと考えています。物体として存在している物には、全て寸法があります。大きな飛行機も、何ミリ、何ミクロンの精度の物体が寄せ集まることで完成します。これから先も、当社では“測れるもの”にこだわり、世界に名だたる金型メーカーとしてのポジションを確立していきたいと考えています。
本来であれば私は定年退職している年齢ですが、この仕事が好きで、今ここにいます。社員には自分たちが経験してきたノウハウや知識と、この仕事の素晴らしさを継承し、ステップアップしてほしいです。そして、同業他社が羨む程の卓越したスキルを持った人材を育成できれば、私としても大変誇りに思います。そのレベルにまで成長した社員が当社で活躍し続け、いずれは私の後釜に座っていただくことを願っています。


「苦あれば楽あり」という言葉に共感できる方と一緒に働きたいと語る田口社長。努力をし続け困難を乗り越えた先に、新たに見える景色を感じてほしいとおっしゃっていました。