生産性の向上に必要なのは、自由な発想を元に行動できる環境
株式会社Birdman代表取締役社長 伊達 晃洋
自分磨きや家族孝行などユニークな制度で働きやすい環境を
当社は、社員の働きやすさを向上させる仕組みを数多く揃えています。一風変わった内容の制度も多く、その代表例が「自分磨きサポート」です。これは社員に自分磨きをしてもらうために、毎月一万円を支給する制度です。ビジネス本を購入して仕事の勉強をする社員もいれば、ネクタイやビジネス服を新調する社員、さらには美容室で身だしなみを整える社員もいます。とにかく、社員が自分磨きをするためであれば、会社から使い道を指定することなく自由に利用できるサポートです。
そして、「家族孝行手当」も、当社ならではの仕組みの一つです。これは社員がご両親に何かをプレゼントしたり、旅行やご飯に連れて行ったりするために年に一度、会社から一万円を支給する制度です。実家が遠方の社員であれば、帰省代にあてても構いません。もともとこれは、入社した社員全員の親御さんと私がお会いするという仕組みから派生して導入したものです。導入当初と比較すると社員数も増え、なかなか全員とお会いするのがむずかしくなってしまいましたが、現在もこの手当は継続しています。
他にも、オフィスの一階にあるカフェで社割を利用できるような制度や、5名以上で何か活動する場合には部活動として認定し、毎月一万円を付与しています。さらに半期に一度の総会では芸人さんを呼び、社員が楽しく過ごせるような仕組みづくりに注力しています。
制度だけでなく、社員の働き方に関しても柔軟性を持たせているので、フレックス制度やリモートワークなども多くの社員が利用しています。また、通勤時間が負担にならないよう、会社の最寄り駅である渋谷から3駅以内に住めば2~3.5万円の家賃補助を支給するようにもしています。
また、大学生を社員として登用するユニークな働き方も用意しています。実際に当社にインターンに来ていた学生の一人は卒業前に社員として活躍し、今では一つの事業を任されるほど成長しています。


社内の空気感がよく社員がのびのびと働いているのは、部活動や飲み会、社員旅行など色々な場面でチームビルディングの機会が多いことが理由です。
会社としての目標を追いかけながら自己実現をする
当社には様々な制度がありますが、これらは創業間もない頃に作られ、現在まで継続しているものがほとんどです。前段で述べた「自分磨きサポート」に関しても、まだ実績もない中で入社してくれた社員が、美容室に行ったときにこの制度を利用することで、少しでも会社のことを思い出してもらえたらという願いを込めて作りました。
ただし、会社として意味のないルールや制度は一切作りません。髪型や服装についての規定はなく、全て自由にしています。私たちが行う事業はクリエイティブさが求められるので、自由に発想して行動できる環境を整える事こそが、生産性を上げるための第一歩だと信じているのです。
さらに、当社はベンチャー企業なので、あまりにもルールで縛りすぎてしまうと「ベンチャーで働きたい」という社員の意欲を削いでしまうことになります。唯一、予算にしては厳しく管理していますが、それもむやみに節制を求めているわけではありません。良いものを作るためであれば十分に使用できるようにしています。
会社というのは、一つの目標のために人が集まっている組織です。その枠組みの中でこうした職場環境を整える事こそが、本当の意味での従業員満足度の向上につながっていると考えています。社員が目標を叶える一助として制度を構築し、達成感を得て働いてほしい――。だからこそ、私自身は経営者としてあえて従業員満足度に焦点を当てていこうとは考えていません。社員には会社を利用して自分の夢を叶えてほしいと思っているのです。


40代前半まではグループ全体として会社を大きくし、「ここに入れば色んな事業にチャレンジできると思える会社を作りたい」というのが伊達社長の目標だそうです。
採用におけるよりよいマッチングを目指す
現在当社では、会社の考えとよりマッチングする人材を採用しなければならないという課題を抱えています。これまで、低い離職率を保っていましたが、株式上場を果たし今後さらにクリエイティブに注力しようという局面において、何名か会社を離れる社員がいたことも事実。これは会社に大きな変化があった一方、それを楽しめる社員とそうでない社員の乖離が生じたことが原因です。
当社もこの業界も変化が続いていくため、よりよいマッチングのためには「変化を楽しめる方」を探す必要があります。採用の段階でこうした理念や環境をしっかり伝え、お互いに何を求めているかを明らかにするプロセスを構築していきます。
また、新入社員の育成についてもまだまだ改善の余地が残っている状態です。ベンチャー企業ならではの粗削りさも残しつつ、より現場で活躍できる人材になるために整備を進めていきます。
このようにまだまだ完ぺきとは言えない当社ですが、積極的に行動したい人材は十分に活躍できる場だと言えるでしょう。実際の現場に入れば、広告やマーケティングの現場で10年、20年と活躍してきた他社の方々と接する機会もあり、学べることもたくさんあります。もちろん初めのうちは大変なこともありますが、とにかく楽しんで、常に夢を忘れずに頑張ってほしいと思います。


就職活動は企業ありきではなく、自分が何をしたいかありきで考えるべきと語る伊達社長。大学生活の四年間を消費せずに、しっかり考えて動いていけば道が開けるとおっしゃっています。