満足度を向上させるために、メンバー一人ひとりと向き合い続ける
株式会社プレシャスパートナーズ代表取締役社長 髙﨑 誠司
メンバーの意見を尊重し、受け入れることが改善の近道
2017年より、当社では業務環境の改善を図るために“業務改善チーム”を設けています。業務改善チームの初期メンバーには、業務や会社に対して課題や不安を抱えているメンバーをあえて選定しました。課題を感じているメンバーほど会社の改善すべき点を客観視していると捉え、現場の生の意見を吸い上げられると判断したためです。
しかし、チームとして確立させていくための道のりはそう簡単なものではありませんでした。抱える課題は十人十色、週に一度のチームミーティングでは非効率な業務や煩雑なフローについてなど、あらゆる角度からの意見が飛び交います。このミーティングには私を含めた経営陣も参加しています。そこで、これらの意見をネガティブなものと捉えずに真正面から向き合い、メンバーと共に打開策を見つけるよう善処しました。過去には「外出先から戻って業務に取りかかると、残業時間が増えてしまう…」という声が上がった事もあります。「伝えてくれた課題はしっかり改善して、さらに働きやすい環境を作ってあげたい」という思いから、移動中の作業を可能にするシステムを導入し、社内に戻らずに業務を遂行できる環境を整えることで改善に努めました。このように、彼らが感じている課題を不満と捉えるのではなく、会社をさらに成長させるための意見として取り入れたことで、これまで抱えていた問題を“会社をより良くするためのもの”へと昇華させていったのです。
メンバーから出た意見について一緒に改善を考え、行動を繰り返していくうちに、会社に対して課題を抱えていたチームメンバーの意識にも変化が現れてきました。今ある環境や業務に対して自らが行動することで「もっと会社を良くしていこう」とする姿勢が見受けられるようになったのです。経営陣と社員が一丸となり、各々の課題と向き合って対策を講じ続けたことで、彼ら自身が“会社に課題を解決してもらう”という受け身の姿勢から、“自分たちが会社を良くする”という当事者意識を持つようになりました。その結果、業務改善チームでの経験を通して意識が向上したメンバーが、今や現場で大きく活躍しているという実例もあります。


現在の業務改善チームは、今までの活動や取り組みに影響を受け「自分も会社を良くしていきたい」と考える意欲的なメンバーが集まっているそう。前向きな気持ちを持つメンバーが多いからこそ、会社全体がポジティブな雰囲気になっています。
制度や待遇だけでは物足りない。エンゲージメントを高める秘訣
業務改善チーム導入当初は、残業時間の削減や業務効率の改善を目的としていましたが、現在の活動はそれだけではありません。従業員のエンゲージメント(会社への愛着心)向上を目指した取り組みなど、多岐にわたる施策を打っています。
その中の一つが、プレシャスWednesdayという毎月第3水曜日の業務終了後に社内で開催される飲み会です。このイベントは、社内コミュニケーションの活性化を目的としており、東京、名古屋、大阪、福岡の全拠点をwebシステムで繋いで交流を図っています。毎月の開催を繰り返しているうちに、社内では「せっかく集まるのなら飲み会だけじゃ勿体無い!もっとみんなで盛り上がる事をしよう!」という意見も出てきました。そこで、最近ではプレシャスWednesdayの中でライトニングトーク大会などのコンテンツを用意し、参加者全員が一丸となって楽しめる環境にしています。
しかし、社内コミュニケーションの活性化や、業務改善に対する意識が高まることによってある課題が浮き彫りになりました。それは、会社の色が強くなるほど、そして従業員数が増えるほど、企業の理念が伝わらずに「この会社にはついていけない」とメンバーが辞めてしまうこと。どうしたらこの離職を防げるのか、全社員が会社の目指す方向を向くことができるのか、頭を悩ませました。この課題を打開するために、私はメンバーとの接し方を大きく変化させました。“社長”としてではなく、役職を取り払った飾らない自分でメンバーと接するようにしたのです。経営層、中間層、そして社歴の浅いメンバー間におけるエンゲージメントの差をなくすべく、まずは経営者である自らが社員に対する壁をなくし、積極的に彼らを巻き込むことを意識しました。そうすることで当社が大事にしている考え方や理念を伝える機会が増えると同時に、メンバーの理念に対する理解度も向上。結果、メンバー間の一緒に働く“人”を大切にする意識がより一層強くなり、支え合う姿勢が顕著に現れました。さらには例年に比べて、新卒メンバーの社内イベントへの参加率が上昇し、組織全体のチームワークが高まったのです。私がメンバーに対して壁を作っていたらここまでの変化を感じることはできなかったでしょう。入社年度も役職も関係なく声をかけ、全員と業務を超えたコミュニケーションを強化することで、経営陣の想いを知ってもらうことこそが重要だと気付いたのです。これはほんの一部の出来事にすぎません。今後もこのようにメンバーとの壁をなくすことで、全員が同じベクトルで働ける雰囲気を作り出すことが私に課せられた責務だと考えています。


プレシャスWednesdayの他に、アルバイトの方や時短勤務の方が参加できるよう、ランチタイムには「フレンドシップランチ」というイベントも開催。雇用形態や部署の垣根を超えて、全メンバーの交流を深める絶好の機会となっています。
山ほどある課題と向き合い続け、メンバーの一生を守りたい
業務改善チームが主軸となり業務効率化・エンゲージメント向上に取り組んでいても、当社の課題は山積しています。今後はこれらを改善し、さらに働きやすい環境の構築が急務です。業務の観点で見ると、私たちの仕事は顧客の都合に合わせて働くことが多いため、夜間の対応が必要になることもあります。勤務時間が長くなり、メンバーには負担をかけてしまっている部分もあるでしょう。今後改善していこうと考えているのが、出勤時間の変更です。現在はエリアごとに部署を分けていますが、今後は担当している業界・業種によって部署を分化させ、それぞれの出勤時間を定めることも検討しています。
また、テレアポについてもまだまだ改善の余地があります。現在、テレアポは各メンバーが決められたエリアごとに五月雨式に行っていますが、この営業手法を続けていれば、いずれメンバーも疲弊してしまうでしょう。そこで、各々の負担を少しでも軽減するために新たな手法の導入にも着手しました。現段階では、当社のランディングページを見た方のユーザー層やデータを把握できるMAツールを取り入れています。今後はその情報を元にターゲットを絞り、需要のあるお客様へのダイレクトなテレアポやDM配信をする仕組みを確立し、営業活動の効率化を図ろうと考えています。
働きやすい環境づくりのために多くの制度を取り入れている当社ですが、一定の離職率があることも事実。今後はこれを低下させていかなくてはなりません。入社後に「こんなはずじゃなかった…」というミスマッチを感じてしまっては本末転倒です。そこで、説明会ではあえて仕事のつらい部分や、新卒メンバーが入社して最初にぶつかる業務の大変さをお伝えしています。どれだけ大変な業務も、一緒に働くメンバーの支えがあれば「この人たちと一緒なら頑張れる」という思いが強くなり、乗り越えられるはずです。この“誰と働くか”という根底にある思いや、飾らない当社の姿を理解し、「この会社と一緒に自分も成長したい!」と思っていただける方と、これからも共に歩んでいきたいと思います。


「入社後のミスマッチをなくすためにも、応募者の皆様にはありのままの姿で面接に来てほしい」と語る髙﨑社長。“内定を取るための面接”をするのではなく、いつも通りの姿を見せてもらうことで、双方の理解を深めることができるという考えが根底にあります。