社員との意見交換を通じ、現場にとっての働きやすさを追求していく
株式会社ヴァル研究所代表取締役 菊池 宗史
社員の生活と働き方の多様化に寄り添う制度を導入
近年は働き方の多様化が進み、企業もそれに適応することが求められています。たとえば女性の社会進出が進むにつれて、女性にとって働きやすい環境づくりや制度の導入は企業にとって急務となっているのです。当社でも以前から働く女性にとって活躍しやすい環境づくりに注力してきました。現在も小さなお子さんを育てながら営業部の部長として活躍している女性社員などがいます。
働くママにとって活躍しやすい環境をつくることはほんの一例です。当社では他にもリモートワークを導入し、女性に限らず全社員にとって働きやすい環境づくりを行なっています。私自身も通勤に一時間以上かかるため、天候の影響などで交通機関が混乱してしまうと出勤するだけでクタクタになってしまいます。それでは生産性を上げることはできませんよね。
他にも通勤時間が長いことによって、プライベートの時間が減ってしまうという問題もあります。仕事とプライベートの時間を両立させるためにも、社員一人ひとりにとって働きやすいと思える環境の整備が重要だと考えています。特にエンジニアやディレクターはいかに仕事に没頭できるかが大切だと考えています。集中できる環境を自分で選べるようにすることで働きやすさだけでなく、生産性を上げるというメリットにもつながるのです。
営業フロアの一部では、フリーアドレスを導入しています。営業職は外出している時間が多いため、社員同士でコミュニケーションを取りづらいという課題がありました。フリーアドレスを導入することで、好きな座席で仕事ができるので周囲とのコミュニケーションを取りやすくなりました。このように福利厚生としての制度の導入も大切ですが、それとは別に社員にとって心地よく働ける環境づくりも積極的に導入していきたいと考えています。


制度の導入だけでなく、その制度を活用しやすい雰囲気づくりがされているヴァル研究所。子供の発熱や病気など急なトラブルも社員同士でフォローし合える環境が整っています。
経営者と社員の本音を語り合う「TGIF」
最近ではTGIFを導入しました。TGIFとは「Thanks God It’s Friday」の略で、週末を喜ぶ言葉として使われているものです。ある企業では金曜日に行なっている全体ミーティングをTGIFと呼び、経営者と社員が食事やお酒を飲みながら会社についてフランクに語り合う場を設けています。
当社でも経営者と社員がお互いの理解を深めるためにTGIFを導入しました。これまでは定例会議で方針発表や進捗報告をしていたのですが、それだけではその背景が伝わりづらいという課題がありました。同じ言葉でも人によって捉え方が異なるため、その小さなズレを放置してしまうと会社全体のベクトルがずれてしまいます。
発表された方針に納得いかないとモヤモヤした気持ちを抱えたまま仕事をすることになり、生産性も落ちてしまいます。私は何事もオープンに話せる環境を目指していますが、実際は業務が忙しかったり、目上の上司に意見を言いづらかったりといろいろな障害がありました。それらを払拭するためにTGIFでは役職や年齢に関係なく、本音を打ち明ける場にしていきたいと考えています。
働きやすい環境をつくるという意味でも経営者と社員が意見交換をする機会を設けるのは非常に効果的です。当社では社員の発案をきっかけに導入された制度や取り組みが数多くあります。今後も現場の声に耳を傾け、社員たちにとって働きやすい環境づくりを目指していきたいです。


「トップダウンの経営では、多様化を実現するのは難しい」と語る菊池代表取締役。TGIFを導入するなど、現場の声を非常に大切にされています。
社員の可能性を広げるため、成長できる環境づくりに注力
今後はさらに多様性を認め合いながら働ける取り組みを行なっていきたいと考えています。そのためには社員の多様性に目を向けることがとても重要です。月一回の全社会議で実施しているアンケートも経営者と社員の距離を縮める取り組みのひとつです。全社会議で発表された方針についてどう思ったかなど社員の意見を聞く機会として導入しています。
また、当社では全社会議の際にMVPの受賞式も行なっています。これまでは成果や実績が表彰の基準となっていましたが、今年からは行動指針を導入しました。行動指針は会社にとってどういう人間になって欲しいかという「ヴァル研究所とは」の部分を追求したものです。成果や実績ではなく、過程に注目することで会社の方針の明確化を図っています。
私は様々な部分で社員に気づきや発見の機会をつくっていきたいと考えています。この先もヴァル研究所で働くにしても、転職をするにしても成長していかなければいけません。成長できずにその人のキャパシティが決まってしまってはもったいないですよね。これからどのような人生を歩むにしても、成長することは自分にとってプラスになります。私は社員の成長を促すために、これからも働きやすい環境やキャリアアップができる環境づくりに注力していきたいと考えています。


社員の気づきを大切にしている菊池代表取締役が全社会議で話をするのはたった5分程度。あとの時間は現場の社員からの発表や進捗報告、それらに対して社員が考える時間にあてているそうです。