仕事内容や制度よりも、一番大切なのは“誰と働くか”
株式会社ノースサンド取締役 佐々木 耕平
フィロソフィーを社員全員が自然と体現できる環境へ
当社では私たちの考え方や価値観に共感し、“一緒に働きたい人”と思えるかどうかを重要視しています。働くうえで仕事内容や制度はもちろん大事ですが、それ以上に“誰と働くか”が大切だと私は考えています。これは採用を統括している立場としての考えでもありますが、私自身の経験から生まれたものです。前職では社員数も多く、様々な価値観や方向性を持つ方がたくさんいてやりづらさを感じることもしばしば。そこで、自分たちが立ち上げた会社では、同じ価値観を持っている人たちと一緒に働きたいと感じていました。
当社の考え方や価値観として、会社のビジョン、ミッション、コアバリュー、8 RULESをまとめたフィロソフィーを掲げています。『To Joby(Job+Joy)』という“仕事を心底楽しむ”というカルチャーや、行動指針を大切にしているのです。これらの価値観を浸透させるためにも、毎月行われる『全社員集会』では代表の前田からフィロソフィーのテーマについて話す機会を設けています。私も日頃から社員を評価し、コミュニケーションをとるときにはフィロソフィーを絡めて話をするように意識しています。
また、当社では毎月の全社員集会の際に『フィロソフィー賞』という名誉を与えています。月次で最も営業及び会社貢献をした社員に対する『社長賞』、前月の受賞者からの他薦で与えられる『カッコイイで賞』といった表彰とは別に、当社のカルチャーを行動で示してくれた社員に対して贈呈しています。先日、このフィロソフィー賞を受賞した社員は、入社当初、他の社員と比べてもおとなしい一面のある子でした。しかし、その社員は会社に貢献したいという思いから趣味の読書を通し、読書感想文を社内SNSに投稿する習慣をつけるようになりました。それを読んで刺激を受ける社員も多く、本人もいきいきと働くことが増え、受賞に至ったのです。役職やポジションも関係なく、頑張れば目立てるチャンスが広がっている環境です。


「社員にはどんな形でも良いから“社内で目立て”と言い続けています」とおっしゃる佐々木取締役。現場でのパフォーマンス以外でも、社内の全員が楽しめるイベントの企画などを通して、盛り上げてほしいと願っていました。
新卒社員こそ、当社の鏡として活躍してほしい
当社では新卒採用を開始して2期目になりました。創立して早々、新卒採用を始めるコンサルティングファームは珍しいという声をよく聞きます。なぜなら、「なんとなく採用できない」「必要としていない」と考えられている現状があるからです。しかし、私達は5年、10年の会社にするために当社を立ち上げたわけではありません。自分たちでまっさらな社会人一年目を育成し、当社の価値観を広げるコアな存在を育てていかなければ、会社を存続させることはむずかしいのではないかと考えています。
価値観や考え方の理解度を深めるために、当社では全ての研修を内製化しています。毎年、新卒社員の研修内容は変更していますが、今年度の研修では2カ月あるうちの一週間でフィロソフィー研修を行ないました。その後、一般的なビジネスマナー研修に加え私たちが考えるビジネスマナー研修、そしてコンサルとしてのベーススキル研修、ITコンサルタントとして必要なITスキルの指導を行なっています。新卒社員の素直さやフレッシュさは、既存社員にも良いモチベーションとなっています。持っている考え方やスキルを言語化して教えることで、はじめて自分のものになるのです。新卒社員にかっこいい姿を見せたいという思いからも、社員の向上心があがったように思えます。
そして、新卒社員が一番、会社のフィロソフィーを体現しています。たとえば『8 RULES』の中の一つの指針である「圧倒的な努力で驚かす」。実際に、新卒社員は努力で社内を驚嘆させています。研修期間は毎日、研修開始の2時間前に出勤し、前日の復習と読書の時間を作っている社員や、社内SNSに自分の気づきを投稿している社員も。そして、社内イベントである『ノースサンドパーティ―』に家族を連れてきてくれる子もいます。


入社式には新卒社員のご家族に向けて、役員と人事からのメッセージカードを贈っているとのこと。「私たちが責任を持って育てます」とご両親にお伝えすることで、自分たちにとってのコミットとしても考えているそうです。
業界の“良いイメージ”は徹底排除。ミスマッチを防ぐ秘策とは
当社では横のつながりを広げるために、社員5名以上でスポーツ活動を行なった際の活動費を補助する『スポレク制度』や、身だしなみに関わる費用を会社が負担する『身だしなみ補助制度』など、様々な取り組みを行なっています。これらはもちろん、直行直帰が多いコンサルサント同士のコミュニケーションを活性化させることを目的としています。しかし、それぞれの理由よりも、私たちはただ全員が盛り上がって、仕事を楽しんでもらうことを第一に考えて制度を作っています。これらはすべて当社のカルチャーである『To Joby』から生まれた考えで、社員が楽しめると思った制度は今後も取り入れようと考えています。
コンサルタントの仕事に対し夢と希望を抱かれている方も多いと思いますが、イメージ通りの仕事をメインで行なっているかどうかと聞かれると、答えはNoです。他社のインターンシップでよく目にする「事業戦略立案」や「経営課題解決」といった業務は、実は1パーセントにも満たないのです。コンサルタントの仕事は自由で裁量が大きいところが魅力ですが、想像以上に泥臭い仕事なのも事実。お客様から具体的な指示はなく、自らがお客様にとって必要なことを全て汲み取り、どう成功させるかの判断を全て委ねられている仕事です。そのため、健全な自己主張をして、自分の幅を広げていける人、そして大前提でもある当社のカルチャーや理念に共感してくださる方と是非ご一緒させていただきたいと思います。
代表もよく口にしていますが、当社で大切にしているのは“人間力”を武器にしたコンサルタントになること。私自身も今まで、そこで評価されてきましたし、お客様との関係性を一番大切にしていました。今後、当社は何百人、何千人、何万人の会社にしていきたいと考えています。社員には新規事業なども任せて、幅広い事業を経験することで成長してほしいです。そして、当社で働いていることを誇りに思ってもらえるような企業になりたいと思います。


取材中も、役職関係なく社員同士が笑い合い、仲の良さが垣間見られた株式会社ノースサンド。このような素敵な人間関係が築けているのも、全てカルチャーへの共感や同じベクトルを持っている社員同士ならではであると感じられました。