イベント業界のベンチャー企業として、さらなる飛躍を目指す
株式会社アプメス代表取締役社長 小早川 大典
イベント業の面白さ、魅力を多くの人に知ってほしい
私たちの仕事の魅力は、「クリエイティブな能力をいかんなく発揮できる環境にあること」です。世の中に何か情報を発信したいという時、創造力を働かせて、「何か面白い企画を提案したい」という人にとっては、うってつけの業界であるといえます。特に当社は携帯電話業界と結びつきが強く、新商品の発表会ともなれば、10人強のチームを組んでプレゼンテーションの資料の作成や会場の運営についてなど、密に話し合いを進めていきます。
当社には異業種から中途で採用された社員も多数いますが、「今の仕事を通じて、イベント業の面白さを知りました」と言ってくれる社員を見ると、私自身も喜びを共有し、「もっと色々な仕事に触れて、この仕事の面白さを知ってもらいたい」という気持ちになるものです。
イベント業に必要不可欠なのはマンパワーです。人の力なしに、あるいは人の支えなしには、この仕事は成り立ちません。離職率の激しい業界にあって、社員を定着させること、多くのスタッフを抱えながら次々仕事を回していけるようにすることは、この世界において常日頃から考えなくてはならないことです。そうした中で、中途採用の人材に求めるのは、「チャンスを与えること」。これまでの職場では、その人が輝ける環境に恵まれなかったから離職をしたととらえ、「やりたいことが当社でできる」と考えているのであれば、先入観をなくして輝けるチャンスを与えるようにしています。
新卒については20卒から初めて採用に踏み切りますが、これまで採用しなかったのは、「会社が40年、50年と継続していけるかが不透明だったから」に他なりません。幸いなことにここ数年で経営基盤の基礎がガッチリ固まったことで、「新卒を採用して、ゼロから戦力に育て上げる」ことに邁進できます。彼らには無限の可能性を秘めていると考えています。私がなぜこの会社を続けてきたのか、将来どうしていきたいのかなどを話し、共感してもらえる人に巡り合いたいです。


20卒から待望の新卒も採用することに決めた小早川社長。ゼロから人材を育てることに前向きに挑戦したいと話していました。
社員からも好評の声が上がる制度の導入
2019年3月、当社では「As you like手当」という制度を取り入れました。たとえば会社によっては、飲みにケーション手当を作っているところもありますが、お酒を飲まない人にとっては、無用の長物となってしまいます。そこで当社では、勤続年数3年未満で1万円、3年以上5年未満で月1万5千円、5年以上で月2万円というように、勤続年数に応じて金額に差をつけながらも、社員全員が使える手当を作ったのです。
たとえば会社内の仲間と食事に行ってもいいですし、スポーツクラブなどに通って健康促進に使うのもいい。仕事のために英会話教室に通うのもよしというように、理由は様々であっても、「仕事のプラスになる」ということであればいいのです。この時1つだけルールを設けました。それは、「As you like手当」を使った時には、必ず写真を撮って提出すること。それによって会社内でどういった人間関係が構築されているのか、あるいは何を得ようとしているのかを一目瞭然で理解することができるのです。この制度は社員からも好評なので、今後も続けていきたいと考えています。
さらに、残業する社員に対しては、3年ほど前から「残業申請承認制度」を作りました。1時間以上の残業をする場合には、管理職にその理由と残業する時間を申請して同意を得る。これを社員に徹底させたのです。すると、驚くほど残業時間が少なくなりました。それまでは終電近くまで仕事をするのが当たり前という雰囲気だったのですが、この制度を取り入れてからは、20時くらいまでには9割以上の社員がフロアからいなくなっていることが日常的になりました。私が分析するに、それまでは「私たちの仕事は残業が当たり前」という意識のもとで仕事をしていたのだと思います。つまり、「仕事の効率化」についてはまったく考えが及んでいなかったのです。それを180度考え方をあらためて、夕方遅くに打ち合わせは入れない、あるいは午前中のうちにできる仕事は早めに済ませておくなど、時間の使い方にムリ、ムラがなくなっていったのが、目に見えて分かるようになったのは、大きな成果です。


新たな制度を取り入れ、残業時間が少なくなったことで、仕事が驚くほど効率よくできるようになったそうです。
人材の増加とともに、さらなる発展を目指す
当社の核となる部署は管理部です。これまでは「営業部がなぜか管理部の仕事をしている」という事態が発生していた時期もありましたが、営業部は営業部、管理部は管理部、というように、部署ごとのすみ分けを徹底しています。管理部で登用する人材は、過去に管理部門で働いたことのあることが最大の条件となってきます。ですから、仮に新卒で入社したからと言って、いきなり管理部の仕事を任せるようなことはいたしません。会社内でこれまで経験を積んだ人材で補うか、中途採用で即戦力になる人材を登用するなど、仕事の経験値がより重要なセクションだと考えています。
この2~3年で当社の社員数は急激に増加しました。2016年時点で20人だった社員が、3年経った今では80人にまで増えたのです。このほかにも契約社員が150人強、登録しているアルバイトスタッフは300人強と、実に膨大な数になります。こうなってくると、200~300人規模の社員を雇っている会社と同じ業務をやらなくてはならないわけです。それでも人材は育てていかなくてはなりません。特に新卒は研修プログラムを綿密に立てて学び、経験を積み上げ、着実に成長していってもらえたらと考えています。
私は仕事よりも人生に重きを置いて働いてほしいと考えています。「なぜ働くのか」と問われれば、それは「人生を豊かにするため」。そのために同じ志を持った仲間とともにメリハリを持って働き、時には笑い合ったりして、同じ時間を共有し、輝いてくれたらうれしいです。
2019年8月、現在の渋谷から神谷町にオフィスを移転します。「売上高が2020年には50億円」を目指し、さらに発展していくのと同時に、社員の幸せにも寄り添えるような会社を作り上げていきたいと考えています。


社員の幸せを考え、「仕事よりも生きることが上であってほしい」と話す小早川社長。社員の働きやすい環境を常に考えていきたいと強く言っている姿が印象的でした。
小早川 大典 プロフィール
趣味はゴルフ。休日は家族サービスに努めている。