あらゆることへの挑戦は、社員の幸福度を高めるため
株式会社ピアズ代表取締役社長 桑野 隆司
交流会を通じて、社員同士の信頼関係を深め合う
「社員にとって働きがいのある環境づくり」について、私は創業当初から常に熟考して参りました。私たちの関係は、言い換えれば「戦友」のようなものです。家族というほど距離が近いわけではありませんし親友というほど気の合う者同士で仲良くしているというわけでもありません。日々、ビジネス現場という名の戦場を戦い抜いていきながらお互いを守り合っていくという意味で、「戦友」という表現がしっくりくるのではないかと考えています。そこで戦友同士で絆を深め合い、「円滑な人間関係を築き上げる」ための方法の1つとして、会社内で交流会を積極的に行ってきました。あるときは会社のビジョンに共感してもらうための会、そしてあるときはお互いのパーソナリティを交換しあうための会でもあるのです。社員の誕生日にはサプライズでお祝いをしたり、社員同士でバーベキューなどを行うために遠方に出かけたりなど、会社内の人間関係をよくしていくためにさまざまなイベントを仕掛けています。
こうした社内のイベントごとは、私自身の呼びかけから始まったこともあれば、社員から「こんなイベントをやってみんなを盛り上げていきましょう」と提案があって始めるというパターンもありました。どちら側から始めても、最後は「楽しかったね」「また今度やりましょう」と好評です。当社の社員は「社員幸福度」という観点から考えるとその度数は高く、「この会社が好きだ」という社員も多くいます。「仲間と分かり合える、助け合える」ことで連帯感と信頼感が生まれ、それが仕事にも好影響を与えるのです。
今後も社員からの要望があれば、新たなイベントを適宜開催しようと考えていますし、それによって社員同士の信頼関係が深まるのであれば大歓迎です。


年間を通じてさまざまなイベントを行うピアズ。今後も新たなイベントを試みて、社員同士の絆を深めていきたいそうです。
「For Me」ではなく、「For You」で考えられる社員に
当社の新卒、中途社員ともに共通しているのは、「ピアズとともに成長していきたい」という考え。その考え方の根底にある「将来どうなりたいか」というビジョンが同じ方向を向いていることが大切です。どんなに学歴が素晴らしく仕事のスキルが高くても、あるいは仕事で必要な資格を取得していても、当社の理念に合っていなければ、その人にとって宝の持ち腐れになってしまいます。もちろん当社にとってもマイナスになってしまいますから、双方にとって幸せなことは何一つないのです。背伸びをしてしまうような人材を採用するよりも、身の丈にあった価値観を共有できる人材を採用したほうが、お互いにとってWin-Winの関係になれる可能性が高くなります。それが、会社が成長するための要因にもつながっていくわけです。
私が採用面接に参加したとき、志望者に必ず「あなたは自分のことを運がいい人だと思いますか?」と質問しています。運がいいことは、能力以上にビジネスを成功に導くうえで大事なことだと私は考えています。なぜなら「運がいい」と言える人は、人に感謝できる力が大きく、それゆえに「あの人に協力しよう」と手を貸してくれる人が多くなります。その結果、ビジネスで成功する可能性が高くなるのです。また、面接では「私たちがあなたを採用するメリットは何でしょうか?」という話をすることもあります。そうすると、相手の方はほぼ100%答えられません。ほとんどの人は働くということを「For You」と捉えずに、「For Me」で考えています。本来、ビジネスはお金を払っていただくクライアント様のためにあるものです。それを考えたら、「給料を払う会社のために、私は何ができるのか」を考えていただくことは大変重要なのです。このときに「ハッ!」と気づく人と「なんだかこの会社は私には合わないな」と感じる人とで、当社に対する評価が分かれます。経験の少ない入社前の段階では、それでいいと思っています。まずは自分で考え、答えを導こうとする。こういった姿勢を持っている方を、仕事をするだけの同士ではなく、仕事もプライベートも共有できる仲間として迎え入れたいと思っています。


「自分のために」ではなく、「会社のために」何ができるかを考えることが重要なのです。
気づきを与えることで、社員の幸福度を高めていく
当社で考えている幸福度に絶対評価はありません。それだけに、どうやって「心のアンテナ磨き」をしていくかが重要だと考えています。この「心のアンテナ」というのは、幸せに対する感度を高くすることや、小さなことにも感謝できるようにすることを指しています。「今の生活で当たり前だと思っていることは、当たり前ではない」ということに気づいてもらうためにも、仕事上で何か刺激を与えてあげることが大切なのです。その一例を上げるならば、当社で定期的に行っている勉強会。課題の本を読み、本音で感想を発表し合います。それにより、自己開示力と傾聴力を高めていきます。このような機会を多くつくり、社員に「この会社にいてよかった」と感じてもらうことで、仕事に対する取り組み方や考え方も確実に変わってくると考えています。
また、内定者研修の際には、山口県の松下村塾や鹿児島県の知覧で神風特攻隊に関する資料を見て、自分と同じ年齢の若者がどう過ごしていたかを感じてもらいます。そうすることで、今の状況にいることに対して感謝の念が湧いてくる――。こうした思いを掘り起こすことが大切なのです。それと同時に次世代の経営者も同時に育てていかなければなりません。現在、東京を拠点に北海道、東海、関西、中国、九州と国内に6つの拠点を設けておりますが、ビジネスの戦略上、必要であればその他のエリアや時には海外に拠点を置き、人材を育成していくことも考えております。
当社が目指すところは、「日本一EH(社員幸福度)の高い会社になること」。私は当社が社員にとって、幸せを感じてくれる場所であってほしいと思います。今後も雇用をさらに拡大していくことが私の務めであり、社会貢献につながっていくものだと信じているのです。


社員の幸福度を高めていくためには「心のアンテナ」を磨き、感性を育んでいく必要があると、桑野社長は強く主張されていました。
桑野 隆司 プロフィール
学生時代から携帯電話販売の経験を積み、2005年に株式会社ピアズを創業。通信業界のセールスプロモーション事業から、適正販売・組織活性化に向けたコンサルティング事業まで手掛ける。2016年には、環境の変化にも強い組織づくりと人材マネジメントによる企業の柔軟性とイノベーションを評価され、ベンチャー企業として初となる「日本経営品質大賞」を受賞。2017年には、社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業の証として、「ホワイト企業大賞」を受賞した。趣味はスポーツジム通い、ゴルフ、歴史散策。