成果を上げるための「組織作り」を。
みなとアセットマネジメント株式会社代表取締役 向井 啓和
求む人材は「人生経験が豊富であること」
2005年に創業し、14年の歳月が経ちました。首都圏近郊の1都3県を中心に物件を取り扱っていますが、近年はお客様のリクエストで時に北海道や九州地方の物件も扱う事も多くなってまいりました。
ここ数年の間で、相続物件の処分についてのご相談も増加傾向にあります。お客様の年齢は50代以上で、ときには身の上相談のようなお話しに発展してしまうこともしばしばあるのです。
そこで当社では人材を雇用する際、「信託銀行の出身者である人」「これまでにも相続を専門に仕事をやってこられた人」がもっと早くフィットするのではと考えております。
不動産の理解があることや、相続や遺言の書き方などの適切なアドバイスができることを求めている当社では、この2つの条件を持って仕事に取り組まれてきた人のほうが、間違いなく戦力になります。
当社の勤務時間は10時から19時まで。ただ、私たちの仕事は、お客様のご都合に合わせて動いていきますので、平日の19時、あるいは20時からお会いすることも、決して珍しくありません。そこで、お客様とのご相談で夜遅くまで働いた社員は、翌朝は30分から1時間遅く出社してもらうか、その逆に翌日早退をしてもらう等の出社方法をとっております。また、当社では65歳の定年後も、再雇用しております。過去には70代半ば以上まで働いてもらったというケースもありました。繰り返しますが、お客様と同等かそれ以上に、人生経験を積まれていることは、この仕事をしていくうえで大きな武器となるのです。
宅地建物取引主任者や相続関連の資格を取得するだけではなく、それを生かすには長年の実務経験が大きな武器となります。ですから縁あって当社に入社したからには、5年や10年と言わず、後期高齢者になっても働く場を提供し続けていたいと考えています。


「お客様に機転の利いたアドバイスをするためには、社会人経験を積んだ30代半ば以上の方を優遇したい」と向井社長は語る。
チームでの仕事ぶりは報酬で評価
当社では仕事で実績を残した社員については、収入面で還元しています。半期のボーナスで数百万円以上を手にしたことのある社員もおりますし、「がんばった分は、お金に反映させる」という方法は、社員のモチベーションを上げる一手となっています。その反面、私たちの仕事は「個人の裁量で仕事をしたほうが稼げる」と考えている人も中には見受けられます。ただ、それでは会社として生産性が上がっていかないのです。そのため、当社では今、「チームを作って仕事を進めていく」形を模索しています。
たとえば30代の社員が自分の親と同じくらいの年齢の人のご相談をうかがっているとします。「これを自分が言ってしまうと、説得力に欠けるのではないか」という状況になった場合は、人生経験が豊富な50代の先輩社員が同席して応対する……というようなことを行っております。また、私たちの仕事は、お客様の物件データを収集したり、調査するために遠方へ外出することもしばしばあります。そのようなときに、1人の社員がお客様の応対からデータの収集までのすべてを行うのではなく、「物件データ収集や調査のプロフェッショナル」を経験の浅い社員の社員教育の一環として、その仕事だけを徹底して行わせるということも、「チームとして仕事を進めていく」うえで必要なことではないかと考えております。
個人が1から10まですべてを行うことは、仕事の流れを覚える意味では重要です。ただし、それでは多くの案件をこなしていくことができません。多くの案件をこなすには、1人の力だけでは限界が出てきます。それをチームとして仕事をしていく形に変えて、それぞれが専門の分野を持ちながら進めていく。そのための形をどうやっていくのかは、私自身の課題でもあるのですが、この先3年という短い期間で解決していかなければならないと考えております。


全ての業務を一人に集中させることも成長にはつながるが、チームで成果を出すことで生産性の向上を図っている。
外部研修を受けて、人間力の向上をはかる
今後、会社を発展させていくために、現場のリーダーを決めて、1つ1つの案件を進めていく構想を練っております。現在は私が各社員の仕事の裁量を決めていますが、3名から4名ほど増員した段階で、新たに決めたリーダーの立場にある人材が、私に代わって執り行っていくのが理想です。1人でも多くの人材を育てて、戦力にしていく。その結果、会社の業績はもちろんのこと、社員の貢献度もグッと上がり、ひいてはそれがボーナスなどに大きく反映していけるはずです。そのためには、リーダーはもちろんのこと、会社のトップである私自身も自己研鑽を積んでいかなくてはなりません。
その方法の1つとして、「外部研修でトレーニングをすること」が非常に大切です。私自身、今から1年前にある会社の研修を受講してきました。
「なぜその仕事をしていきたいのか」
「将来どうなりたいのか」
という、人が働くうえでもっとも大切なビジョンを再認識し、「会社を成長させるには自分自身も成長していかなくてはいけない」ということを、あらためて学び取ることができました。
そのため、リーダー候補の社員には、外部の研修を受けてもらい、「働く意味」や「将来、自分自身が描いているビジョン」などを学び取ってほしいと考えております。そのうえで、会社の実務に活かすべく、私自身がその環境を整えていかなくてはなりません。現在は少数精鋭で仕事をこなしていますが、個人のスキル頼みではなく、「組織として一体となって仕事の効率を上げていく」ことを念頭に置いた仕組みづくりを、今後は進めていきたいと強く考えております。


向井社長が受講した外部研修は、2泊3日という短い期間だったが多くのことを学び、気づきを得る貴重な経験となった。