現場の意見を吸い上げ、希望を叶える会社
株式会社日本オフィスオートメーション代表取締役社長 小沼 澄生
社員の希望を汲み取る「キャリア面談」
今期で32年目を迎える当社が約15年前から継続して行っているキャリア面談は、半年に一度、各部署長が自分の部下であるスタッフと面談をするというものです。その際使用するシートには「拠点の異動を希望しますか」「現在の職務を継続しますか」といった質問項目が並び、社員が自分の希望を伝えることができるようになっています。
拠点異動に関しましては、以前は男性社員のみが利用していましたが、ここ1、2年は女性社員も拠点を異動するようになり、最近では実際に3名の女性社員が異動をしました。「結婚したので旦那さんに近い拠点に行きたい」「奥さんの実家の両親が心配なので実家の近くに拠点を移したい」など、社員それぞれの事情を優先し、希望を汲み取るようにしています。
キャリア面談の導入当初は、社員が遠慮してしまい、皆なかなか自分の希望を書きませんでした。しかし、上がった希望に対して会社側がきちんとアクションを起こすことで「そういうチャレンジができるんだ!」という認識が社内に広がっていき、徐々に意見を言いやすい風土が根付いていったと感じています。
またこの制度は社員の離職に歯止めをかけることにも一役買っています。離職を希望する社員に対して私自身が面談を行う場合があるのですが、その際ひとつの選択肢として「環境を変えて他の拠点でもう一度チャレンジしてみないか」と提案することができるようになりました。このキャリア面談シートで、現在と違う職務や拠点を希望している社員のものは全て私のところに上がってくることになっているので、シートの確認を優先順位の第1位に設定して、真っ先に目を通すようにしています。


「私自身が偉くなってはいけないと思っています。社長だからと物事を押し付けることはしません」とおっしゃる小沼社長。偉くなってしまうと社員と距離ができてしまうため、距離ができないように意識して接していらっしゃるそうです。
入社1年目は絆を深める1年
キャリア面談と同様に、もうひとつ当社が昔から欠かさず行っているのが新入社員の研修旅行です。毎年6月頃に、その年の新入社員と前年度の5月以降に入社した中途社員が、新人枠として研修旅行に行きます。目的地は当社の海外拠点があるタイです。もちろん、研修旅行費は全額会社負担で個人の負担はありません。
研修旅行を実施することによって得られる最大のメリットは、新入社員同士の結びつきが強化されることです。新卒の社員と中途の社員、拠点を全て混ぜて10人前後の班を作って行動するため、普段関わり合いのない社員ともコミュニケーションを取ることができるのです。社員同士の繋がりが強くなれば仕事もしやすくなるでしょうし、旅行から帰ってきてからも「来年の社員旅行は○○に行きたいね」などと話し、来年を楽しみにしてくれるはずです(入社2年目以降も毎年、社員旅行を実施しております。)。この一般社員旅行には私も毎年参加しています。私は東京の拠点にいることが多く、他拠点の社員と関わる機会が少ないので、社員旅行はそのような社員と顔を合わせる良い機会となっています。
当社には他にも、入社半年後に行われるフォローアップ研修や懇親会、事業部ごとにMVPを決めて表彰する表彰大会など、様々なコミュニケーションの場を設けています。そこでは、社員同士のコミュニケーションはもちろん、私自身も参加して社員に声を掛け、社員の話を聞くよう心がけています


東日本大震災の年は、既存社員の社員旅行こそ中止したものの、新人枠の社員旅行は例年通り開催したそうです。新入社員の方へ対する想いが伝わってきます。
課題はキャリアアップの道筋を示すこと
当社は今まで中途採用に力を入れて採用活動をしてまいりましたが、ここ7、8年は新卒の採用活動も安定して行えるようになってきました。そんななか、当社の課題として挙げられるのが、キャリアアップの道筋を新卒社員に見せることです。今の状態では「入社後に自分はどのようなキャリアを積めるのか」「責任者になるにはどうしたら良いのか」といった疑問に対する答えが明示できていません。やはり、この部分を明確に示すことができなければ、社員のモチベーションを維持することは難しくなると考えています。
そこで、今後は社員の部署異動の自由度を高めることに注力したいです。様々な部署を見ることで個々のスキルアップをしてほしいですし、社員が挑戦してみたいと思うことに関してはきちんと吸い上げたいと思っています。場所や職種を変えて新しい挑戦をすることによって、社員が自分の将来を想像できるようにしたいです。
私たちは主にOA機器商材を扱っていますが、「どうしてもこの仕事がやりたい!」という方はそれほど多くはないかもしれません。実際私自身もそうでした。しかし、私は仕事をすることで得られる出会いや縁こそが何よりも大切だと考えています。その観点から、求職者の皆様にはぜひ当社の社員を見ていただきたいです。必ず理想の先輩が見つかると自負しております。また、採用時の所属部署以外にも挑戦したい部署があれば異動も可能ですし、当社で様々な経験をしてもらうことで、どこへ行っても通じる力を身につけられるはずです。


「ひとつの部署に留まっていると“向こうの部署はなんだか楽しそうだな”といったように隣の芝生が青く見えてくることもあると思います。なので、実際に他部署を経験してみてほしい」と社員のチャレンジを後押しする姿勢を示してくださいました。
小沼 澄生 プロフィール
学校を卒業後、求人広告営業、インテリア商材営業等の営業職を経て日本オフィスオートメーションに入社。各部署責任者、レンタル東日本統括、常務取締役、専務取締役を務めたのち2018年代表取締役就任。