社員が生き生きと健やかに働ける“最幸の哲学”
株式会社ベアーズ取締役副社長 髙橋 ゆき
社員の健やかさを考えるのが経営者の使命
当社では、自分の誕生日に休暇を取得できる「バースデー休暇」を設けています。ただし、この休暇はただ会社を休むためのものではありません。自分の両親や学生時代の恩師に感謝を伝えるための時間を作ってほしい――そんな想いから導入しています。今まで関わってきた方々のおかげで今の自分があるのだと、感謝してほしいのです。このような想いは全て、当社の血であり酸素である「ベアーズフィロソフィー」の考えに基づいています。
ベアーズフィロソフィーの根幹となる考え方は“人は何のために働き、何のために生きるのか”というものです。朝起きて目が覚め、健康な体を持ち、自分を頼りにしてくれる社会があり、仕事があることに感謝してほしいというのが当社のフィロソフィーです。人生は一度きりです。だからこそ、社員にはやりたいことを何でもやってほしいと思っています。やりたくもない仕事をやり、上司に怒られ、帰りにビールを飲んで自分を誤魔化すような生き方なんて体に悪いに決まっています。経営者の使命は社員が健やかに働けるように尽力することです。
このような私の考えを社員に伝えるため活用しているのが、SNSなどのインターネットです。私にとってSNSは社員と繋がるためのツールです。私がSNSで発信しているものは社員に向けたメッセージであり、エールです。社員はそこから私の想いを汲み取ってくれているはずです。また、ほとんどの社員とはインターネットのコミュニケーションツールで繋がっており、常に連絡も取っています。毎日社員からメッセージが届くので、その一つひとつに対して必ず返事を返しています。少し立て込んでいて返事をするのが遅くなってしまった時には、社員から「倒れているのでは…」と心配されることもしばしばです。


社員に福をもたらせるような副社長でありたいとの想いから、メールの署名を取締役“福”社長と書いて送っているという髙橋副社長。社員様への愛が感じられます。
ライフプランを会社に提出 社員の人生に責任を持つ
私たちには、大家族主義という大きなテーマがあります。社員は、株式会社ベアーズという家族の一員だという意識を持って働いています。私自身も、社員を自分の子どものように思っており、社員の人生に本気で責任を持っています。
当社では人事考課の際、自分のキャリアプランでなく、“ライフプラン”を提出してもらっています。これは、現在から5年先までの人生プランを書くというものです。このライフプランには仕事のことは一切書いてはいけないというルールがあります。「結婚をして、マイホームを購入する」「出産して産休・育休をとる」など、プライベートな内容を書いてもらっています。そして、そこに向かってどのようなキャリアステップを踏めば良いのか考えるのが目的です。
しかし、このライフプランは、はじめから社員に受け入れられたわけではありません。実際に社員がライフプランを書いてくれるようなるまでには7年の歳月がかかりました。確かに、自分のプライベートな夢や理想を会社に打ち明けるのに抵抗を感じる気持ちはとてもよく分かります。「なぜそんなことを書かなければならないんですか?」という声もあがりました。しかし、時代の流れとともに少しずつ社員の間に私の考えが浸透したことで、段々とライフプランを提出してくれる社員が増えていきました。
そんな折に社員から届いたメッセージがあります。「副社長はいつも『愛してるよ』って言ってくれますよね。そんな素敵な会社で働けて幸せです。愛してます。」といったものでした。このメッセージをもらった時は本当に嬉しかったです。私は、社員全員が楽しく幸せに生きてほしいと思っています。ライフプランは、社員のキャリアや幸せ、それによる組織強化といった全てがリンクした取り組みなのです。


「人生の夢の片棒を担ぎあえる会社があったらこんなに素敵なことはない」とおっしゃる髙橋副社長。「何事も諦めなければ必ず叶う日がくるんです」と強い想いを語っていただきました。
社員には、やりたいことをやって生きたいように生きてほしい
今後は会社の風通しをより良くし、社員がやりたいことを叶えられる会社にすることが目標です。パン屋を開きたいなら社内で企画して新しくパン屋を出店すればいいですし、保育園を作りたければ作って良いと思います。そして、そのためには構想するだけでなく行動に移す必要があります。しかし、現在は一歩目を踏み出す勇気をなかなか持てない人が多いように感じます。これは社員が悪いのではなく、その上の経営者や上司に社員の挑戦を後押しする姿勢が足りないことも一因だと思います。
私は、部下のチャレンジを後押ししない上司に対し、部下の方から「ベアーズは社員のチャレンジを後押ししているはずです!」と意見を言える環境になれば、とても素晴らしいことだと思います。そのような想いを持って行動を起こせば、できないことなどありません。社員が夢を膨らませ、思い描くような未来を歩める会社にするために尽力していきます。目標期間は10年です。
また、社員に夢が芽生え、その夢を叶えるために退職するという道を選んだ時には盛大な壮行会を開きます。退職者は卒業生です。違う場所でも立派に活躍してほしいと思っています。そして、当社に残った社員は当社で存分に暴れ、楽しく生き生きと働いてほしいです。


新社屋への移転が控えている株式会社ベアーズ。髙橋副社長は「みんながワクワクするオフィスを作りなさい」という指示以外はあえて関与していません。理由は社員の希望を反映させ、一人ひとりの小さな夢を叶えてほしいから。「移転の話が決まった時は、他のどんな報告よりも社員が喜んでくれた」と嬉しそうにおっしゃっていました。