思いやりを持ち、仲間とともに成長する気持ちを大切にしてほしい
株式会社七色代表取締役 小林 勝庸
挨拶は仕事の基礎。基礎を徹底し、人間性を養う
当社では日々の挨拶を大切にしています。営業職でいうと絶対に契約が取れる営業トークだとか、信頼関係を築くコツなどといったノウハウに意識が行ってしまいがちですが、挨拶や礼儀といった根本的なものが備わっていなければ意味がありません。
きちんとした基礎を身につけることは営業だけではなく、当社で働く全員に必要なことです。しかし職人を抱えている多くの会社はそれを疎かにしてしまいがちです。仕事だからといって駐車禁止の場所に作業車を停めたり、Uターンするのが面倒で作業車を逆向きに停めたりするなどの行為を耳にすることがあります。いくら技術が伴っていても、法令順守などの基礎ができていなければ上手く仕事をすることはできません。
実際に以前は現場の足場が散らかっており、物損も多くありました。しかし毎日現場に顔を出し、作業車の駐車や挨拶の仕方、現場を綺麗にするなど、すぐに直せることを指摘すると、自然と物損の数も減ったのです。つまりどんなに簡単なことでも基礎をきちんと行えば仕事のミスも減り、自然と技術も上達していきます。
現在は基礎を学ぶために定期的な勉強会を開催しています。たとえば挨拶の仕方、名刺の渡し方、正しい身だしなみ、現場に遅刻をしていないかなど、本当に基礎的なことを会議形式で行っています。今後も高い技術力や営業のノウハウだけではなく、根本にある基礎を大切にしていきながら人間性を養っていきたいと考えています。


年間休日を105日から120日に増やした株式会社七色。小林社長は社員の方々のワークライフバランス向上にも積極的に取り組んでいます。
変化しようという意思が自分を成長させてくれる
当社で働く社員は真面目な人が多いです。昔は少しヤンチャをしていた人もいますし、最初の頃は仕事の手を抜くような人もいました。しかし仕事をしていくなかで基礎を学び、今では仕事と真摯に向き合ってくれています。
当社はまだまだ小さな会社です。大手企業のように与えられた仕事だけをこなしていればいいというわけではありません。どうすれば会社にとって良い影響を与えられるか、会社のために何をするべきなのかなど自分たちが会社にとって必要だという認識を自発的に持たなければなりません。そのためには常に同じことをやり続けるだけでなく、時代の変化とともに自分自身が変わっていく必要があります。
もちろん、すべての社員が最初から変化を快く受け入れていたわけではありません。勉強会に参加したくないという人もいたでしょうし、もっと楽に働きたいと思っていた人もいると思います。しかしそのような社員の考えを変えてくれたのもまた同じ社員たちです。一緒に働く社員たちが声をかけあい、少しずつ温度を合わせられるようになりました。
たとえば仕事が面白くないと会社の外に楽しみを求めるようになります。すると仕事の愚痴や不満を会社の外で発散しようとお給料の前借りを頼んでくる人もいましたが、仕事を通じてやりがいや承認欲求を満たすことで自然とお金の使い方を身につけ、前借りをしなくなります。お金の使い方だけではなく、勤務態度や仕事に対する考え方も少しずつ変わってきています。


最近では残業を削減するために残業申請制度を導入。小林社長は率先して“働き方改革”に乗り出しています。
社員の意見を取り入れながら目指す働きやすい環境づくり
今後は社員の働きやすい環境づくりに注力したいと考えています。特に強固な基盤をつくるためには会社の仕組みづくりが欠かせません。
今の段階では社員の給料は私が決めています。きちんと社員の働く姿勢や成果に合わせて金額を決めていますが、これから会社が大きくなるにつれて私一人で社員を評価するのが困難になってくるでしょう。特に最近入社してきた若い社員の場合、年に数回しか会えなくなってしまう可能性もあります。そこで明確な評価制度がないままでは「社長に気に入られた人だけが評価される」と誤った認識を広めてしまうかもしれません。一方で営業成績ばかりに目を向けてしまえば数字至上主義になってします。それを回避するためには評価制度という仕組みと会社の理念を守るための人材育成を行っていく必要があります。
人材育成において重要なことは管理職候補の育成です。部下を教育する立場の考え方が会社の方向性とズレていては理念を隅々まで浸透させることができません。社員を叱るにしても頭ごなしに叱るのではなく、なぜそれが間違っているのか、どうすればいいのかを言葉にして伝えなければなりません。言葉の使い方ひとつで伝わり方も変わってしまいます。
私や管理職候補の意見だけを反映するのではなく、現場で働く社員の意見を吸い上げるためにも日々のコミュニケーション、話し合いの場を設ける必要があります。同期会を増やしたり上司との面談を増やしたりするのもひとつの方法でしょう。このように新しい意見や方法を取り入れながら社員にとって働きやすい環境づくりを行っていきます。


「有給休暇を取得しやすくするために、上司からの声かけをしています」とおっしゃる小林社長。社員が気兼ねなく休める雰囲気づくりを徹底しているようです。