社員の「やりたい!」「ほしい!」がすべてのサービスの第一歩
株式会社CHINTAI執行役員 溝呂木 聰
「誰をどうやって幸せにするの?」からチャレンジがはじまる
当社は、新たな価値を創造する、ということを創業当時より大事にしています。そのために、社員が自分から手を上げて「やりたい」と言ってくれたことを、磨きをかけながらどんどん実現していく会社でありたいと考えていますし、それぞれの個性を発揮して高いパフォーマンスを上げられる環境をいろいろなシーンで用意したいと思っています。
新たな価値を創造するためには、常に、もっと便利なもの、もっとおせっかいなもの、もっとこだわったものが何なのか、を考えないといけない。自分が何かしらのアウトプットをするためには、世の中にアンテナをはってインプットも続けないといけない。サービスを企画する、というと、ついついこんな風に真面目になりがちですが、よりシンプルにより本質的に「誰をどうやって幸せにするの?」と質問し続けることが、当社の企画の日常です。
漠然と幸せをイメージするだけでは、サービス企画はできません。どんな工夫をしたら使いやすいか、使い続けるか、自分がユーザーになりきって具体化していくことも大切です。
当社には、担当している業務の枠にとらわれず企画やアイデアを提案できる「社員提案制度」があり、提案された企画ごとに役員が1名ついて、マンツーマンで何度でもブラッシュアップしていきます。いつでも自由に発言できる「場」を提供したいという想いからつくられた制度ですが、「誰をどうやって幸せにするの?」の企画力・具現化力を鍛える、いい道場になってくれればいいとも思っています。
また、社員自身が伸ばしたいと思うスキルや能力の向上を支援する「自己実現サポート制度」があることも当社の特長です。この制度は、一定のグレードに昇格した社員が利用することができ、そのタイミングで改めて自分自身の今後の成長やなりたい姿を考え、これまで費用面等のハードルがあって実現できなかったことや、これを機に新たに挑戦したいことを会社が支援し、自分の個性を磨き、引き出しを増やしてもらうことが目的です。
やったら終わりではなく、レポートを提出してもらうというルールはありますが、資格取得や研修受講だけでなく、自身の成長のために本人が必要だと思えば基本的にはどんなことでも認めています。例えば、旅をして色々な人やものに触れて、それをコンテンツの企画に生かしたり、料理教室に通って自分の料理の腕を上げるだけでなく、新たなビジネスチャンスを発見する社員もいます。一見すると業務とは関係ないことや趣味の延長に見える内容でも、自身の価値観で考え行動して得られたことから、何かしらの形でサービスに反映をしてもらったり、自信やモチベーションにつなげてもらったりする機会にしたいと思っています。
また、会社側が“これを学んでください”と全員に一律の研修の場を用意するだけでは、なかなか個々の強みを伸ばしづらい場合があります。不確実性の高い将来を見据えたときに、会社側が求める能力や知識が本当に正しいことなのか、断言できない部分もあります。そうであれば、本人がやりたいこと、楽しんで取り組めることをまずは伸ばしてあげたいという思いもあります。


新人教育面では2017年度よりメンター制度を導入。「新入社員が早く活躍できるように他部署の先輩をメンターにして得られる知識の幅を広げています」と溝呂木執行役員は期待を語ってくれました。
「全社員ワクワク会議」がもたらす他部署の社員との一体感
当社は、営業部門が全国に展開しているため、すべての社員が毎日直接会って話をすることはできません。とはいえ、業務上では連携を取って仕事をすることがとても多いので、距離が離れている社員同士のコミュニケーションを活性化させることは欠かせません。
そこで行っているのが「全社員ワクワク会議」です。全国にある支社の社員が都内に一斉に集まり、2日間にわたって他部署の社員と交流する場を設けています。この社内イベントでは、異なる部署の社員で編成した混合チームをいくつも作り、チーム対抗のビジネスゲームで競い合ったり、体を動かすワークショップや創作料理を作ったりといくつかのコンテンツを実施しています。そのなかで、普段はなかなか話さない社員と協力し、いろいろなアイデアを出し合いながらコミュニケーションを深めていきます。
「全社員ワクワク会議」によって築かれた一体感の効果は絶大で、その後の業務で他部署との連携が円滑に進むなど、非常に良い影響がもたらされています。2016、17年とこれまで2度開催しましたが、いずれも好評だったので、今後もさらに進化させながら継続していくつもりです。
また、毎週1回行っているイベントが、社員が自由に参加でき、食事をしながら交流を深める「ハッピーアワー」です。社内の会議室を一部屋開放して、さまざまな人たちと他愛もない話をしています。このハッピーアワーによって部署を越えたメンバー同士のつながりがどんどん広がっており、このイベントでの交流を境に“この案件について、この前話したあの先輩に聞いてみよう”というケースも生まれています。このように、社員同士が交流できる機会が定期的にある効果はとても大きいと感じています。


「全社員ワクワク会議」で行うビジネスゲームでは、経営陣よりも好結果を残す若手社員もいるとのこと。順位によって“ご褒美”も変わるとあって、「全社員が本気モード」(溝呂木執行役員)のようです。
社員に必要なのは“外からの刺激”――現在抱える課題
これまでに述べてきたような制度を取り入れてはいますが、まだまだ改善すべき点も少なくありません。
まずは社員たちが“外からの刺激”を得る機会をもっと増やすことです。当社では業務上、社内で完結する仕事も多いですが、社内だけを見て考えていると内向き志向に陥って視野が狭くなってしまう懸念があります。そのため、若手社員を中心に外に出て、様々な業種の人と交流し、新たな気づきや発想のヒントを得る機会をもっと提供していきたいです。具体的には、各部署に応じた交流会や研究会に積極的に参加してもらうことなどを考えています。
そして、社員のキャリアアップについても考えていく余地があります。新入社員の配属や、部署異動は一人ひとりの適性を見た上でタイミングも含め判断しているという良い面もありますが、新入社員や若手社員がどのようにキャリアを積んでいけば、将来どのようなポジションで活躍できるかをもっと分かりやすく提示していくことも必要だと思います。もちろん、異なる部署同士のコミュニケーションを図ることで、他の部署のことを理解していくこともひとつの方法だとは思いますが、それだけでなく、キャリアステップの可視化も進めていかなければいけないと感じています。


全面窓や明るい室内など、オフィスの設備も働きやすさにつながっているとおっしゃる溝呂木執行役員。社員の方々が気持ちよく働ける環境を多面的に整えています。