1対1の対話で不満を吸い上げ、離職者をゼロへ
株式会社グローバルエアカーゴ取締役 國高 寿人
なぜ会社を辞めるCrew(クルー)が減らなかったのか
当社の最前線を担っているのは、ドライバーです。ドライバーの質が高ければ依頼はたくさんきますし、その逆もしかりです。そしてその分背負う負担もとても大きいです。メーカーと納品先という二つのお客様を抱えることになるからです。
そして、ドライバーは配達先ではとてもアウェーな立場となります。基本的に配達は一人で行くことになるので、個人のドライバーとして、お客様からの様々な要望に応えなければならないからです。時には対価に見合わないものを要求されることもあるため、ドライバーたちは体力的にも精神的にも疲れ切って帰ってきます。
私はそんなドライバー一人ひとりの声に耳を傾け、常に味方でいたいと思っています。そのため、何か意にそぐわない事態が起こり、Crew(クルー)の主張が正しいと感じれば、私はたとえ相手がお客様であろうと抗議をして対応を改めてもらうようにしています。
まだ拠点の担当が私に代わる前は、管理職とCrewの間で上手くコミュニケーションがとれていませんでした。ドライバーが配送先で不満に思うことがあり、抗議をしても「我慢しなさい」で済まされてしまっていたのです。ドライバーにとっては、敵が3人もいるような状況です。そのためCrewが不満を伝える場や、意見を上に伝える機会がなく、離職者も少なくありませんでした。
会社にとって、ドライバーは営業マンのようなものです。お客様はその働きを見て会社の価値やクオリティをはかります。それはCrewたちも認識しているので、みんなそこの意識は高く持っています。しかしどうしても意識の高さが合わない人はいます。そういった不満を全部受け止め、話を聞くようにしています。この取り組みの成果が出たのか、今のところ私が責任者になってから目立った退職者はでていません。


人は忘れる動物。そのため記憶するのでなく、記録することが大切だとおっしゃる國高取締役。
「ワンオンワンミーティング」でコミュニケーションを活性化
会社には、どうしてもCrew(クルー)に守ってもらいたいルールが存在します。しかしそのルールをきちんと守ってもらいたいなら、なぜそのルールが存在するのか、なぜ守らなければならないのか理解して納得してもらう必要があります。そのために、Crewとのコミュニケーションには特に気を使っています。
その一環で現在行っているのが、ワンオンワンミーティングです。一対一で社内のルールについて議論したり、Crewの主張を聞いたりしています。ここで私が大切にしているのは、謙虚な姿勢で話を聞くことです。話を聞くときは、たとえどんな内容であろうと話をさえぎらずに耳を傾けます。
また、話をするときも「○○さん、話をしましょう」といったように呼びつけることもしません。もしもそのCrewが話したくなかった場合、この行為自体が上から押しつけるものになってしまうからです。そして一対一で話すのが嫌な人の場合は、間に他の人をいれるなど工夫をするようにしています。最初はなかなか話してもらえませんでしたが、今では2時間も話し込んでしまうこともあるほど、Crewたちが心を開いてくれるようになりました。
こういった場を設けることで最も防ぎたいのが、当社を嫌になって別の運送会社へ去ってしまうことです。ここでは大型車には乗れません。そのため、大型車に乗りたいという夢を抱くドライバーや、他の仕事に夢を見出したCrewたちをもちろん後押しします。もしも嫌になったら戻っておいでと言っていますが、覚悟を持って巣立っていったCrewは戻ってこないものです。一方で、現在当社に残ってくれているCrewは、今の仕事に満足してくれている人たちです。もしそのCrewたちが不満を抱えていたら、その不満を解消するために力を尽くします。


組織はチームで動く必要があり、その際の意思決定をドライバーができるようなルール付けをしたいとおっしゃっていました。
一度リセットし、生まれ変わって明るい未来のある会社へ
最近では、Crew(クルー)ときちんとコミュニケーションをとることでドライブレコーダーに対するドライバーの意識を変えることができました。トラック業界ではITを取り入れる動きが進んでおり、当社でもドライブレコーダーを付けるようにしています。以前までドライバーたちは自分たちの仕事ぶりが監視されているのだと考えていました。しかし、ドライブレコーダーはドライバーたちの人生を守るために取り付けられています。もし事故が起こった際、相手にミスがあった場合にきちんと証拠を残すことができるからです。「皆さんを守るためにやっています」と伝え続けたことで、ドライバーたちの抵抗もなくなりました。
今まではコミュニケーション不足によって、上手くいっていないことが多くありました。そのため、2018年1月からは新しく生まれ変わってみんなで明るい拠点を作っていこうと話しています。仲間と一緒に働いているのだということを意識してもらい、仲間を大切にできる会社を目指します。
中部セントレアハブセンターと中川ハブセンターではCrewそれぞれの出勤時間がバラバラです。そのため、全員が全員と顔を合わせることは難しいです。しかし、センター長や責任者がその橋渡しになることはできます。今後はそういったキーマンが皆と交流できる仕組みも作りたいです。他にも前に行っていた、事務の方が作ったカレーをみんなで食べる、炊き出しを復活させることも考えています。仕事は楽しくやるのが一番です。もっと社内のコミュニケーションを活発にして、会社に行きたくないと思う人がいなくなるようにサポートをします。
組織は人が作るものです。そのため、上に立つ人間は人の痛みが分かる人間であるべきです。当社でもまずはドライバーとして経験を積んで、管理職など上を目指してほしいと思っています。そんな向上心のある方なら、未経験でも年齢関係なく大歓迎です。今後入社を考えている方には、ぜひ夢と希望を持ってきてほしいです。そして当社にいるCrewに明るい未来を提供できるよう尽くすのが私の使命なのです。


たとえ未経験だろうと、障がいを持っていようと、やる気があれば雇用したいとの考えを國高取締役はお持ちのようです。