一人で抱え込まない環境づくり-極上の風通しを目指して-
サイバーパテント株式会社代表取締役社長 高野 誠司
同じ“景色”を若い社員にも眺めてほしい
サイバーパテントは、野村総合研究所の社内ベンチャー制度により誕生しました。その当時、私は30代。親会社から会社設立のゴーサインを頂いてからは、それ以前よりも難易度の高い仕事の連続でした。
しかし、そのおかげで見える“景色”も一変。仕事は多忙を極めましたが、面白さもやりがいも満ちあふれていました。
そのような私自身の経験や当社の生い立ちもあって、新入社員には早い段階からチャンスを与え、他企業の同年代よりもレベルの高い仕事を課すようにしています。実際、入社間もない社員が中心になって進めている事業もあります。部長や室長などの重要なポストを務めているのも若いメンバーです。
そのように、早期から裁量を与えているのは、私が見た“景色”を若い社員に早く眺めてもらいたいからです。
もちろん、重要なポストに就くと、責任も大きくなります。部下の健康管理や時間管理、業務状況の把握など仕事の範囲も大きくなります。大変なことも多いでしょう。しかし、若かりし頃の私にもできました。きっと、私と同じようにやりがいを感じる方は少なくないはずです。
鶏口牛後ということわざがあります。これは、大きな組織の一部分(牛後)で頑張るよりも小さな組織でもトップ(鶏口)になろう、という意味です。
当社をひと言で表現すると、まさに鶏口牛後です。小さな分野でも一番になりたい。そんな気概にあふれた人が活躍できる環境をこれからも提供し続けたいです。


サイバーパテント株式会社が導入している「自己申告制度」は、年に2回異動の希望や会社に対する不平・不満を話せる機会。「新部署へ異動した若手社員もいます」と高野社長がおっしゃるように、社員の方々の働きやすさやキャリアビジョンを最大限に尊重した制度になっています。
責任は上司と共有し、上司は会社と共有する
鶏口牛後と表現しているように、当社は決して大きな会社ではありません。そのため、歴史に残るような大規模プロジェクトを牽引していくことは難しいかもしれません。
しかし、私たちには小さい会社ならではの大きなメリットがあります。
当社では、ワンフロアの中で営業のメンバーや開発のメンバー、さらにヘルプデスクのメンバーが一緒に仕事をしています。フロアをパーテーションで区切っていないので、ヘルプデスクに届いたお客様からのクレームが瞬時に営業部や開発部に伝わることもあります。
上司と部下だけでなく、部署の枠を越えて情報共有できる風通しの良さは、私がとても大切にしていることです。
もちろん、私のデスクもフロア内にあります。席から全社員を見渡せるので、顔色が悪い人や表情のさえない人がひと目で確認できます。
例えば、お客様と対峙するヘルプデスクの元にはいろいろな苦情が来ます。それを自分だけで抱え込んでしまうと、それがストレスになって、勤務外のプライベートの時間や週末の休日まで引きずってしまう恐れがあります。
私は、日頃より「抱え込まないようにしよう」と社員に言っています。責任は上司と共有し、上司は会社と共有する。一人で抱え込まなくてもよい環境をつくり、あらゆる局面に組織的に対応できるようにしています。


高野社長が一緒に働きたい人物像は、能動的で自律的な人。「大きな会社ではないので、自分の役割以外のことにも目を向け、フォローできる人であってほしい」とおっしゃっていました。
日本産業界を盛り上げるために…現在抱える課題
私たちは今後も“知財×IT”の専業業者として、お客様の知的財産戦略の支援を通じて日本の産業界全体を元気にするお手伝いをしたいと考えております。
具体的には、当社が取扱っている知的財産権に関する「検索」「管理」「分析」の各サービスをさらに連係させることで業務の効率化を図り、すべてのお客様から「サイバーパテントのサービスを利用して良かった」と満足していただくことが目標です。
その目標を達成するために、まずは、さまざまな分野の専門家を社内で育てていきたい。そして、当社が提供している各サービスの専門性を高めた上で、各分野で連携して質の高いソリューションを提供したいと考えています。
それを実現するためには社内のコミュニケーションや情報共有、そして核となる“想い”の共有をさらに強化していかなければなりません。それが、私たちが抱えている現在の課題です。
また、待遇面でも課題があります。それは、社員の頑張りを反映した評価制度を確立することです。例えば、ボーナスの査定を行う際、一般企業と同じように社員を順位づけし、順位に応じてボーナス額が決められます。当社はこの相対評価を、絶対評価に変えていきたい。社員全員が頑張って業績が良くなれば、社員全員のボーナスが上がってしかるべきだと思います。
社員が頑張った分は適切に認められ、収入にしっかりと結びつく――そのような評価制度を確立できるように現在、取り組んでいます。


「メンター制度」で新入社員を指導するインストラクターは「優秀な先輩社員から選ばれる」(高野社長)とのこと。インストラクターに任命されることも名誉のひとつになっています。