明るく楽しく働くために~愚痴や文句のない会社づくり~
株式会社アイルネット代表取締役 小島 進
私と従業員は50:50(フィフティー・フィフティー)の関係
明るく、楽しく仕事をする。誰だってそうしたいはずです。しかし、言葉にするほど簡単でないのが現実ではないでしょうか。私が以前、サラリーマンとして勤めていた会社では文句や愚痴ばかり。そのような会社で働いてもまったく楽しくありませんでしたし、愚痴を言う人間とは付き合いたくもありませんでした。
私はつまらない愚痴が出ない環境で、“明るく、楽しく”仕事をしたかった。だからこそ、以前の会社をスピンアウトしてアイルネットをつくりました。
それでは、明るく楽しく働ける会社とは、一体どのような会社なのでしょうか? 私は、スタッフ全員が会社を自分のこととして考えられ、追求できる会社だと思っています。
私は採用面接時によく、「私と従業員は50:50(フィフティー・フィフティー)の関係である」と話します。つまり、当社には仕事をつくっていくなかでの上下関係はありません。入社半年に満たないからアイデアを採用しないなんてことは一切なく、社歴を問わずフラットに議論を重ねていく風土を非常に大切にしています。
私も間違った意見を言うこともありますし、フラッシュアイデアで物事を話すこともあります。しかし、それらも含めてすべて議題にあげて「どのようなメリットがあるのか」「現場のスタッフはどのように感じるか」などの議論を重ねています。みんなで一緒に答えを導き出す。それこそが、明るく、楽しく仕事ができる会社の在り方であると考えています。
私が明るく楽しい会社をつくれるかどうかはわかりません。それでも、一緒に働いてくれるスタッフがいることは心底嬉しいです。はたして、人生の大切な時期を費やしてくれるスタッフに対して、明るく楽しい会社を具現化できているか。そのことは、常に問いただしています。


小島社長が考える働きやすい環境は「タブー(禁句)なし」。何でも言い合える風通しの良い環境こそ、愚痴や文句を生まない要因なのかもしれません。
一緒に働きたい人物像は、豊かな情熱を持った人
仕事をする上で最も大切なもの――それは、「情熱」です。
情熱を持った人は、いろいろなことにチャレンジします。もちろん、チャレンジした分だけ、失敗の数も増えるでしょう。しくじりばかりが人生です。そして、そのなかにすごく素敵な成功事例や周囲からの賞賛の声が時々あるから、仕事が楽しくなるわけです。
ところが、情熱というものは、いくら上司が「持とう」と言い続けても、簡単に持てるものではありません。目標や夢があって初めて湧いてくるものです。だからこそ、私はきらきらとした夢を持った人とともに働きたい。情熱を持って人生を豊かにしたいと努力する人と一緒に仕事がしたいと願っています。
そして、その情熱を当社でさらに豊かなものにしてほしいと思います。当社では、スタッフたちの情熱のマグマを絶やさないために、さまざまな施策を行っています。そのひとつが年に2回開催している表彰式です。そこでは売上高や販売台数といった数字だけでなく、縁の下の力持ちやホスピタリティの高い人など、数字に表れない部分も評価しています。
当社で“売れる人”というのは、“最もお客様に信頼された人”です。表彰されるスタッフも、お客様の幸せを第一に考えて提案できる人ばかりです。そして、そのような人は情熱が豊かな人がほとんどです。
行列ができるラーメン屋さんは、ラーメンをたくさん売ろうとしているのではなく、愛されるラーメンを作り続けているから繁盛しているのだと思います。同じように、当社のスタッフも、お客様に商品を売り込むのではなく、お客様に商品を買っていただける人であってほしい。会社の利益ばかりを考える必要はありません。


従業員たちがどれだけ楽しく仕事をしているか、常に確認している小島社長。そのため、笑顔で心底楽しんでいる従業員を見ると、社長ご自身も自然と笑顔になるそうです。
チャレンジし続けて人生を豊かにしてほしい
自転車に初めて乗れた時のことを思い出してください。おそらく、必死に練習を繰り返し、何度も転んだ末に乗れるようになったと思います。スタッフが成長していく過程も同じです。チャレンジと失敗を繰り返さない限り、成長はできません。
ところが、仕事をある程度覚え、こなせるようになると“自分は仕事ができるんだ”と勘違いしてしまう人も少なくありません。そして、途端にチャレンジをやめてしまう。それでは成長が止まってしまいます。
そのような状況で私がすべきことは、成長の余地がまだまだあることを本人に気づかせ、成長曲線に再び戻してあげることです。その方法にはいつも苦労していますが、常に諭し続けて、挑戦することの意味を伝えることを徹底しています。もちろん、言葉で言うのは簡単です。それでも言い続ける。粘り強く言い続ける。それが肝心だと思います。
人生は実力通りにしか進まないものです。時として実力以上の成果が上がるかもしれませんが、それは一時の運にすぎません。つまり、人生を豊かにするには、自分自身の実力をつける以外に方法はないと思います。
新たな境地を切り拓く人とは、失敗を恐れず、チャレンジを繰り返す人です。そして、そのような人材が思いきって挑戦できる環境を与え、人生を豊かにするための支援を絶やさないことが私の役割です。


「当社が手掛けていない事業をやりたい、と提案する人がいてもいい」とおっしゃる小島社長。スタッフのチャレンジ精神を全面的に応援する姿勢がうかがえました。