次世代を担う社員が夢をかなえられるように…今は種をまく時
司システム株式会社代表取締役 浦野 秀幸
次世代リーダー候補の育成へ 新たな取り組みをスタート
次の世代にいかにバトンタッチしていくか。それが私に課せられている最大のテーマだと思います。もちろん、私の夢や希望を私の世代でかなえられれば申し分ありません。しかし、何よりもまず、次の世代を担う社員たちが夢を叶えられる会社づくりが最優先であると考えています。
当社の魅力は何か。確かに、知識やノウハウを豊富に持った技術者は多数在籍しています。しかし、客観的な視点に立って冷静に分析してみると、求職者の方々に誇れるような魅力はまだまだ少ないのが実情です。
だからこそ、私は未来に向けて“種まき”をしなければなりません。まず注力したいことは、挑戦するスピリットを持った人材とともに、チャレンジできる風土を醸成していくことです。
当社では経験を問わず、ヒューマンスキルを重視した若手人材の採用を積極的に行っています。彼らには、怖いもの知らずでも全然構わないので「あれやりたい」「これやりたい」と声を上げられ、実際にかたちに変えられる環境を提供していきたいです。
最近では、次世代リーダー候補を育成する取り組みも始めました。自薦他薦を含め、若手社員を10名ほどピックアップ。オブザーバーとしてベテランの管理職社員1人も参加させて、自由闊達な雰囲気のなかで、今後の会社についてディスカッションしてもらっています。
それにより、会社を引っ張っていくという意識を持ってもらうと同時に、会社側も彼らの想いを受け止め、実現できる仕組みをつくっていきたいと考えています。
若手社員や今後入社していただく方々が知識や技術を思う存分磨ける環境を用意したい。そして、彼らが主力になった時に彼らの夢が実現できるような土壌を築きたい――未来への種まきは、今後も続けていきます。


感情認識ロボットを購入したことも“未来への種まき”のひとつ。そのねらいは、社員に最先端なものに触れてもらうため。「会社が提供しなければ触れる機会はなかなか訪れません。おもちゃにしてもらって構わない」と浦野社長の懐の深さを感じる施策です。
積極的なローテーションで次の時代で活躍できる人材を
リーマン・ショックの頃のIT業界は技術者同士の競争が極めて激しく、まさに仕事の奪い合いでした。その状況で生き残るすべは、ライバルより一歩でも二歩でも先を行く能力を持つことでした。
IT業界は今でこそ好景気で仕事も多くありますが、延々と仕事があるという神話はありません。業界自体はなくならないかもしれませんが、淘汰は始まると思うので、その危機感をつねに持ち続けています。
そのようなIT業界で生き残る人材を育てるには、経験値を高め、引き出しの数を増やしていける環境を提供することです。その施策のひとつとして、社員にやりたい仕事があれば、積極的に職場やポジションをチェンジしています。
長い期間、同じ場所で働き続けていると、その現場でしか通用しない技術や考え方に凝り固まってしまう恐れがあります。すると、他の技術に対応するための柔軟性や瞬発力が失われ、成長も止まってしまうというリスクが生じます。
IT業界の時代の流れは速く、技術の幅が広くなっており、新しい技術が次々に生まれています。それに伴って顧客ニーズも変化しています。そのニーズをとらえるには柔軟性と瞬発力は欠かせません。そこで、最近では長くても2、3年経ったら別の職場や役割へのローテーションを取り始めました。
職場や役割が変わることは、新しい仕事のやり方や新たな技術に触れることができ、新たな発見をもたらす良い機会になります。
そして、なによりも社員たちに良い刺激を与えます。実際に現場を移ったことで目の輝きが増した社員もいます。今後も社員たちとしっかりと話し合い、彼らの意向に添いながら、成長できる機会を頻繁に与えていきたいと考えています。


社員たちとの距離を縮めるために、積極的に会話を重ねることを信条にしている浦野社長。“飲みニケーション”などを重ねながら、社員がどういった考えを持ち、どのような働き方を希望しているのかを知ることを大切になさっているそうです。
「あれはお父さんがつくったんだぞ」と言える瞬間を夢見て
先ほども申し上げたとおり、当社の課題は魅力を数多くつくっていくことです。
給与面もそのひとつで、社員たちにもっと高い給料を与えたいのが本音です。しかし、それで会社が赤字になって経営が傾いてしまっては本末転倒です。今後は収益性の高い会社にしていくことも経営者としての課題だと感じています。
そして、付加価値の高い仕事を社会に提供することも課題のひとつです。当社の仕事は人の目に触れないバックヤードのシステムが大半を占めています。それでも、社員たちは誇りを持って働いてくれています。しかし、世の中の人の目に触れるようなものであれば、より一層大きなやりがいを感じられるはずです。
私は、やりがいのある職場こそ、社員たちが働きやすい職場であると考えています。そして、社員たちに絶え間なくやりがいを感じてもらうことが私の責務です。
私にはよく社員に語る話があります。それは、現代におけるスマートフォンのような世の中の“常識”となるものをいつか開発し、自分の子供に「あれはお父さんがつくったんだぞ」と言うことです。それが私の夢です。
しかし、その夢の優先度はそれほど高くはありません。むしろ、その夢を次の世代につなげ、後々に花開いてもらえれば本望です。まずは次の世代を担う若手社員が夢を叶えられる組織をつくりたい。その後で、彼らにバトンと夢をしっかりと託したいです。


新入社員歓迎会、暑気払い、忘年会と年に3回行われる社内親睦会は、社員の参加率が高い人気の社内イベント。単なる飲み会では終わらず、幹事さんを中心に工夫を凝らした内容になっており、毎回大盛り上がりなのだとか。