社内恋愛も全てオープン!それが雇用のミスマッチの防止策
株式会社ISO総合研究所代表取締役社長 山口 智朗
社内結婚4組、社内カップル4組
社内結婚で夫婦になったのはこれまで4組、そして、社内恋愛をしているカップルが現在4組います。当社では社内恋愛が始まると、本人たちが私のところにちゃんと報告にきます。
恋愛だけではありません。社員全員とはフェイスブックで繋がっていて、その他のプライベートのことも把握するように努めています。
それは、なぜか――たとえば、ある男性社員に恋人ができたとします。それはそれは綺麗な女性です。しかし、残念ながら恋人に振られてしまったら、その社員が受けるショックは相当なものだと思います。はたして、そんな状態で仕事が手につくでしょうか? おそらく、難しいでしょう。
だからこそ私は、その社員にできる限りの配慮をしたいのです。プライベートの様々な事情を知りたいのは、社員たちにいろいろな気配りや心配りができるからです。
もちろん、私のプライベートも社員にすべて公開しています。私とフェイスブックで「友達」になると、私の子供の画像や家族とのプライベート映像がどんどん流れます(笑)。
結局、当社で働くかどうかというのは、経営者である私と一緒に働いていくかどうかです。だからこそ、山口智朗という人間をよく知ってもらい、楽しそうだな、とか、ためになりそうだな、と思えるのであれば一緒に働いていけるはずですし、雇用のミスマッチも防ぐことができると思います。
雇用のミスマッチを防ぐ点で、私は入社説明会の際、参加した学生に必ず聞くことがあります。当社の社員旅行では、新卒社員が仮装して盛り上げるという恒例イベントがあるのですが、その話題を持ち出して、「仮装できますか?」と単刀直入に聞くのです。そのときにもし拒否反応が出るのであれば、「だったら辞めたほうがいいね」とその場ですぐに伝えています。
入社説明会というのは、求職者に選ばれる基準を提示する場だと思っています。私たちにとってはセーフでも、求職者にとってはアウトなことは結構あるのです。だからこそ、そのような基準をどんどん提示しています。私の説明会はとても面白いと思います。実際に評判も上々です。


山口社長のユニークな語り口で終始、笑いが絶えなかった今回のインタビュー。福利厚生もユニークなものぞろいで、「呑みーティング天国・地獄」もそのひとつ。毎月、与えられた目標を達成したチームには予算が高めの天国呑み、達成できなかったチームには予算が安めの地獄呑みを会社側が開催しているそうです。
有給休暇消化率100%
初任給が人によって異なることも当社のアピールポイントです。
どういうことかと言うと、内々定を出した学生には当社でアルバイトすることを進めており、頑張ってスキルを身につけた分だけ入社後の給与に反映しています。当社には新卒社員用のスキル表というものがあり、アルバイト期間中にスキル表の項目をクリアしていくと、ステータスに適した金額が初任給になる、という仕組みです。
これは決して強制ではありません。大学生活をエンジョイしたい人には、とことんエンジョイしてもらいたいと思っています。その一方で、入社前から仕事を頑張りたい人がいれば会社として評価してあげたい。そこは、給与というかたちで差をつけるようにしています。
働き方の面でアピールしたい点は、時短への取り組みです。当社では、1ヵ月で3分ずつ完全退社時間を短くしています。
昔、私が働いていた業界は夜遅くまでガリガリ働きたい人がとても多かったのですが、実際はガリガリではなくダラダラと会社で遊んでいるだけでした。そうなると会社側に残業代などのリスクが生じますし、早く帰りたい社員が帰りづらくなる環境ができあがってしまいます。
それは、明らかに良くありません。当社では、完全退社時間を社内に張り出し、早めの退社を促しています。現在の完全退社時間は19時48分ですので、来月は19時45分ですね(※)。
社員たちには、プライベートも思いっ切り楽しんでもらいたい。「思いっ切り」という考え方は遊びでも仕事でも変わらないはずです。実際、思いっ切り遊ぶ人は、仕事も思いっ切り打ち込みます。これは「徹底」という言葉と同じなのですが、社員たちには遊びに徹底し、仕事も徹底してもらいたいですね。
※インタビューは2017年5月に行いました。


社内の壁には社内結婚した社員の夫婦写真や育休中の社員の家族写真など、さまざまな写真が貼られていました。山口社長の言葉どおり、オープンな会社であることが一目瞭然でした。
社員の上位5%を年収1000万円プレーヤーにするために
今後5年で5社設立、売上高50億円。これが当面の目標です。この目標の真意は、上位5%前後の社員を年収1000万円プレーヤーにすることです。就業者が年収1000万円を稼げるという会社は、中小企業ではなかなかないと思います。それを実現できる会社にしたいのです。
そのためには、いくつかの課題をクリアしなければなりません。当社が抱える一番の課題は現場力の強化です。近年、当社はおかげさまで急成長を遂げることができました。それに伴って、社員数も急激に増えています。そのため、現社員の平均在籍年数1.8年です。
この数字が示すように当社には経験の浅い社員が多く、まだ完全に教育が行き届いているとはいえません。そうなると、技術やスキル面ではある程度の水準を満たせても、目上の人に話し負けてしまったり、会話のイニシアチブが取れなかったりとコミュニケーション面での若さは否めません。
これまでは、そのような状態で社員を現場へ送り出してしまっていました。これが現場力の弱さの要因だと思います。その改善策として、今後は社内でじっくりと基礎力を養ってから現場へ送り出すことを考えています。
また、現場力を指導する幹部層の強化も課題です。たとえば、当社では早ければ入社2年目で課長に昇進する社員もいます。気概にあふれた人材ですが、まだ人材育成というものを理解していない部分があります。
人を育てるときに大切なのは、「手はつけない。作業量は多めに出す。でも目は離さない」ことです。しかし、多くの人が作業量を少なくし、手はつけ、しかも目を離してしまいがちです。それでは、なかなか人は育ちません。
筋力トレーニングで負荷が大きいほど効果が高いように、時には限界を超える仕事量を与えることも必要です。そのようなマインドを幹部層に根付かせることも、今後していかなければならないと考えております。


「新宿区ワークライフバランス推進宣言企業」に認定されているISO総合研究所。有給休暇取得率100%を実現するなど、働きやすい職場づくりを進めています。また、「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」にも認定されており、働く女性のキャリア形成にも取り組んでいます。
山口 智朗 プロフィール
1971年 | 長野に生まれる |
1995年 | 女子大の非常勤講師を夢見て、大学院で経営学を学ぶことを決意 |
1997年 | 神戸大学大学院経営学研究科修了 |
1997年 | 株式会社デジタルデザイン入社 システムエンジニアとして業務系のシステム構築に従事 |
1998年 | 株式会社デジタルデザイン退社 |
1998年 | 株式会社船井総合研究所入社 住宅リフォームの売り上げアップのチームで、ISOコンサルのスキルを身につける |
1999年 | 株式会社船井総合研究所退社 起業準備を開始する |
1999年 | プリンスキー創業 ネットベンチャーを夢見る |
2002年 | プリンスキー法人化 |
2002年 | ISO総合研究所運営スタート リーマンショックを機に事業転換し、ISO運用代行事業に転換 |
2011年 | ISO総合研究所を法人化 |
2014年 | 『会社はムダが9割』を出版 Amazon本部門総合ベストセラー1位 |
2017年 | 現在業界トップのお客様数 1740社 海外展開も含め新規事業開拓中 プライベートでは息子のサッカー選手への夢を全力で応援し、イクメンを発揮 |