May your future shine!――あなたの未来が輝きますように
コーラル株式会社代表取締役 井上 正子
良い提案は「傾聴力」にアリ!
私がコーラルの代表取締役に就いた当初は、まったくの不動産素人でした。以前は化粧品や百円均一の会社に勤めていました。不動産業界にはいくつかの「通例」があり、それを一つひとつ見ていくなかである疑問を抱くようになりました。それは仲介手数料についてです。
不動産売買における仲介手数料は一律3%が主流です。これはすぐに買主が見つかった物件も3%ですし、テコ入れが必要な物件も3%です。不動産業界で長く勤められている方にとっては普通のことかもしれませんが、私にとっては不思議な仕組みでした。
例えば、化粧品には化粧水、乳液、オールインワンなど様々な形があり、その種類も乾燥肌やオイリー肌用など多岐に渡ります。お客様のお肌の状況をヒアリングし、適切なものを提案するように、不動産事業においてもお客様一人ひとりに適したプランを提供したいという思いが芽生えました。そこからお客様の特性に合わせて仲介手数料のプランを5種類用意し、そのなかからお客様に適したものを提案する形に変えました。
このような取り組みを行っている当社では、「提案力」よりも「傾聴力」が求められます。良い提案をするためには、まず相手の意見や要望に耳を傾けることが重要です。当社ではお客様の物件を右から左に流すような手法は取っておりません。まずはお客様に「何がお悩みですか?」と聞く姿勢を大切にしています。
お客様と話し合いながら、時には物件を掃除したりもします。通常の不動産会社ですと、その部屋が片付いていなくてもそのまま内覧します。しかし、時にはそれが売れない原因になってしまいます。当社は常にお客様に寄り添い、「どうすれば売れるか」を考えながら対策を練っています。そのような姿勢を大切にしているからこそ、お客様からのクレームもほとんどありません。


お客様に“教えていただく”という姿勢を大事にしている井上社長。“不動産素人”であることを逆に強みにして、業界に新しい風を送り込んでいます。
型にはまらず、本当に社員が必要としているものを…
当社で働く社員にはのびのびと働いてほしいと思っています。当社には「お客様に喜んでもらう」という共通の目標があります。その目標を達成させるための道筋は必ずしも一つとは限りません。営業マンごとに考えていること、感じていることは異なると思いますから、それを無理やり捻じ曲げ、型にはめるようなことはしたくありません。最低限のルールを守りながら、お客様にとってベストなサービスを提供してほしいのです。
それは研修においても同じです。当社では決まった研修制度をあえて設けていません。それは社員ごとに必要な研修や学びたいことが異なるからです。そのため、当社では社員自ら受けたいセミナーを選び、受講します。そしてセミナーの内容に合わせて会社がその費用を負担します。
当社には大手企業にあるような様々な福利厚生はありません。それは社員が求めるものと会社が提供するものとのミスマッチをなくすためです。福利厚生の導入にはお金がかかります。会社が良かれと思って色々な福利厚生を導入しても、社員がそれを求めていなければ意味がありません。逆に色々な制度を導入したことで、社員の給料を減らさなければならない状況になってしまっては本末転倒です。それであれば、好きなときに休める雰囲気を役員自らがつくったほうが社員も自分のやりたいことに集中できると考えています。
通常の業務においてもなるべく残業をなくしたいと考えています。とは言っても、お客様ありきの商売ですので、時には21時頃までお客様対応をしなければいけないときもあります。そのような際はなるべく他の日に業務を分散するか、どうしても難しいようであれば代休を取れるようにしています。


全社員の19時退社を習慣づけたいとおっしゃる井上社長。その理由をうかがうと、「社員たちには自分の時間を有効に使っていただきたいから」とのこと。そのため、19時になると社長が率先して会社を後にしたり、社員を食事に誘ったりして帰宅を促しているそうです。
「この人と一緒に働きたい」気持ちを最優先に考えた採用
当社の選考は社員が中心となって行います。新しく入社する社員と最も長い時間を共有するのは、私ではなく現場で働く社員です。だからこそ、「この人と一緒に働きたい」という人物を社員に選んでほしいと思っています。そして、求職者の方々にも自分の上司になる人を実際に見て入社するかどうかを決めてほしいと思っています。
それは入社後も変わりません。当社はこれからオープンする横浜店を皮切りに多店舗展開していく予定です。新しい店舗をオープンする際も既存の社員から立ち上げメンバーを募りたいと思っています。逆に言えば、立候補がなければ新店舗はオープンしません。会社の都合に社員を当て込むようなことはしたくありません。
立候補する社員がいれば、その人に他の立ち上げメンバーをスカウトできる権限を与えます。ここでも「この人と一緒に働きたい」という気持ちを大切にしてほしいのです。もし、社内で人を募ることができなければ、新しく採用してもいいですし、その採用もすべて立候補した社員に任せます。
当社は社員の働きやすい環境をずっと求め続けてきました。何が社員のためになるのか、今何を求められているのか――経営陣だけで考えていては机上の空論になってしまう。だからこそ、常に社員の意見に耳を傾け、社員と共に働きやすい環境をつくってきました。
先日、ある求職者が当社の門をたたいてくれました。彼女は他の会社でも働いているため、土日だけ勤務したいとのことでした。これまでもずっとそのような働き方を希望しながら仕事を探していたけれど、どこの会社も受け入れてはくれなかったそうです。しかし、私は彼女に「土日だけでもいいですよ」と言いました。なぜならそれが彼女の求める働き方だったからです。
これからも当社は社員の描く未来や働き方に寄り添いながら、会社を展開していきたいと考えています。


今後は多店舗展開を予定しているコーラル株式会社。多店舗展開を成功させるために、核となる人材を育てていきたいと井上社長はおっしゃっていました。