無茶な提案は重々承知 すべては社員の未来のため
株式会社ヒューメインシステム代表取締役 鹿又 三男
社員たちが大きな達成感を得られる環境を取り戻したい
「自動運転の普及による交通事故の大幅削減」
「ビッグデータ、AIの進歩で人間の仕事が劇的に変わる」
「ITが少子高齢化時代の救世主になる」
このようなニュースが世の中をにぎわせているIT業界は、夢や希望に満ちた業界です。しかし、今本当に幸せな業界かといえば、決してそうとは言い切れません。達成感を得る機会が大幅に減ってしまっているからです。
現在のIT業界は大規模コンピュータシステムの開発が主流で、そのシステム開発を担っているのは、SES(システムエンジニアリングサービス)事業に従事する人や派遣エンジニアといった「外注さん」です。そして、その人たちの仕事は、システム開発の全体ではなく、ある一部分だけに限られることがほとんどです。
もちろん、その都度多少なりとも達成感を味わえるとは思います。しかし、システムをゼロベースから開発し、システム全体が完成したときの「出来た!!」という大きな達成感を得られる機会は非常に少なくなったと思います。当社にとっても、そこが悩ましい部分です。
当社がシステム全体にかかわっていた頃、システムが完成した際にはお客様と一緒に心から完成の喜びを分かち合いました。
私はもう一度、社員たちが大きな達成感が味わえる環境にしたいのです。
現在のIT業界で大きな達成感を得るすべは、新たな技術の研鑽に取り組み、誰よりも一歩でも二歩でも先を行く技術分野の先駆者になることです。そうすれば、システム開発の中核を担うことも可能になるからです。


IT業界が労働集約型の業界となり、大手企業の下請け孫請け構造に変わったことで、IT業界自体から達成感を得られるような仕事の仕方が少なくなってしまったとおっしゃる鹿又社長。そのような時代において、ヒューメインシステムにしかできない新技術を確立しようと、全社一丸で技術研鑽を進めているようです。
私自身、無茶を言っていると感じています。
そこで当社では、社員たちが達成感を味わえる環境を取り戻すために、RT&IoT(ロボットテクノロジー・アンド・インターネットオブシングス)インテグレーションという独自のプロジェクトを推進しています。
RT&IoTインテグレーションとは、ロボット(ハードウェア)やその要素技術(センサー)を開発するのではなく、RTテクノロジー(ロボット制御、音声/文章/画像認識、AIの適用、ビッグデータ利活用)とIoTを結びつけるソフトウェア技術を習得するためのプロジェクトで、勉強会による知識習得や技術研鑽を行っています。
この勉強会はメンバーの意識合わせを目的に月2回程度、勤務時間内での勉強会を行い、その後は勤務時間外に技術研鑽しています。
勉強会は自由参加ですが、普段の仕事をこなしながら勉強の時間を取るように進めています。私自身、無茶を言っていると感じています。
しかし、そのような努力を継続的に積み重ねることで技術が身につき、大きな達成感を得られる仕事に携わることができるのです。
一流のアスリートが日頃の継続した努力があって花開くのと同様、技術者も自分なりの努力を積み重ね、高みを目指してこそ次のステージに進めると思います。
社員には、自分がなくてはならない存在=オンリーワンであり、客観的にはナンバーワンになってもらいたい。そして、日本だけにとどまらず世界に先駆ける、という向上心を持って成長を遂げてもらいたいです。


社員一人ひとりの能力が高い組織が理想だとおっしゃる鹿又社長。勉強会などを通じて、社員たちのスキル向上にも注力されています。
大切な時間を使ってくれる社員たちへ感謝の気持ち
当社の強みは、真面目な社員が多いことです。勤務時間外で行っている勉強会でも努力を惜しまず、真摯に取り組んでくれています。
社員のなかには家庭を持つ者もいます。プライベートの時間を大切にしたいという者もいます。そのような社員たちが自分の時間を割いて勉強会に参加するには、相当な根気や気力がなければできないと思います。やはり、先ほども申しましたが、とても無茶な提案をしていると思っています。
それにもかかわらず、社員たちは大切な時間を費やしてくれています。その想いにかたちで応えたいと思い、2017年から勉強会に参加してくれた社員に自己研鑽手当を支給するようにしました。
大した額ではありませんが、1ヵ月に1回か2回程度、奥様やパートナー、もしくは友人たちと一緒に食事に行けるくらいの額です。そのような形で社員たちに感謝の気持ちが届けば幸いです。
当社は、これからも社員にとって良い環境を整えていかなければなりません。そのために、まずは従業員数を15人程度まで増員したいと考えています。
社員の人数を増やすことができれば、そのうちの数名を新たな領域に挑戦させてあげられます。
技術を高めたい社員には常駐先のシステム開発だけでなく自社での受託開発にも携わっていただき、新しいことに挑みたい社員にはロボットテクノロジー関連に専念してもらう。そういったかたちで、社員の自己実現の場を幅広くつくっていきたいです。


ヒューメインシステムの役割は、技術を融合させるための接着剤だとおっしゃる鹿又社長。縁の下の力持ちとして、様々なシステムを実用化したいと語ってくださりました。
株式会社ヒューメインシステム プロフィール
1997年 | 有限会社ヒューメインシステムを設立 |
2001年 | 株式会社ヒューメインシステムに組織変更 |
2002年 | 本社を東京都千代田区神田東松下町に移転 |
2009年 | 本社を東京都千代田区東神田に移転 |