社員たちに精神的・経済的な幸せを
株式会社ベネフィットライン代表取締役 小原 孝治
きっかけは実体験 社員が永続的に働ける環境づくり
社員の精神的・経済的な幸せを最大限に追求する――当社の企業理念にその一文を明記したのは、私自身の実体験がきっかけでした。
私は大学卒業後に大手建設会社に入社しました。その会社では、自分自身の存在意義や仕事のやりがいなどといった精神的な幸せは抜群に感じられましたが、待遇面は成果に見合ったものが得られず、経済的な喜びについてはもっと上を目指したいと思いました。
10年間勤務した後、ベンチャー企業に転職して給料は一気に倍増したため今度は経済的な幸せを享受しましたが、精神的な喜びとのバランスを取ることができませんでした。つまり、精神面と経済面を両立できる会社でなければ、社員たちが永続的に働くことは困難だと思いました。
精神的・経済的な幸せを社員にもたらすために、当社では様々な施策を講じています。精神面の幸せをもたらす取り組みとしては、入社後、比較的早い段階から裁量を与えており、責任のある物件を担当してもらっています。そのため、若手社員でも代表的な物件や話題を集めるような物件に携わることができます。経済面も、同業の大手企業や他社と比べても待遇は負けていない自信があります。
東京五輪の開催を2020年に控え、内装業界の市場規模は拡大中です。東京五輪以降は市場成長率の伸びの鈍化が懸念されますが、当社は業界トップレベルの品質を、コストメリットも含めて提供できる強みを有しているので、成長する余地は多分にあると確信しています。手掛ける物件も商業施設だけではなく、オフィスやホテルなど多岐に渡っていますし、今後はその他の領域にも幅を広げていく予定です。
そうして会社を成長させていくことで、社員の精神的・経済的な幸せをさらに追求していきたいと考えております。


今後はより幅広い空間創りに力を注ぎたいという小原社長。会社として新たな柱となる領域を開拓して更なる成長を目指すとおっしゃっていました。
人財育成のカギは社員の主体性を高めること
当社は2017年に設立11年目を迎え、ようやく市場にも認めていただける企業になりました。この10年間は私が先頭に立って会社を引っ張ってきました。極端な話に聞こえるかもしれませんが、次の10年間は、私がいなくても成長できる会社づくりを進めていかなければなりません。そして、そのためには人財育成が欠かせません。
人は、主体的に思考することで成長する生き物だと思います。
当社では社員全員が経営者目線を持ち、主体性を高めるための施策を行っています。具体的には、6人前後を1つのグループにまとめ、目標を達成するための意見やアイデアをグループ内で出し合います。そうすることで、全員の意見が反映できますし、本当に良いアイデアを吸い上げることができます。そして、なにより上司の指示通りに行動するのではなく、各担当者が主体性のある考え方ができるようになります。
今振り返ってみると、大手企業に勤めていた頃の私は、主体性のある考え方ができていませんでしたね。そのような思考を始めたのは、ベンチャー企業で責任ある役職を任されるようになってからです。その後、当社の起業に至り、設立から10年で売上高が5000万円から40億円まで伸びました。その要因は、私だけでなく、社員たちが主体性を持って仕事と向き合ってくれたからだと思っています。
また、普通の内装業では学べないことを習得できる機会もつくっています。たとえば、外部のコンサルタントを招いて、クリティカル・シンキング講座や論理的思考回路を養う講義を開催することで、社員の成長を促しています。
経営者にとって、社員がそれまで出来なかったことが出来るようになった瞬間ほど嬉しいときはありません。これからの5年、10年は業界経験が浅い若手社員や新卒社員も多く仲間入りすることになるでしょう。そのような新たな人財が、ベネフィットラインイズムをゼロベースから培っていけるように、今後も様々な施策を模索したいです。


社員たちとのコミュニケーションをとにかく大事にしているという小原社長。仕事の相談だけでなく、どんなに些細なことでも気軽に話しかけられる雰囲気づくりに取り組んでいるようです。
意欲的な社員たちと目指す未来のかたち
2020年には、当社は売上高100億円の企業になっています。100億円という数字は目標ではなく計画ですので、なんとしてもクリアしなければなりません。そして、100億円の価値を提供するには、それに見合った組織構造へ変化するとともに、新しい人財の力が必要になります。
当社の求める人物像は、ベネフィットラインの価値観に共感していただける方です。そのなかでも、成長意欲や出世意欲にあふれる方と一緒に働きたいです。自分の成長のために努力を積み重ね、それまでできなかった仕事を習得するために挑戦し続ける方は、やはり魅力的です。
空間デザインを担当する設計部を例に挙げると、お客様がドキドキワクワクするような空間を提案するには、良い空間をたくさん見て、貪欲に学び続けることが不可欠です。
贅の極みを尽くした超一流の旅館や豪華な三ツ星ホテルに宿泊することは、なかなかできないかもしれません。しかし、フロントやロビーであれば見学することはできます。有名な建造物を自分の目で見て、感性を磨きたいという意欲に満ちた方が、今後の当社を支える人財にふさわしいと思います。
実際、能力を意欲を兼ね備えた社員には相応のポストを与えていますし、今後も社員の成長に合わせて最適な役割を与えていきたいです。そのために教育制度の充実や評価制度のブラッシュアップなどに取り組み、2020年に売上高100億円、2025年には売上高200億円以上の企業へと成長を遂げたいと考えています。


様々な場所で「取引先は親戚、社員は家族」と公言されている小原社長。決して威張らず、常に謙虚な姿勢を心掛けているそうです。