情熱の炎に薪をくべ続け、情熱的に生きる楽しさを伝えたい
株式会社アローズコーポレーション代表取締役 中野 穣二
自由な発想と自由な意見 社員と共に“組織”をつくる
当社の魅力のひとつは「社員が明るく、元気」というところです。もちろん、仕事ができるとか細かいところを言えばたくさんありますが、どんな時にも明るく振る舞える、良い雰囲気を作れるというのは個人の資質としては非常に良いことだと思います。
もうひとつは「一生懸命働く」というところです。社会人としては当然と考えるかもしれませんが、働いている姿を見ているだけで「一生懸命働いているな」と感じられるということはすごいことだと思います。
当社には営業ノルマがなく、個人で目標を設定しながら営業活動をしています。営業会社では珍しいことだと思いますが、当社の場合、ノルマがないからこそ、一生懸命やれる。そういう逆説的ではありますが、良い効果は出ていると感じています。
ノルマがないからこそ、ぎすぎすした雰囲気はありませんし、むしろ受注が少ないときなどは制作部門の社員が営業を励ましたり、逆に受注が多く制作部門が忙しくなったときは営業部の社員が「手伝おうか」などと声を掛けたりして支え合いながら働いています。
お互いに支え合えることは非常に良いことではありますが、その一方で新しい社員を迎え入れるためには既存の社員と共に「組織」を作っていかなければなりません。その点、当社はまだまだ社員の個々のスキルに頼ってしまっている部分があるため、中堅社員を筆頭に組織の基盤を作っていく必要があります。
その組織作りにおいても私がすべて決めるのではなく、部下も上司もみんなで意見を出し合いながら作っていきたいと考えています。それは私がまだサラリーマンの頃、自分の上司や先輩が自由な発想、自由な意見を言える場所を提供してくださったからです。そのため、当社でも週に1度、全社で意見を出し合うミーティングの時間を設けています。まだまだ完璧ではありませんが、「これから変わっていかなければならない」ということは、社員のみんなも理解してくれていますので、今後も社員と共により良い会社を目指していきます。


これまでの多彩な経験を活かし、組織形成に注力している中野社長。常に社員の意見・考えに耳を傾けていらっしゃいます。
80歳になっても、90歳になっても「行きたい」と思われる会社へ
社員には80歳、90歳になっても会社に来てほしい。もちろん、若い頃と同じように働くことはできないかもしれません。それでも負担のない仕事をしたり、お茶を飲みに集まったりするだけでも構いません。その分、お給料は安くなってしまいますが、「会社に行きたい」と思ってもらえるようになることが重要なのです。
例えば25歳で入社し、65歳で定年を迎えるとしたら40年会社に勤めることになります。40年一生懸命働いて、定年を迎えたらサヨナラではあまりに寂しい。
社員には青臭いと言われてしまいますが、私は生きていく上で「情熱」を持つことが最も大切だと考えています。何かを決意したり、何かをやろうと思った瞬間に「情熱」は燃え上がります。その炎を維持するためには、誰かが炎に薪をくべ続けなければなりません。私自身、子どもの頃から現在まで情熱を持ち続けてきました。ありがたいことに兄や家族、サラリーマン時代の上司が常に情熱の炎に薪をくべ続けてくれたからこそ、情熱を絶やさずに持ち続けられたのです。
今度は私が社員にも、これから入社される方々にも同じように薪をくべ続けてあげたい。退職するまでではなく、退職してからもずっと情熱の炎を燃やし続けてほしいのです。それは仕事でも良いですし、趣味でも良い。何かをやろうと決意した日の気持ちを忘れずに持ち続けてほしいと思っています。
よく草食男子だとか意欲がないとか言われていますが、どんな草食動物でもものすごい闘魂を持っています。色々な熱意や火種を持っていて、それを見つけ出してあげることが私たちの責任ですし、必死に見つけます。自身の人生を振り返っても、情熱的に生きて損なことはひとつもなく、毎日が楽しいですから、その楽しさを何歳になっても体験・体感させてあげたいのです。


2017年に大阪本社をグランフロントへ移転。広く綺麗なオフィスは社員のモチベーションアップにも繋がっています。
社員一人ひとりの想いに寄り添った「働き方」を提供し続ける
時代の変化とともに「ブラック企業」「ホワイト企業」の定義も変化しています。私が小学校生だった頃は週6日授業があり、休みは日曜日だけでした。途中から土曜日が半日になり、今では完全週休2日になっています。企業によっては週休3日を導入しようという動きも出始めています。もし、就業規則をきっちり守っていることがホワイト企業で、逸脱することがブラック企業とするのであれば一種の定義付けができるかもしれません。しかし、その時代の「ホワイト企業」を目指していかなければ、今は週休2日、祝日休みが一般化していても、来年になれば週休3日が当たり前になっている可能性も十分にあります。
時代に適した環境を提供するためには、会社に余剰がなくてはなりません。実際、当社では3.5人分の工数を必要とする業務に対しては4人で対応していただいています。短期的な利益を求めるのであれば、3人で頑張る方が利益は上がります。しかし、余剰のない環境では社員が休むこともできませんし、新しいことに挑戦する余裕さえもなくなってしまいます。
今や他社でも当たり前のように導入されている産休制度ですが、当社でも産休を2回取得した社員がいます。当たり前といっても、産休を取得後にそのまま退職されてしまったり、産休を取得せずに退職する方もいると聞く中、また復帰して働いてくれることを非常に嬉しく思っています。もちろん、会社の設備や労働時間、勤務形態も会社を評価するうえで重要な要素だと思いますが、やはり人間関係や人との関わり合いを大切にしたい、という想いを常に発信してきたからこそ、復帰して頑張ってくれているのだと感じています。お互いを思いやる、支え合うための「心の余裕」も余剰を持った環境があってのことだと感じています。
今後も社員一人ひとりが自分に適した働き方ができるよう、会社として「働きやすい環境」を提供し続けていきたいと考えています。


「どこに情熱をかけるかは自由」と話す中野社長。自身も海外のマラソン大会に参加するなど、仕事だけではなく趣味の部分にも情熱を燃やされています。
中野 穣二 プロフィール
2000年 | 中央大学文学部卒業 東亞合成株式会社入社 大阪支店基礎化学品G配属、営業職に従事 |
2008年 | 同名古屋支店基礎化学品G 水道用・薬品類ガイドラインに適合したアロンクリンLB10を上枰し、同社社長表彰受賞 |
2009年 | 同社退社 |
2010年 | (株)Virty設立 オフィス用不動産(賃貸専門)会社 |
2011年 | オランダMyLAPS社を渋谷へ誘致等、世界的企業と取引を行う |
2013年 | 有限会社茨城計測代表取締役就任 事業再生を行う |
2014年 | 中小企業再生支援協議会より受託され、複数社の事業再生を行う |
2016年 | 株式会社アローズコーポレーション代表取締役に就任 現在、再生案件含め12社の社長を務める |