社員が挑戦できる環境づくりへ 多様性を追求したい
株式会社力の源ホールディングス代表取締役社長 清宮 俊之
40歳になる前に…異業界で果敢に挑戦
「変わらないために変わり続ける。」力の源グループで働くことを即決したのは、その企業理念に共感したからです。
前職はTSUTAYA事業などを展開するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)でさまざまな業務に携わっていました。そこでの経験は、現在でも私のベースになっています。CCCでは1年半~2年ごとに職種変更があり、TSUTAYAのCDやDVDのバイヤー、スーパーバイザー、関東圏の支店長などをやらせていただきました。入社10年目には、当時一番利益をあげていた部門から人事部への異動を直訴。いろいろなタイプの人材を育てる必要性を感じ、人事改革に着手しました。人事改革にある程度のめどがつくと、企画営業ラインに復帰。R&D(研究開発業務)を行う新規部門のトップとして、ありとあらゆる企画を託されました。そのなかのひとつに代官山 蔦屋書店を中心とした「代官山プロジェクト」があり、CCCにいた最後の2年は代官山プロジェクトに専念していました。
CCCは今でも良い会社ですし、とても良いフィールドでした。それでも退職を決意したのは、40歳になる前に、自分がどこまでやれるのか勝負したいと思ったからです。そして、勝負するなら、まったく異なる業界で、かつ自分の経歴や実績が通用しない世界がいいと思いました。
いくつかの企業から「一緒に働かないか」というお話も頂きました。それでも力の源を選んだのは、「変わらないために変わり続ける」という理念と、それに基づいた海外展開や農業分野へ事業を拡大していくチャレンジ精神でした。これらを創り上げた創業者の河原と面接をして、経営者として優れているだけでなく、ひとりの人間としてもとても魅力的でしたので、この会社で働くことを迷うことなく決めました。


CCC勤務時代、「会社を最速で変えたい」という想いから人事部異動を直訴した清宮俊之社長。「経営者にとって人事の経験値は必須だと思う」と話していただきました。
未来と自分は変えられる 必要なのは自走力
力の源グループに入社後、まず人事を任されました。最初に手掛けたのが、「くしふる研修」という全社員向けの宿泊型研修の導入です。大分県久住高原に保有するヤフオクドーム8つ分の広大な農地「くしふるの大地」をベースキャンプにして、全国の社員をランダムにグループ分けして順繰りに集め、約一週間自然の中で寝泊まりしながら、理念の意味や多岐にわたる事業を持つ会社の立体感を味わってもらう場を設けました。急速に拡大する組織だからこそ、共に働く者同士が地域や部署や年齢を超えてしっかりつながるようにしたのです。当社には “人財には投資すべき”という文化が今も脈々と受け継がれており、この「くしふる研修」は毎年バージョンアップを重ねています。
また、世界147カ国で読まれているビジネス書『7つの習慣』(スティーヴン・R・コヴィー著)を用いた人財育成にも力を入れています。2016年には飲食事業者向けに特化した「7つの習慣® 店舗運営の心得」をフランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社と共同開発し、1業種で1社だけに与えられるライセンスも取得。社内研修はもちろん、飲食業界に対する外販など教育事業に参入し、世界基準の研修事業の展開に積極的に取り組んでいます。
私が社長を任されたのは入社3年目でした。社長になりたいと思って入社したわけではなかったので、お話を頂いたときは、混乱、戸惑い、ざわつきしかありませんでした(笑)。それでも、いい会社にするために淡々とやるだけ、と腹を決めましたね。
私には、経営するうえで大切にしている言葉があります。それは、「過去と他人は変えられない。未来と自分は変えられる」です。すべての物事を自分のことだと考える人間でなければ世の中も変えていけません。自分が行動を起こせば必ず何かを変えられる。これに尽きると思います。ですので、一緒に働きたい人はこうした“自走力”がある方であってほしいですね。逆に私は他人のせいにしたり、人の悪口を言ったり、時代のせいにしたりする人は好きになれません。


「人財育成に投資をすべき」という力の源カンパニーの文化も入社のきっかけになったという清宮社長。研修制度をさらに充実化させるようです。
働きやすさ=多様性 社員の選択肢を増やしたい
経営者である自分のやるべきことは、社員たちがチャレンジできる環境をどれだけ作れるか、だと考えています。
当社は「一風堂」以外にも事業を展開しており、様々なキャリアが用意されています。例えば、経営志向がある方には社内的なステップアップだけではなく、のれん分けによって独立できる制度があります。スープや麺、調理の技術を高めたい方は製造や商品開発でプロフェッショナルを目指せます。モノをつくって提案していきたい方にはコンサルティング事業もあります。このような「働き方の多様化」を進めることで、社員たちが選択できるキャリアコースを増やしていきたいと思っています。
同時に、フレックス制度や副業・兼業といった働く環境も多様化させていきたいですね。“業界で一番の報酬にする”という目標があるので、当然、そこを目指していますが、まずは、選べる職場環境を常に多様化させて提示していくことに重点的に取り組みたいと思っています。そうやって社員の選択肢を増やすことが、働きやすい職場づくりにつながると考えています。
力の源グループが今後成長していくうえでカギを握っているのは当然ながら「人財」です。店舗でお客様に向き合うメンバーや海外の現地法人で指揮を執るメンバー、経理で会社を支えるメンバー、農業法人でジャガイモを作っているメンバー、そして私を含めた全員が組み上がって初めて力の源グループになるわけです。当社のロゴマークには「点から線へ、線から面へ、面から立体へ」という想いが込められています。点(メンバー)の素材は素晴らしいものがあります。この点をいかに有機的に結び付けて、立体的にしていくか。それが私の仕事だと思っています。


“自走力”という言葉を繰り返し口にした清宮社長。海外で渡り合うために必要な要素でもあると熱っぽく語っていただきました。
清宮 俊之 プロフィール
1974年 | 神奈川県出身 |
1997年 | 日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業 |
CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)入社 | |
2011年 | 株式会社力の源カンパニー入社 |
2012年 | 執行役員 就任 |
2014年 | 代表取締役社長 就任 |
株式会社力の源ホールディングス プロフィール
1979年 | 創業者・河原成美氏がレストランバー「アフター・ザ・レイン」をオープン。 |
1985年 | 福岡市大名に最初のラーメン店「博多 一風堂」をオープン。 |
1986年 | 有限会社 力の源カンパニーを設立。 |
1994年 | 有限会社から株式会社へ組織変更。 |
1998年 | TV東京『TVチャンピオン』にて、「ラーメン職人チャンピオン」に選ばれる(2000年まで3連覇)。 |
2000年 | 中華麺酒家「五行」をオープン。 |
2006年 | 「ダム・ド・フランス」をオープン。ベーカリー事業開始。 |
2008年 | 「博多 一風堂」 アメリカ進出。 |
2009年 | 株式会社渡辺製麺と資本提携。 |
大分県竹田市久住(くじゅう)町にて、くしふるの大地事業スタート。 | |
「博多 一風堂」シンガポール進出。 | |
2010年 | 第1回暖簾分け店主宣言。店主制度発足。 |
「チャイルドキッチン」を福岡山王にオープン。 | |
2011年 | 「博多 一風堂」韓国、香港進出。 |
沖縄料理店「沖縄リパブリック 談四朗キッチン」をオープン。 | |
2012年 | 「博多 一風堂」台湾、中国、オーストラリア進出 |
2013年 | 「五行」香港進出 |
2014年 | 「株式会社 力の源ホールディングス」を親会社とし、「株式会社 力の源カンパニー」、「CHIKARANOMOTO GLOBAL HOLDINGS PTE. LTD.」、「株式会社渡辺製麺」、「株式会社 力の源パートナーズ」の4社を主要子会社とするホールディング体制(持株会社制)に移行。 |
「博多 一風堂」タイ、フィリピン進出 | |
2016年 | 「博多 一風堂」フランス進出 |
飲食業界向け「7つの習慣 店舗運営の心得」を開発し、教育事業に参入。 |