コンビニエンスストアを通じて人財を育てる会社でありたい
広尾エンタープライズ株式会社長谷川 寛/繁田 一哉
コンビニは「小さな成功」を積み重ねる格好の場
繁田一哉マネジメントオーナー(以下、繁田):広尾エンタープライズを、コンビニエンスストアを通じて人を育てる会社にしたい。それが、当社が思い描く理想のかたちです。入社した人財をしっかりと育て、自立させて送り出す。当社がローソンを多店舗経営するときにそう事業計画書を作成しました。
長谷川寛取締役・ストアコンサルタント(以下、長谷川):実際に当社からすでに2人が独立しており、現在では立派なオーナーとして複数店舗のコンビニエンスストアを経営しています。私たちの役割は、「独立したい」と希望する社員たちの願いが叶う環境を提供することだと思います。もちろん、“独立の道”だけではなく、当社が展開している店舗の店長になり、組織の中核へ成長していただく道もあります。
繁田:コンビニを運営するうえで最も重要な要素は「人」。ところが、コンビニ業界は現在、人手不足が顕著です。そのため、多くのコンビニがさまざまな方を採用しています。なかには、勉強で挫折してしまった人や自分の思うような進路を歩めなかった人、自分が本当にやりたい仕事に就けず目標を見失ってしまった人などもいると思います。
私はそのような方々に、コンビニの仕事を通じて、“何か”を教えることができたらな、という気持ちを常に持っています。その“何か”とは、小さな成功の積み重ねです。自分で考えて、それを自分の力で実践し、その結果がうまくいったとか失敗してしまったということを自分で判断する。その繰り返しによって、自信が少しずつついていくと思います。コンビニは物凄くスピードが速いので、計画、実行、評価・改善というサイクルを実践しやすい場所です。ただし、前述のとおり人手不足だと言われているなか、そこまで教育や研修に手をかけてあげられていません。そのあたりに着手し、人材育成を進めていくことが当社の課題のひとつだと考えています。


地域一番店を目指すべく人財育成に注力する代表取締役・高橋愛朗氏。コンビニの将来性を早期に確信していたようです。
「明確なルールづくり」と「評価の見える化」が働きやすい職場をつくる
長谷川:働きやすい職場環境を実現するために一番大事なものは、評価制度だと思います。自分がどう思われているか、どう評価されているのか、ということがわからなければ、そこで働く意味を見失ってしまいかねません。そして、その評価を「見える化」することも大切だと思います。自分の業務に対する質やスキル、成長段階を意識しながら働けるように、当社では評価の「見える化」に取り組んでいます。
繁田:ルールが明確なことは必須だと思います。ただ、きっちり運用できているかと言ったらまだまだ力不足。残念な思いをしている社員やクルーがいるのが実情です。そのため、ルールの明確化をいち早く実現したいと考えています。
長谷川:あとは、自分のライフスタイルに合わせて自分の働きたい時間に働けることですね。働きたい時間は人によってまちまちですので、自分の時間を有効活用できることは働きやすさにつながると思います。実際に当社では1店舗で運用しており、自分が働きたい時間で勤務してもらい、人が足りない時間帯があれば勤務できる人が働くという働き方ができています。
繁田:5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)がしっかりと行き届いた環境も働きやすい職場には必要だと思います。まだまだ浸透できていない部分ですので、これも明確にルール化していきたいですね。
長谷川:福利厚生の充実を図っていくことも私たちの役割です。現在は、ローソン全体で行っているベネフィット制度をはじめ、社員やクルーさんにとってプラスとなる制度を落とし込んでいる段階です。そのような制度で得られるメリットを働く方々に発信することで、活用を促進したいと考えています。


評価の「見える化」を進める長谷川取締役・ストアコンサルタント。その原動力は「社員のモチベーションを高めたい」という想いです。
「独立したい」「中核メンバーになりたい」の想いが推進力になる
繁田:一緒に働きたいと思う人物像は、商売が好きな人、人が好きな人。これに限りますね。
長谷川:同感ですね。好きじゃなければ発展しない。言われたことだけを漠然とやるだけでは将来を見据えた仕事はできません。「会社の中核となって働いていく」「経験を積んでいずれはオーナーとして独立したい」といった方向性がないと、人間って推進力を発揮できないじゃないですか。ですので、将来のビジョンを持っている人とも働きたいですね。
繁田:「自分のお店を持ちたい」「一番になりたい」というような将来像をぼんやりでも持っていれば、色々な角度からサポートをすることができると思います。逆に目標や理想が何もないとサポートの方法も不明確になってしまいます。
長谷川:あとは、素直な性格の方。周囲のアドバイスを吸収しようと努力していただける方であれば、周りも好影響を与えますし、当社の色に合った人財に成長して一緒に歩んでいけると思います。
繁田:当社の強みは接客です。おこがましいことは承知の上で申しますが、広尾エリアの他店舗と比較しても、接客の質は高いと自負しています。
長谷川:もうひとつは歴史でしょう。広尾界隈で最初にできたコンビニが当社の1号店です。今やコンビニが何軒もあるなかで、長くお付き合いさせていただいている常連のお客様がたくさんいらっしゃいます。
繁田: 独立を考えている方にとっても、いきなりローソンの門をたたいて「オーナーになりたい」と手を挙げるよりも、当社で経験を積んで独立をした方が条件の良い店舗を任せていただける可能性が高く、魅力的だと思います。それは当社が長年ローソンのマネジメントオーナーとして信頼関係を築いてきた賜物です。
長谷川:これまでの積み重ねによって社員たちが希望するキャリアを歩める会社になれるよう、これからも努めていきたいと考えています。


将来のビジョンを持つ人財を応援したいと語る繁田マネジメントオーナー。謙虚さのなかに「人を育てたい」という熱い気持ちが垣間見えました。
広尾エンタープライズ
株式会社 プロフィール
1983年 | 資本金500万円にてプレジデント株式会社を設立 |
1988年 | 社名を広尾エンタープライズ株式会社に変更 |
1992年 | お好焼き『天現寺亭』の経営を開始 |
1993年 | ビアレストラン『セルベッサ』を開店 |
1995年 | ローソン広尾五丁目店の経営を開始 |
1999年 | ローソン広尾南店を開店 |
2003年 | お好焼き『天現寺亭』を営業譲渡 |
ビアレストラン『セルベッサ』を営業譲渡 | |
2005年 | ローソン西新宿7丁目店を開店 |
2006年 | 西新宿7丁目店をナチュラルローソンに形態変更 |
2008年 | ローソン恵比寿プライムスクエア店を開店 |
2010年 | ローソンストア100渋谷恵比寿2丁目店を開店 |
2011年 | ローソン恵比寿三丁目店を開店 |
ナチュラルローソン西新宿7丁目店契約満了 | |
2012年 | ローソン渋谷ヒカリエ店を開店 |
ローソンプラチナ通り店を開店 | |
2013年 | ナチュラルローソン広尾5丁目店を開店 |
2014年 | ナチュラルローソン神宮前2丁目店契約満了 |
ローソンプラチナ通り店閉店 | |
2015年 | ローソンストア100渋谷恵比寿2丁目店契約満了 |