互いを思いやり、熱意を持って成長できる会社へ
東京自動車興業株式会社代表取締役社長 國分 秀太
柔軟な変化が、若手社員の可能性を引き出していく
当社は今年、ちょうど70周年を迎えました。大きな国産ディーラーと比較すれば、ネームバリューや資本力に劣る面もあります。しかし、技術者として活躍していく環境から見れば、当社では乗用車から大型トラックまで幅広い車種、ブランドの車輌整備に携わることができます。
近年では新卒採用にも注力しており、老舗企業ながら若手社員の活躍も増えてきました。
私自身、今年で40歳を迎え、当社でも私と同世代のベテラン社員が管理職として活躍しています。しかし、今ベテラン社員として活躍している社員たちがまだ新米だった頃と比較しても、現代の若手社員や学生の仕事に対する考え方や取り組み方は大きく変わってきています。
特にベテラン社員の多くは職人気質な現場でキャリアを積んできていますから、いわゆる「人の背中を見て学べ」「技は見て盗め」といった意識がありました。
私は技術者ではありませんが、長くこの業界で働いていますからその言葉の意味や意識が残る意味もわかります。
しかし、時代の流れと共に人々の働き方や動向は変化していきます。世間的にも余剰人員が減り、それに伴い昔ほど競争意識も生まれづらくなりました。
現代では社員一人ひとりの個性や思考を共有し、その人を早く一人前の技術者に育てていかなくてはなりません。
社是でも掲げている通り、我々はお客様のニーズはもちろん、社員の働き方においても時代の変化に柔軟に対応していかなければなりません。
その一環として、平成18年度より新卒採用を積極化し、少しずつではありますが若手社員の数も増えてきました。次第にベテラン社員も若手社員の育成に注力するようになり、徐々に意識改善はされてきているように思います。


時代の移り変わりと共に新入社員の教育や考え方も柔軟に変えている國分社長。職人世界だからこそ、古き良き文化は残しつつ、新しい教育方法にも着手されています。
良い時も、苦しい時も固い絆があれば乗り越えていける
私が代表取締役に就任して以降、最も変わった点で言えば埼玉店を開設したことです。
埼玉店はもともと関連会社である自興中販株式会社の埼玉営業所内につくりました。自興中販株式会社ではトレーラーや大型トラックの販売を行っておりますので、そこに自動車整備の技術が加われば、顧客開拓も加速していくのではという狙いもありました。
しかし、何よりも大切だったのが現場で働く社員でした。
当時は東京と千葉の2拠点で事業を展開していました。正直なところ、ずっと同じ拠点で働いているとどこかでコミュニケーション・ミスが生じる。それはどのような企業においても少なからず起こることではありますが、その改善のためにも埼玉店を開設しました。
結婚をし、奥さんや子どもができれば家庭の都合もありますから、そう易々と異動することは難しいでしょう。なるべく若手のうちに様々な拠点を異動し、色々な社員やお客様と関わっていくことで円滑なコミュニケーションスキルを身に着けて欲しいのです。
仕事をしている以上、良い時期と苦しい時期が訪れます。その苦しい時期に会社が一丸となって乗り越えていくためには、社員同士の固い絆や強い想いが必要不可欠です。
より強固な組織をつくっていくためにも、社内コミュニケーションを重視しています。
時には新しい制度やコミュニケーションの場を会社側が提供し、組織の関係性の構築に努めなければならないと考えています。
実際、本当に若い社員が自分の抱えている悩みや不安を打ち明けられているか、と言えば完璧ではないと思います。本当の意味で社員が退職や転職を決意するということは、そう簡単に決意は揺るがないものです。日常の働き方、コミュニケーションを変えていくことで、社員の長期的な活躍を会社としてもバックアップしていきたいと思っています。


新しい人材、知識、文化、経験などあらゆる風を取り入れ、社内の革新を行う國分社長。新卒採用だけではなく、中途採用も積極的に行われていらっしゃいます。
人の熱意は誰かの熱意を生む 向上心から成る強い組織
当社は拠点展開をしているため、各拠点の決裁を店長に任せています。
私が「新入社員を育てよう」と言っていても、管理職や責任者である社員に響いていなければ意味がありません。現場を統括する人間だからこそ、自分が部下や会社に対して何を想うか、何を感じるかが重要だと考えています。
私は上に立つ人間には、部下を自分の子どもと思って育てて欲しいと思っています。
甘やかし過ぎても駄目ですし、厳しすぎても駄目。どのようにすれば自分の部下が一人前の技術者として自立ができるか。部下の目線になって何が適切なのかを考えて欲しい。
自分の子どもであれば、その子の将来を見据えて教育をしますよね。社員教育も同じです。どれだけその人に寄り添えるかだと思います。
私は以前、ディーラーで営業マンとして働いていました。当時は自分で売上を上げることや上司に認められることが何よりも喜びでしたし、仕事のやりがいでした。
仕事に忙殺されていた時期もありましたが、今思えば非常に楽しかった。
そう思えるのは当時の尊敬できる上司や仕事に対する熱い想いがあったからだと思います。
人の熱意は、別の誰かの熱意を生みます。だからこそ、社員には人から尊敬してもらえるような人間になって欲しい。会社に対する想いや部下や社員に対する想いが強い人間が育っていけば、もっと良い組織になっていけると思います。
そのような人材を育てていくことこそが、私自身の仕事でありミッションだと感じています。
今後も採用活動をはじめ、人事制度のブラッシュアップや教育制度の導入、社内環境の改善など社員の働きやすい環境や成長しやすい環境を積極的につくっていきたいと思っています。


「若い頃は前社長でもある父とよくぶつかっていました」と笑って語ってくださった國分社長。意見の交し合いや熱意を持って働く大切さを知った経験を現在の会社経営にも活かされていらっしゃいます。
國分 秀太 プロフィール
昭和21年11月 | 港区桜川町に「有限会社セントラル商会」創業 |
昭和24年9月 | 港区芝浜松町に移転、東京自動車興業株式会社に改称 |
昭和31年2月 | 港区海岸に本社工場が完成 「東京自動車興業株式会社」に社名変更し再生車の販売を開始する |
昭和39年7月 | 千葉県長沼町に千葉工場を新規開設する |
昭和43年3月 | 港区海岸に本社社屋が竣工 |
昭和44年6月 | 江東区枝川に東京工場移転 |
昭和47年7月 | 千葉県三角町「千葉中古車センター」を開設 |
昭和54年11月 | 埼玉県越谷市に「埼玉中古車センター」を開設 |
昭和55年9月 | 車輌販売部を分離し「自興中販株式会社」を設立する |
平成4年8月 | 江戸川区松江に東京工場を移設 |
平成5年8月 | 江東区枝川の旧東京工場跡地に「住友不動産豊州TKビル」竣工 |
平成12年12月 | 本社社屋の大規模改修工事完成 |
平成18年10月 | ISO9001認定取得(車検) |
平成19年12月 | 「ボルボ・トラック東関東」商標権使用承諾認可 |
平成23年7月 | 千葉工場に小型車専用整備工場完成 |
平成25年4月 | 埼玉県越谷市に整備工場「埼玉店」を竣工 |
平成26年1月 | スカニアジャパンサービス代理店契約 |
平成27年5月 | 江東区枝川の「住友不動産豊洲TKビル」に本社移転 |