柔軟な発想、新しい感覚がフルーツの未来を切り開く
株式会社芋銀代表取締役社長 小出 崇博
“新しい感覚”がフルーツをもっと身近なものにする
採用において一番大切にしていることは、“新しい感覚”です。
昨今はフルーツの摂取方法が多様化しており、必ずしも量販店で購入して食べるものだけではなくなってきています。特にフルーツを剥いて食べるという機会はどんどん減ってきています。その一方で、ケーキとして食べる、スムージーとして飲む、ゼリーやガムなどの加工品として食べられているケースが多く、ニーズはまだまだあると考えています。
であれば、剥いたフルーツを提供できれば、もっと多くの方々に食べてもらえると考え、当社ではカットフルーツの工場を立ち上げ、事業展開しています。
誰もが気軽にフルーツを食べる環境をつくっていくためには、どのようなシーンでフルーツが食べられているのか、食べたいと思うのかなど、様々な視点から想像していかなくてはなりません。
ある日、新入社員の女性がフルーツを見て「可愛い」と言いました。私はその言葉に大きな衝撃を受けました。私はフルーツのプロとして各フルーツの旬や美味しい食べ方、美味しさの理由などについてはいくらでも語れます。しかし、フルーツを見て「可愛い」と思う感覚がありませんでした。
そのような感覚でモノを買う人がいることを知り、新しい感性やニーズに訴えかけるような販売方法の必要性を実感しました。例えば、パッケージやキャッチコピーひとつ取ってもフォントのデザインや色合いなどの“見せ方”は様々です。
そこには私にはない若い感覚、新しい感覚が絶対的に必要です。
フルーツを好きで、そのフルーツを多くの人に食べてもらえるように、新鮮な感覚を活かしながら仕事を楽しめる、そのような人たちと一緒に働いていきたいと思います。


写真右が小出崇博社長。左が小出晴夫会長。インタビューに応じてくださった小出社長はフルーツに対する想いや若手社員に期待する想いを語ってくださりました。
強固な基盤をつくり、社員と共に次の100年企業を目指していく
これまでの卸売業は朝が早く、物流においては朝3時出勤し、朝から晩まで働かなければならない状況でした。生鮮を取扱っている以上、台風や自然災害で通常通り納品できないこともありますし、フルーツの痛みなどのイレギュラー対応を行わなければならないこともあり、時には休日を返上して働いていることもありました。
特に当社はフルーツや野菜の種類ごとに担当者が分かれており、個人商店のような仕組みとなっています。担当者は商品を知らなければなりませんし、お客様に対して商品の確認を行わなければなりません。プロとしての仕事を全うする一方で、一人ひとりが負う責任が大きくなってしまうところが課題でした。
現在は社員が働きやすい環境をつくっていくため、夜間帯のスタッフを採用し、物流の現場と営業部門の棲み分けを行っています。
今後はこれまでアナログ的に管理をしていた受発注業務や管理業務をシステム化し、業務効率の改善を図っていきたいと考えています。
また、これまでの評価制度を見直し、どのセクションでも対等な評価ができるシステムをつくり、モチベーション高く働けるようになる必要があります。例えば、当社では「仕事を楽しむ」ことを大切にしており、今後は仕事にもゲーム性を導入していきたいと考えています。小さな目標から大きな目標までをポイント化し、それを基に評価をしていくことで、それぞれのモチベーションの向に活かせていければと思っています。


2016年に代替わりした小出社長。新たな取り組みとして社内制度の改善や業務改善に着手されていらっしゃいます。
フルーツに込められた可能性 これまでの常識を覆す
日本では「フルーツ=デザート」というイメージが強く、より広く浸透させていくためには、カタチを変えていく必要があると考えています。
その一歩として外食部門を立ち上げ、現在は「フルーツベーカリー茂木」と「32 orchard(サニーオーチャード)」の2店舗を運営しています。そこではフルーツをパンに加工したり、ビュッフェスタイルで提供していますが、お客様からは大変好評いただいています。
直接お客様の声を聞くことで「フルーツを食べたい」という消費者のニーズを知ることができました。今後はフルーツや野菜をひとつの素材として扱い、消費者のニーズに合わせながら加工を施していきたいと考えています。そしてゆくゆくはメーカーとして商品開発を行い、日本の高品質なフルーツをもっと多くの人々に広めていきたいと思います。
近年、多くの量販店がデリカ化をしており、フルーツはデザートのデリカ、野菜は惣菜のデリカとして進化していく可能性は大いにあります。実際、スーパーではデリカや冷凍食品、レトルト食品の売上が上がっており、手軽に食べられる加工食品に注目が集まっています。
我々は消費者ニーズを大切にしていく一方、生産者側の考えや想いに寄り添っていかなければなりません。納品の量だけでいえば、一店舗に対して一農家で十分なのですが、量販店の売り方によってはフルーツの基準がマッチせず、納品できないこともあります。
農家の方々の話を直接聞き、生産者の想いや考えを汲み取った上で、どのようなカタチでフルーツを出荷していくのか、どうすれば多くのお客様の手に届けられるかを考えていかなければならないと考えています。


活躍する社員はフルーツ大好き!な方々ばかり。求める人物像としても「フルーツが好きな人」。好きだからこそ広めたい、知って欲しいという気持ちやアイディアが浮かんでくるのでしょう。
小出 崇博 プロフィール
1977年 | 愛知県名古屋市生まれ |
1999年 | 愛知学院大学商学部卒業、株式会社芋銀入社 |
2015年 | 株式会社芋銀代表取締役社長就任 |