自分たちの挫折や逆境での経験が、社会に希望を創る種となる
ネクステージグループホールディングス株式会社代表取締役 丹野 直人
挫折の経験から芽生えた信念
僕が22歳のときに、自分で事業をやっていたのですが、それがオーナーの夜逃げによって借金を負い、倒産してしまったというところから始まりました。親の破産などもありながら、借金をようやく返し終わって、どこかに就職しようというときに、全然チャンスがなかったのです。やる気はあるのに、その環境がなかなか出てこない。大学も出ていないですし、別に大して職歴もないですからね。そういう、失敗して足を踏み外してしまった人間の気持ちをものすごく味わったわけですが、それなら、そういう人間たちが復活できるような会社こそ必要だろうと思い、自分で会社を立ち上げました。それが10年ほど前になります。
もともとは、自分の経験を活かした、事業再生のためのコンサルティング会社を設立しました。ですが、黙っていてもコンサルタント案件がやって来るわけではありません。それだったら、第三者的なメディアを自分たちで作って運営してしまえばいいよね、という発想がきっかけで、ウェブの世界に入っていきました。最初は財務状況に悩んでいる人と、専門家とをつなぐマッチングサイトを作りました。少しずつ企業自体も成長し、社員も増えたことから、税理士紹介サイトなどのB to Bのマッチングサイトをはじめていきました。
起業当初は、経営理念ということは全く考えていませんでした。独立して、色々と壁にぶち当たった、3年目くらいでしょうか。あらためて自分の生い立ちや、思いに立ち返って、「本当に何がしたいのか、何をすべきか」について考えたのです。そのときに、自分自身が劣等感をもった人間だからこそ誰かの希望になれる、“日本一の人財企業”を作りたいと思いました。そこから、改めて経営理念を作っていったのです。


自身の苦労を赤裸々に語ってくださった丹野社長。ふいに訪れた困難に立ち向かい、立ち上がった経験を持っているからこそ、人の想いや成長への想いを強く持たれていらっしゃいます。
“チャンス”への飢えが意欲を掻き立てる 逆境を乗り越えた先にあるステージ
学歴や職歴、性別や家庭環境なども関係がない、チャンスというきっかけに飢えた人間なら誰でもが挑戦できるようなフィールドを作りたいという思いから、多角的フランチャイズともいうべき“ビジョナリーカンパニー制度”が生まれました。今はこの制度を利用した3つの子会社があります。代表者はいずれも20代の早いうちから、一国一城の主として頑張っています。
ただ、今は企業が成長中で多忙なこともあり、新しく事業をやるというぐらいまでは、ひとりひとりの社員が充分に考えられていないとも感じますね。この先の人材を増やしていくことで、この制度をもっと活用でればいいと思っています。
その点、人材採用については苦戦をしています。人の採用に注力していると言っても、誰でも良いというわけではありません。
当社では個々のスキルだけではなく、社会人として、人として素直で良い人かはとても重要な部分です。
採用ホームページや求人広告でも色々な観点から会社が大切にしていることを書いていますが、私たちの基本は「社会のため」「会社のため」「自分のため」という三軸を大切にしています。
その三軸を大切にしていくためには、私たちが掲げている理念に共感できなければ難しい。
社員たちは、本当に濃い絆をもった仲間です。仲間であり、子供であり、親友だからこそ、予算やマネジメントの裁量も与えることができるという思いがあります。現在、全体の人数は50人ほどしかいないのですが、会社を入れ物に例えたら、水も漏れないくらいに底のほうからしっかりと詰まった強さがあります。朝礼だとか社員旅行だとかも、なんでも自分たちで企画しようという、明るさや主体性を感じますし、なにより、気持ちの良いまっすぐさを持っています。
だからこそ、この先も人間として魅力ある人たちと働いていきたいですね。


「当社は良い人間ばかりですよ。本当に良い人だけ」とお話ししてくださった丹野社長。社員との繋がりは色濃く、家族のよう。日々のコミュニケーションはもちろん、社員が主体となっているからこそ、良い関係性や良い環境を作ってこれたのだと語ってくださりました。
変わりたいという気持ちが自分と社会を変える 社会に希望を与える会社へ
会社の目的は利益ではなく、経営理念やビジョンを達成するということだと考えています。つまり、一人ひとりが社会に希望を与える人間であり、それぞれが理念を持ったプラスの存在であるという社会観です。そういう感性をもった社員たちが、楽しいと思える環境で働いていけば、自然と善のスパイラルが回っていくと思うのです。
実際、当社で活躍する社員全員が最初から前向きに仕事に取り組めていたかと言えば、そうではなかったと思います。
入社後の研修や仕事を通じて変わった社員もいます。しかし、そもそも素直な気持ちを持って、自分が変わりたいという気持ちを持っていなければ、変わってはいけない。一人の人間として立派になっていく、仕事を通じて自分の人間力を磨いていく文化を大切にしていきたいですね。
私は経営理念や会社が持っているビジョンを大切にしていますが、私が考えていることをそのまま社員へ植え込むということとは少し違います。
社員一人ひとりが経営理念やビジョンの大枠に則り、自分たちの考えを発信していくからこそ、仕事は楽しくなるのだと思います。自分の会社だからこそ、自分が何をやりたいのかを考える。朝礼も社員旅行も飲み会も、社員が主体となって行っています。
今後も社員の主体性を重んじ、それぞれの夢叶え、社会に希望を与える会社になることを目指していきます。


個の力、個の考えを大切にされている丹野社長。「経営理念は会社の大枠。どうしていきたいかは社員それぞれが考えること」と経営理念の在り方について語ってくださりました。
丹野 直人 プロフィール
1980年 | 千葉県野田市生まれ |
2001年 | 3年制の日本歯科技工専門学校卒業。 歯科技工士として歯科医院に就職するも、 人との関わりがない職場や職務に直面し転職を決意する。 退職後上京し、飲食業(BAR)でバーテンとして従事。 常連客だった当時のオーナーに誘われ、新宿歌舞伎町で飲食店(BAR)を新規開業。21歳で代表に就任。 その折、当時学生だった片桐(現専務取締役)と出会う。 |
2002年 | 当時のオーナーが店の売上金全てを持ち夜逃げする。 連帯保証債務などの借金が残り、飲食店(BAR)は倒産。22歳で500万の借金を背負う。 千葉の実家に戻り、父親が個人経営する歯科技工所で働くが、業績悪化で自己破産をする。 破産した事で自宅が強制競売となり住む家を失う。その上、両親が離婚し、一家離散状態となる。 友人や知人からの援助を受け、もう一度やり直す決意をし上京する。 援助金で東京板橋区で家賃35,000円4畳半の木造アパートの部屋を借り、多種多様な職種を問わず約1年6ヵ月間、ほぼ毎日働き続ける。 |
2004年 | 借金500万全額完済。 これまでの起業や倒産の経験を活かす為、企業経営に関する基礎知識を「知る」勉強を始める中、 自ら会社をもう一度興し、最高の仲間と仕事がしたいと起業を志す。 飲食店時代のお客さんからコンサル会社の紹介を受け、 中小企業の経営コンサルティング業務を営むコンサルティング事務所に就職し、約2年間の実務経験を積む。 |
2006年 | 信頼できる仲間と最幸の仕事をするために起業を決意。 企業再生を主とする経営コンサルティング会社として、ネクステージ株式会社を片桐直也(現専務取締役)と共に設立。 拠点を高田馬場とし、6畳一間のワンルームからスタート。初年度の売上は30万円。 |
成長期 | インターネット上でのマッチングサイトの展開をはじめる。 WEBプロモーション事業・WEBソリューション事業を展開していく。 今後成長の兆しを見せるEコマース市場に未来を感じ、WEBコマース事業を手がける。 事業の拡大と併せて、理念・ビジョンに共感する仲間が30人を突破。 |
2015年 | WEB関連事業をメインに、最幸の仲間の夢を実現する日本一の人財会社、 そして日本に希望を創る事を目指し、事業展開を図っている。 |